社会貢献を軸にした「THE大学インパクトランキング」で日本の大学が存在感発揮
●「教育」「イノベーション」「平和」など、SDGsの枠組みを活用
●エントリー大学数は日本が最多
●京大が総合ランキング48位、東大と慶應も100位以内

イギリスの高等教育専門誌「Times Higher Education(THE:ティー・エイチ・イー)」は4月3日、「THE大学インパクトランキング2019」を発表した。総合ランキングにランク付けされた462大学のうち9%にあたる41大学が日本の大学だった。大学の社会貢献の取り組みを国連のSDGs(エスディジーズ)の枠組みを使って可視化する初のランキングで、日本の大学はエントリー数が最多だったほか、いくつかのSDG(目標)で多くの大学がランクイン。国際社会共通の課題に積極的に取り組む日本の大学の価値をアピールするランキングとなった。
●自学の強みとする分野の目標を選んでエントリー可能
「THE大学インパクトランキング」は、国連のSDGs(Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標)の枠組みを通して大学の社会貢献度をランキングするもので、THEにとって研究力重視の世界ランキング、教育力重視の日本版ランキング等に次ぐ"第3のランキング"と言える。
SDGsとは、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に明記された2016年から2030年までの国際目標。持続可能な世界を実現するために達成すべき目標(ゴール)が、「貧困」「教育」「ジェンダー」「エネルギー」「気候変動」など17分野で設定されている。先進国を含む全ての国が行動する「普遍性」、地球上の誰一人として取り残さない「包括性」、全てのステークホルダーが役割を担う「参画型」などをコンセプトとして掲げる。
*国連開発計画駐日代表事務所のウェブサイトでのSDGsの説明はこちら
「THE大学インパクトランキング2019」では、SDGsの17項目のうち大学と関係が深い11項目に関する取り組みが指標化された。
「SDG17 実施手段」は必須項目で、エントリーするすべての大学がこのSDGに関するデータを提出する必要がある。総合ランキングにエントリーする場合はこれに加えて3つ以上のSDGについてデータを提出し、「SDG17」以外でスコアの高い3つがランキングに反映される。これとは別にSDG別のランキングもあり、こちらにエントリーする場合は「SDG17」に加えて自学が強みとする分野のSDG1つ以上についてデータを提出する。
●SDG12(生産・消費)の100位以内に日本から11大学がランクイン
初のインパクトランキングには560大学がデータ提出し、THEが462位までの総合ランキングを作成。その結果は、韓国科学技術院(KAIST)で開かれた「イノベーション&インパクトサミット」で4月3日に発表された。