母「諦めなくてよかった」
2019/4/16 16:55神戸新聞NEXT
神戸垂水・中3自殺 いじめ認定で遺族コメント<全文>
神戸市垂水区で2016年10月、市立中学3年の女子生徒=当時(14)=が自殺した問題で、同市問題再調査委員会が16日、いじめ行為が自殺の大きな要因とする調査結果を発表したことを受け、生徒の母親がコメントを発表した。
再調査委員会の報告を受けて会見する自殺した中3女子生徒の母親。娘の描いた自画像を携えて臨んだ。
全文は次の通り。
再調査委員会におかれましては、娘に対する陰口、悪口、仲間外れなどの陰湿で分かりにくいいじめを理解していただき、また、いじめと自死との関連を認めていただいたことに感謝しております。
もう追求することをあきらめた方がいいのではと悩んだ時期もありましたが、あきらめなくて本当によかったです。
再調査委員の先生から事実認定の報告を受けた時、丁寧に調査していただいたので分かりやすく、話に筋が通っており、「こういうことだったのか」とすんなり受け入れることができましたし、私は何の反論も疑問もありませんでした。
丁寧に向き合って調査していただいたことに本当に感謝しております。
また提言の部分には今後このようなことを繰り返さないための再調査委員の先生方の思いを感じ取ることができる、今後につながる報告書を作ってくださったと思います。ありがとうございます。
娘が亡くなってから今日まで、どうしてこんなことになってしまったのか訳が分からず、私は娘の死と向き合うことができずに、学校で何があったのか、なぜ娘は亡くならなければならなかったのか、いじめの事実を追求することだけをしてきました。
ただ、教育委員会が設置した第三者委員会の調査結果を待っていただけだったら、おそらくいじめがあったことも認められることはなかったのではないかと思います。
また、生徒たちの証言内容は変わっていないはずなのに、調査する人が変われば報告書の内容が違ってくるのはなぜなのでしょうか。
最初の教育委員会が設置した第三者委員会の時に、再調査委員会のようなしっかりとした調査が事件直後から行われていたら、2年半もかかることもなかったし、もっと事実が判明したかもしれないし、それを踏まえた加害生徒への指導もできたのではないでしょうか。
私は再調査の結果を受けて、ようやく一区切りをつけることができ、やっと娘の死と本当に向き合えることができるようになりました。
今はただ悲しく、娘のつらさを気付くことができなかった娘への申し訳なさ、あの時はこうすべきだったんだなという反省、後悔でいっぱいです。
できることなら娘がいた頃に戻りたいです。娘に会いたいです。
今後、もう二度とこのような悲しい出来事が起こってほしくはありません。学校、教育委員会は再調査委員会の提言をしっかりと受け止めて反省をしてほしいと思います。
そして今回の報告書が今後のいじめ対策に具体的に生かされることを願っております。
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神戸・中3自殺「いじめ寄与」市再調査委 市教委のメモ隠蔽指弾
2019.4.16 産経WEST
自殺問題
神戸市垂水区で平成28年10月、市立中学3年の女子生徒=当時(14)=が自殺した問題で、再調査をしていた市の第三者委員会(再調査委)は16日、同級生からのいじめが自殺に「大きく寄与していた」として、いじめと自殺の関連性を認定する報告書を久元喜造市長に提出した。
市教育委員会の第三者委が29年8月にまとめた報告書では、容姿の中傷などのいじめを認定した一方、いじめと自殺の因果関係は特定できないとし、遺族側が「調査が尽くされていない」と反発。
30年6月には、学校側の調査に同級生らが記したいじめに関するメモを市教委幹部らが隠蔽(いんぺい)していたことも発覚し、久元市長が翌7月に再調査委を立ち上げていた。
再調査委の報告書によると、女子生徒は2年時に友人らから悪口や無視、仲間外れ、インターネット上での中傷などのいじめを受けたことで孤立感を深め、誰に相談しても無意味という絶望感を抱くようになった。
3年のクラスでも居場所はなく、「傍観者」としてのクラスメートも含めた「構造的ないじめ」の中で自殺に至ったと認定した。
また学校側の対応について、生徒側との信頼関係が希薄で相談もなく、「誰一人としていじめという認識をしていなかった」と指摘。
25年にいじめ防止対策推進法が施行されたが、「学校現場や市教委に意識の立ち遅れがみられた」と批判した。メモ隠蔽についても「遺族や周囲の心ある生徒たちの思いが非常に軽く扱われた」と指弾した。
再調査委は再発防止策として、報告書を踏まえた対策を実行しているか評価・検証する検証委員会を市長部局に設置することも提言した。
久元市長は「ご遺族と市民に改めておわび申し上げる。
市教委でしっかりと対応できるよう、市長としての権限を行使していく」と述べた。