2019年7月27日日刊スポーツ
巨人対阪神 延長11回に決勝打を放ちヒーローインタビューを受ける大山悠輔
巨人対阪神 11回表阪神2死三塁、中前適時打を放つ大山
<巨人2-3阪神>◇27日◇東京ドーム
4番が激闘に決着をつけた。延長11回2死三塁。ここぞの場面で、阪神大山悠輔内野手(24)が決勝打を放った。「打つしかない。(勝負は)打つか、打たないかなので。大事な場面でできてよかったです」。
田口の真っすぐを中前へクリーンヒット。4時間37分のロングゲームを制して東都の猛虎ファンを沸かせた。
気合十分だった。「あのプレーが一番大きい。チームが救われた。何とか応えたいと打席に入りました」。直前の10回1死一、二塁。サヨナラ負けかと思われた炭谷の大飛球をドラフト1位の先輩高山が背走曲芸キャッチ。その姿に心打たれた主砲が燃えて打った。
プロ3年目の24歳。だが、ゲームに入れば年齢は関係ない。常々、大山は言う。「期待だけで終わってしまったら意味がない。結果を出さないといけない」。伝統球団の4番を任され、計り知れない重圧と戦っている。「4番だから、とかじゃなく。4番でも9番であっても、試合に出る以上は責任がある」。得点圏打率は3割4厘。勝利打点8は堂々のチームトップだ。チームを背負う自覚がある。だからこそ…。歓喜の瞬間には、感情が爆発する。
矢野監督は「4番は本当に苦しい打順。責任ある打順」と若き和製大砲候補を思いやった。続けて「でも、悠輔は何とかそこ(4番)で成長できると思って。アイツとは約束している。姿勢だけはしっかり。4番の姿勢はアイツも頑張ってくれている」と評価した。
素顔は24歳の青年だ。力強化や土台作りを軸にした昨秋の高知・安芸キャンプ。息が切れるほど走り込んだ練習終わりに、甘いモノが欲しくなった。大山は「抹茶オレ、飲もうか」とチームメートに提案。厳しい練習後は甘いモノで癒やしの時間を分かち合った。すごく美味しいと評判になり、芸西村の宿舎ロビーで販売されている「抹茶オレ」が頻繁に売れた逸話もある。プレーだけでなくチーム内の流行も、4番が引っ張っている。
負ければ再び自力Vが消えた一戦で巨人連倒を導いた。残り49試合。4位ながら首位巨人に7・5差に迫った。4番がネバーギブアップを体現し、白星を重ねる意気込みだ。【真柴健】