日経
データで見る野党共闘 5野党、一本化の勝率28%
衆院選で立憲民主党や共産党など5野党は289ある小選挙区のうち7割を超える213の選挙区で候補を一本化した。勝ったのはそのうちの28%にとどまった。ふるわなかった野党共闘をデータで見る。
289小選挙区、占有率は与党69%、5野党22%
289小選挙区のうち、与党は自民党189議席、公明党9議席で合計198議席を得た。小選挙区全体の69%を占める。自民は14県で議席を独占し、大阪と
佐賀で全敗した。
野党は81議席で、このうち立憲民主党、共産党、国民民主党、れいわ新選組、社民党の5野党は65議席。
小選挙区の22%で勝った。岩手3区で立民の小沢一郎氏が敗北し比例復活する事態になるなど苦戦した。
5野党の共闘から距離を置いた日本維新の会は16議席で第3党に躍進し、大阪府では擁立した15選挙区すべてで勝利した。
5野党一本化は213選挙区
勝率は与党64%、5野党28%
5野党が213の小選挙区で候補を1人に絞って共闘したのが今回の特徴だった。このうち与党の勝利は137選挙区で勝率は64%。5野党は59選挙区で勝率は28%にとどまった。維新は10選挙区で5野党の統一候補を破った。
5野党、競合区の勝率8%
5野党系から2人以上の候補が出た選挙区は76選挙区あった。このうち5野党が勝ったのは6選挙区にとどまり勝率は8%だった。政権批判票が分散し、一段と与党側に有利に働いた。
5野党が競合区で一本化していたら積み増しは6議席
5野党が競合した選挙区で、もしも候補者を一本化していたらどうなったのか。与党が勝った198選挙区のうち、5野党が逆転勝利するのは6選挙区にとどまる。一本化した場合の数字は立民、国民、共産、れいわ、社民の各党候補の合計得票で算出した。東京で2選挙区、埼玉、愛知、京都、大阪でそれぞれ1選挙区と限定的だ。
今回の衆院選のキーワードは「野党共闘」だった。結果を見れば、岸田政権への批判票の受け皿が1つになると野党が勝つ効果は不発に終わった。接戦区の多くで与党候補に競り負けた。5野党と一線を画した維新は躍進した。来夏の参院選に向けて5野党は戦略の練り直しを迫られる。
対決構図ごとの与野党勝敗は?
選挙区の対決パターンごとに与野党の勝敗を見てみる。与党の公認候補ら「与党系」と立民などの公認候補ら「5野党系」が出馬し、維新の候補が不在で事実上の一騎打ちとなる「与野党対決」は141選挙区。与党が98議席、5野党が40議席を獲得した。与党、5野党、維新の3勢力が争う「三つどもえ」型は69選挙区で、与党が38議席、5野党が21議席を押さえた。与党の候補に複数の5野党候補が並び立つ「5野党競合」型の76選挙区のうち、与党は61で勝ち、5野党の勝利は8にとどまった。
前回2017年に与党勝利で今回は野党が奪ったのは40選挙区
2017年の前回衆院選は与党が勝利し、今回は野党が勝った選挙区を見てみる。40選挙区ある。5野党が29選挙区、維新が11選挙区。5野党が勝った選挙区のうち約9割が候補者を一本化したところだった。