今日の「お気に入り」は、山本夏彦さん(1915-2002)のコラム集から。
「江戸時代を私は明治大正時代より、また現代よりよく出来た時代だと思っている。戦後は『平和』が第一で、国家や国民の誇りより平和のほうをとるという説がもっぱらである。江戸時代はその平和が二百なん十年続いた時代で、こんなに長く続いた時代は世界にもないだろう。それだけでも自慢していいのに、江戸時代を暗黒時代のように言うものが多いのは奇怪である。」
「私は文化の断絶は『明治』におこったとみている。いわゆる文明開化は東洋を捨てて西洋を学ぼうとして、皮相だけを学んで根本に及ばなかったから、その両方を失ったとみている。」
(山本夏彦著「『戦前』という時代」所収)
「江戸時代を私は明治大正時代より、また現代よりよく出来た時代だと思っている。戦後は『平和』が第一で、国家や国民の誇りより平和のほうをとるという説がもっぱらである。江戸時代はその平和が二百なん十年続いた時代で、こんなに長く続いた時代は世界にもないだろう。それだけでも自慢していいのに、江戸時代を暗黒時代のように言うものが多いのは奇怪である。」
「私は文化の断絶は『明治』におこったとみている。いわゆる文明開化は東洋を捨てて西洋を学ぼうとして、皮相だけを学んで根本に及ばなかったから、その両方を失ったとみている。」
(山本夏彦著「『戦前』という時代」所収)