今日の「お気に入り」は、山本夏彦さん(1915-2002)のコラム集から。
「職人と役者は学校教育を受けること最も遅かったので、頭と呼ばれる鳶や棟梁には威風あたりを払うものがあった。大工は設計者であり施工者であり指揮者であり、一人で多くをかねたからその容貌に威信が生じたのである。その威信はいま三十年サラリーマンを勤めても生じない。むかし兼ねたもののすべてが分業になったからである。」
(山本夏彦著「愚図の大いそがし」文春文庫 所収)
「職人と役者は学校教育を受けること最も遅かったので、頭と呼ばれる鳶や棟梁には威風あたりを払うものがあった。大工は設計者であり施工者であり指揮者であり、一人で多くをかねたからその容貌に威信が生じたのである。その威信はいま三十年サラリーマンを勤めても生じない。むかし兼ねたもののすべてが分業になったからである。」
(山本夏彦著「愚図の大いそがし」文春文庫 所収)