「今日の小さなお気に入り」 - My favourite little things

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再読したいものは少い。

2013・07・03

2013-07-03 08:00:00 | Weblog
 今日の「お気に入り」は、中野孝次さん(1925-2004)の著書「ローマの哲人 セネカの言葉」より。

 「 君が見るあの深紅色の宮廷服をまとった廷臣たちの誰ひとりとして、幸福な者はいません。舞台での

  役柄から、王笏と王のマントを持たされている俳優たちと同じことです。観客の面前でこそ彼らは高靴

  を履いて闊歩していますが、舞台から引っ込むやいなや高靴を脱ぎ、自分の本来の姿に戻ります。富や

  名誉職のおかげで高い頂上に坐っているような連中の誰一人として、真に偉大な者はいません。なのに

  なぜ彼が大きく見えたのか? それは君が彼をその台座ごと計ったからです。
                                  『手紙』76-31」

 「 誠実は人間の心の最も破りがたい善です。いかなる強制状態も裏切りを強いることはできないし、い

  かなる恩賞も誠実な心を買収することができません。
                                  『手紙』88-29」

   (中野孝次著「ローマの哲人 セネカの言葉」岩波書店刊 所収)






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