今日の「お気に入り」は、中野孝次さん(1925-2004)の著書「ローマの哲人 セネカの言葉」より。
「 どうしたら我々はこの不安(あと人生の残りの時間がどれだけあるかという不安)から逃れることが
できるか? それはただ一つ、人生を未来に目標を置いて運んでゆくのでなく、ただいま自分自身に
集中させることによってだ。未来に依存する者には、現在は無意味になってしまうからです。
しかし、僕が自分自身に課したことが為し遂げられ、心が一日と一世紀のあいだに何の違いもない
ことを確かに知るとき、たとえ将来何が起ろうとも心はそれを超越した高みから眺め、非常な上機嫌
で時のつながりを考えることができるようになる。君がそのように強い自信をもって予測すべからざ
るものに対するなら、偶然事の転変なぞによって不安になるわけがありますか? だから、わがルキ
リウス君、急いで今の君の人生を生きるがいい、そしてどの一日もが自分の全人生であると思いなさ
い。このような心構えで生きる者、毎日を全部自分の全人生としてとして使いこなす者は、あらゆる
不安から自由です。
『手紙』101-9・10」
(中野孝次著「ローマの哲人 セネカの言葉」岩波書店刊 所収)
「 どうしたら我々はこの不安(あと人生の残りの時間がどれだけあるかという不安)から逃れることが
できるか? それはただ一つ、人生を未来に目標を置いて運んでゆくのでなく、ただいま自分自身に
集中させることによってだ。未来に依存する者には、現在は無意味になってしまうからです。
しかし、僕が自分自身に課したことが為し遂げられ、心が一日と一世紀のあいだに何の違いもない
ことを確かに知るとき、たとえ将来何が起ろうとも心はそれを超越した高みから眺め、非常な上機嫌
で時のつながりを考えることができるようになる。君がそのように強い自信をもって予測すべからざ
るものに対するなら、偶然事の転変なぞによって不安になるわけがありますか? だから、わがルキ
リウス君、急いで今の君の人生を生きるがいい、そしてどの一日もが自分の全人生であると思いなさ
い。このような心構えで生きる者、毎日を全部自分の全人生としてとして使いこなす者は、あらゆる
不安から自由です。
『手紙』101-9・10」
(中野孝次著「ローマの哲人 セネカの言葉」岩波書店刊 所収)