今日の「お気に入り」は、中野孝次さん(1925-2004)の著書「ローマの哲人 セネカの言葉」より。
「 決して、自分の幸運に依存しているような人間を、幸福だなどと思ってはならない。外から来た
物事を喜んでいる人は、壊れやすい基礎に家を建てているようなものです。外からやって来た喜び
は、来た時と同じくすぐに去ってしまう。これに反して、自分の内から湧いてきた喜びは、信頼で
き、確かです。それは成長し、人生の終りまで我々に同行する。
『手紙』98-1」
「 運命が我々に善いものと悪いものを分ち与えるのだ、と考えるような人は、ルキリウス君、間違
っているのだ。与えられたのは、善いもの悪いものの材料だけです。我々の責任において悪にも善
にも転じてゆく物の、前提があるだけだ。だが、あらゆる運命のはからいより強いのは、人間の精
神です。精神が物事を善悪いずれの方向へも導くのであって、精神こそ幸福な人生の、あるいは惨
めな人生の原因なのです。
『手紙』98-2」
( 中野孝次著「ローマの哲人 セネカの言葉」岩波書店刊 所収 )
「 決して、自分の幸運に依存しているような人間を、幸福だなどと思ってはならない。外から来た
物事を喜んでいる人は、壊れやすい基礎に家を建てているようなものです。外からやって来た喜び
は、来た時と同じくすぐに去ってしまう。これに反して、自分の内から湧いてきた喜びは、信頼で
き、確かです。それは成長し、人生の終りまで我々に同行する。
『手紙』98-1」
「 運命が我々に善いものと悪いものを分ち与えるのだ、と考えるような人は、ルキリウス君、間違
っているのだ。与えられたのは、善いもの悪いものの材料だけです。我々の責任において悪にも善
にも転じてゆく物の、前提があるだけだ。だが、あらゆる運命のはからいより強いのは、人間の精
神です。精神が物事を善悪いずれの方向へも導くのであって、精神こそ幸福な人生の、あるいは惨
めな人生の原因なのです。
『手紙』98-2」
( 中野孝次著「ローマの哲人 セネカの言葉」岩波書店刊 所収 )