いろいろな庶民の生活を描いた中世から近世までの絵巻物を見ていると、実に楽しい。
庶民の生活は、明るく、楽しく、物見高く、きゃっきゃ・ケッケと騒いでいたんではないかと思わされる。
特に、母親達の生活ぶりである。
どこでも赤ん坊を抱っこしているか、おんぶしているのだ。しかも、赤ん坊はすっぱだかである。
すやすやと寝ている赤ん坊もすっぱだかである。(信貴山縁起)
昔の日本人は裸で暮らしていたのである。江戸末期に開国が迫ってきて、禁止したんだそうである。(鳥獣人物戯画)
もう一つおもしろいのが、トイレの問題。
こちらも図解付きで詳しく描いてある。
こうやって、糞尿を処理していたんだなぁと思う。たくましいかぎりである。あまりにもリアルなんで、解説は割愛する。糞カキベラまで登場してくるからである。夕ご飯の方がおったら叱られてしまうからね。(慕帰絵)
子ども達も天真爛漫である。
大学者菅原是善の館の前に牛車が二台止まっていて、その轅(ながえ)に、子どもがぶら下がって逆返りをしているのだ。無礼であると叱られなかったんであろう。いい時代である。(北野天神縁起)
楽しい時代である。
日本は子どもにとって世界に冠たる子ども天下であったのだ。それがいつの間にやら、いつ殺されるかわからん国になってしまったのは、空恐ろしい。
そんなことを考えた。