八重の桜というNHK大河ドラマが話題を呼んでいる。
それはそれなりにいい。女優の方が大変に好感度抜群であるから。それに、映像が美しい。そしてふと思った。これって技術の面で優れたものがあるんだろうなぁということである。シロウトだから、よくわかっていなくて書いているが。
そして会津である。会津は直接知っている土地であるし、スキーでも相当行っている土地であるから、実になじみがある。
1999年に買った「ある明治人の記録」という石光真人さんという方の書かれた中公新書がある。ふと思い出した。この新書は、なんかの書評で高い評価を受けていたので、なんとなく買ったものである。そのころは、まだ古書チェーン店がなかったから、新刊で買ったのだった。そう、まだ新刊が買えたのである。働いていたからなぁ。
会津人柴五郎の遺書とサブタイトルがついている。
明治維新に際し、一方的に朝敵の汚名を着せられた会津藩は、降伏後下北の辺地に移封され、藩士は寒さと飢えの生活を強いられた。明治33年の北清事変で、その沈着な行動により世界の賞賛を得た柴五郎は、会津藩士の子である。
会津落城の際に自刃した祖母、母、姉妹を偲びながら書かれている。維新の裏面史ともいうべき本である。公表をはばかるほどの悲惨な飢餓生活を続けた人である。脱走、下僕、流浪の生活を経て軍人となり、藩閥政治の外にありながら、陸軍大将となった逸材でもある。中国問題の権威でもあった。
この遺書は、門外不出とされたものだったそうである。祖母、母、姉妹の遺骨と共に、会津恵倫寺に納められたとのことである。
最初、「血涙の辞」と書かれた文章に泣ける。非常に。このような書を遺してくださったことに感謝申しあげたい。
「父母兄弟姉妹ことごとく地下にありて、余ひとりこの世に残され、語れども答えず、嘆きても慰むるものなし。」
愚生は、この前後の文章に非常に感銘を受けて、線をたくさん引き、メモを残している。26年前の読書体験である。まだ35歳くらいである。相当ショックを受けた跡が残っている。
さらに明治維新をどう受けとめていたのかということを知ることができる。
ほぼ古文に近い文章で、訳もついていないから、ちょっとハードかもしれないけど。挑戦する価値はあると思う。