珠玉の音楽に囲まれて

オーディオのこと、音楽のこと、思いついたまま記していきます。
by 横浜のVienna Acousticsファン

Triste

2012-08-12 10:31:10 | ボサノバ/ラテン
ロンドン五輪もあっという間に終わりですね。期待された選手がほぼ期待に応えた、そんなオリンピックでした。寝不足の2週間でもありましたが・・・。特に男女のサッカーの快進撃、水泳陣のチームワーク、久しぶりのメダルの女子バレー、が印象に残りました。オリンピックはモントリオール以降、リアルタイムで見ています。時代と重ねてシーンが頭に残っていますが、この点は音楽とも共通します。ロンドンの記憶もまた、思い出されることでしょう。

真空管使いとしては、この時期、オーディオは控えめですが、聴くとなれば涼しげなボサノバは外せません。Antonio Carlos Jobim作の「Triste」を紹介します。

ボサノバを始めとするブラジル音楽がオーディオのローテーションに入って四半世紀になります。このJobimの名盤『Wave』を買ったのも学生終盤で、私の所有しているCDの中では古参の部類になります。Jobimの曲は様々なアーティストが取り上げていますから、Jazzにおけるスタンダードのようなものです。最近は女性Jazzシンガーもアルバムの中でボサノバをスパイスとして入れていますね。「Triste」自体は地味な曲ですが、結構カバーされています。


まずはJorge Benと共に敬愛しているElis Reginaの作品から。Tristeは訳すると哀しみ。詞は片思いの男性の心情を歌ったもので、ブラジル独特のサウダージを感じさせる曲です。写真の『Elis&Tom』は、全般に演奏・録音の良いアルバムで、「Triste」でもアコースティックギターにエレキギターを交えたボサノバ+αのアレンジを楽しめます。このアルバムはどの曲もいいですが、冒頭「3月の雨」(向こうでは秋です)は、ちょっと疲れた時に聴いてみて下さい。


Elis Reginaは、別のアルバムでも「Triste」を取り上げています。これは輸入盤(ブラジル盤?)でジャケットも通常とは異なるもののようです。ジャケットにタイトルが明記されておらずコンピものかと思っていましたが、内容的には死後に発売された『Luz Das Estrelas』と同じです。こちらの「Triste」は、さらにシンプルな構成です。ストリングスが効いていてゆったり感があります。余談ですが、このアルバムには「Para Lennon E McCartney 」という、興味深い曲も入っています。


以前紹介したSergio Mendesや、Sophie Milmanにも「Triste」があります。曲自体はとてもシンプルなので、それぞれのカラーが出ますね。Sergio Mendesだとバックのコーラスが爽やか過ぎて、あまり哀しみといった雰囲気になりません。Sophie Milmanは間奏のフルートとハモるところが、聴きどころでしょうか。彼女はこれまで「おいしい水」「No more blues」をアルバムに取り上げていて、Jobimファンとしても嬉しい女性Jazzシンガーです。



ロンドンの開会式では音楽にもスポットライトが当たりました。ロックからサンバ・ボサノバへ・・・音楽とスポーツには国境が無いこと、そして時代を超えるインパクトがあること、を再認識しました。さあ、2年後のW杯と4年後のオリンピックはブラジルです。まさにViva! Brasilです。
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