徒歩10分のところにダイレックスがオープン、酒から薬、衣料品、家電、生鮮三品、グロサリーとなんでもある。しかしこの立地、よく業態が変わる。周辺には5~6か所住宅団地があるが高齢化が進んでいる。それに合わせた品ぞろえやサービスがいると思うが長続きしてもらいたいものだ。日替わり特価品ということで朝のチラシに従来型の石油ストーブが7000円税込ででていた。自分の部屋にはエアコン、石油ファンヒーターがあるが加湿器がわりにケトルをおけたりもちも焼けるということで購入。燃費効率は何が一番かわからないが3畳の書斎と6畳の洋間がこれ1台で結構暖かい。
この3日間、再読をはじめた藤沢周平作品のうち、名作と称され映画化、テレビドラマ化された「蝉しぐれ」を読んだ。眼はしょぼしょぼしているが読み始めると引き込まれる。ふく役の水野真紀のみずみずしい風情、肢体が思い出される。
舞台は江戸から480キロ離れた海坂藩(うなさかはん)。藤沢時代小説の特質である自然描写、街並み描写は詳細で読者をその時代に引き込んでゆく。このあたりが最近の若者はじっくり読めずに投げ出してしまう。なにせ文庫本で464ページの長編だから。井上ひさしさんが独自に城下図を書いている。詳細でおもしろい
ストーリーはこの物語の主役の牧文四郎(30石、軽輩、普請組、牧家の養子)と隣にすんでいたおふくの20年にわたる実らぬ、淡い、心の妻、恋物語ということだが二人の周辺が藩主の跡目騒動のなかで激変してゆく様を文四郎とその親友、小和田逸平、島崎与之助の人生ドラマを剣や学問の修行、色町での酒と女もからませて痛快に、テンポよく描かれ、その背景にいつも蝉しぐれが支配している。政財界で今もある派閥争い、それに翻弄されるまじめな人たち。悲運な境遇にじっと耐え、ひたすら剣の奥義を窮め、悪に敢然と立ち向かう文四郎。
第一章朝の蛇でおふくが蛇にかまれ、かまれた小指の血を吸って助けてやる場面から最終章の「蝉しぐれで、尼になるという先代藩主の側室おふくと最後の出会いでやっと契をむすぶ場面まで・・・青春時代の淡い思い出、現実社会のドロドロした人間模様、そして淡々たるリタイヤ後の今をおもうにつけ読後感は爽快であった。
*時代小説でよくでてくる「石」こくとは・・・
1石とは150Kg、60Kg米俵2.5俵で成人1年分の米消費量とされた。今5キロの米2000円として1石は60000円相当。30石の軽輩というと給料180万円の今では低所得層ということになる。1万石以上で大名と言われた。黒田官兵衛がはじめて大名になったということは年俸6億円になったということでこれで家族家臣をくわせてゆくということになる。