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「三宮その日の暮れに産気づき大殿渡る姫のもとへと()」
「この胤が自分のものに違いなば珍しくあり喜びも増す()」
「夜一夜苦しみ明かし日の昇る頃にも出産男の御子と()」
「男君聞くにつけても不安なり他の誰かに生き写しなら()」
「この年になって生まれた男君寵愛のほどいかほどになる()」
「五日目の夜には秋好中宮がお祝い膳をいろいろしたり()」
「御七夜は内裏の法から公式に儀式にならいお祝いになる()」
「こんなとき致仕大臣は特別にするべきなのが普通にされる
(病気看護で忙しい)」
「三宮初産であり心理的ストレスありてしにたい思い()」
「大殿は表面上は繕ろえど気味が悪くて格別には見ず()」
「尼になその功徳から生きられる試してみたいと大人びて言う()」
「出家さすほうがいいのかこのままか黒髪みれば切るのは惜しいと()」
「どのように大きな過ちあるとして許すべきかと気も弱くなる()」