鈴虫〔4〕

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「明け方に漢詩の披講ありまして人々早く退出なさる()」
「大殿は中宮のもと渡りたり二人でなさる物語など()」
「自分より年若い人出家する先を越されし思いを持てる()」
「故母の御息所はあの世でも苦患を受けて迷っていると()」
「中宮も母の苦患を救うためせめて出家して救わんと()」
「目蓮は仏に近い菩薩ゆえ餓鬼道墜ちる母を救いし()」
「二人して出家の意思を話せども急には決心できぬお二人()」
「中宮は自由な立場も出家などままならぬ身で功徳を積める()」