5/29
「この調子怪しく思う北の方その目気になり訪問できず()」
「八月なる二十日ころには行きたいと普通の見舞いのように振舞う
(秋の風情も深くなってきたので)」
「仮初の宿といえどもその風情小柴垣などみやびに作る()」
「客人を宮がおられる御簾の前お入れ申して取次ぎをする(女房が)」
「旅先の質素なお宿の御簾の中自然気配でそれとわかれり()」
「取次ぎに手間取る間に少将の君とはなせる物語して()」
「三年もたった今でもよそよそしもう限界と文句をいえり()」
「夕方に空にもしっとり霧かかり蜩鳴けど山陰暗し()」
「山里のあはれを添ふる夕霧にたちいでん空もなき心地して(#26)」
「山がつのまがきをこめてたつ霧もこころ空なる人はとどめず(#27)」
「浅はかな男とされてもえいままよ思いのうちを打ち明けんとす()」
「供のものお側に呼んで指示をする今夜は近くで旅寝をすると()」
「夕霧は宮に旅寝を伝えてはできれば御簾のそばを貸してと()」
「いつにない厭らしいことと思えども荒立てぬよう黙っていたり()」
「とりつぎの女房の後ついてきて御簾の中へといざりはいれる()」
「呆れては不気味になりて逃げようとすれば御衣の裾を踏まれる()」
「水のように汗を掻いてはわななきて泣かんばかりに訴えにけり()」
「けしからぬ男のように思し召す私の気持ち聞き及びでは?()」
「包むには余れる思いはしかたなしただお許しが出るまで待つと()」
「こらえても宮の有様懐かしく品格ありて魅力的だと
(優雅なことは類まれなり)」
「この調子怪しく思う北の方その目気になり訪問できず()」
「八月なる二十日ころには行きたいと普通の見舞いのように振舞う
(秋の風情も深くなってきたので)」
「仮初の宿といえどもその風情小柴垣などみやびに作る()」
「客人を宮がおられる御簾の前お入れ申して取次ぎをする(女房が)」
「旅先の質素なお宿の御簾の中自然気配でそれとわかれり()」
「取次ぎに手間取る間に少将の君とはなせる物語して()」
「三年もたった今でもよそよそしもう限界と文句をいえり()」
「夕方に空にもしっとり霧かかり蜩鳴けど山陰暗し()」
「山里のあはれを添ふる夕霧にたちいでん空もなき心地して(#26)」
「山がつのまがきをこめてたつ霧もこころ空なる人はとどめず(#27)」
「浅はかな男とされてもえいままよ思いのうちを打ち明けんとす()」
「供のものお側に呼んで指示をする今夜は近くで旅寝をすると()」
「夕霧は宮に旅寝を伝えてはできれば御簾のそばを貸してと()」
「いつにない厭らしいことと思えども荒立てぬよう黙っていたり()」
「とりつぎの女房の後ついてきて御簾の中へといざりはいれる()」
「呆れては不気味になりて逃げようとすれば御衣の裾を踏まれる()」
「水のように汗を掻いてはわななきて泣かんばかりに訴えにけり()」
「けしからぬ男のように思し召す私の気持ち聞き及びでは?()」
「包むには余れる思いはしかたなしただお許しが出るまで待つと()」
「こらえても宮の有様懐かしく品格ありて魅力的だと
(優雅なことは類まれなり)」