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「三月になって景色もうららかで若君生れて五十日ほど()」
「色白で可愛いくありてすくすくと育って口もおききになれる()」
「大殿もお渡りになり見舞いの言葉を宮にかけてなぐさめ()」
「母宮が尼君なれば祝いごとしてよいものか女房悩む()」
「髪の毛を御衣も板につきかねて尼にも見えず子供のごとし()」
「取り返すものにもがなや世の中をありしながらのわが身と思はん
(伊行釈所引)」
「わが余命いくらもないがこの君はこれから育ち大きくならん()」
「抱き取れば人懐っこく笑いたりつぶつぶと肥え色白なりき()」
「この君は上品であり愛嬌もあってメモとははなやかなりし()」
「思いなしかやはり彼の君似ていたり人柄よさ顔に出にけり()」
「もう長くない命とて寂しがる汝が爺に似てくれるなと()」
「柏木は気位も高くて老成もしていたはずがなぜに自滅を()」
「不憫さを思えば憎む心さえ気の毒になり泣いてしまえり()」
「女房が出て行き宮に声かけるこの子を残しなぜに出家を()」
「あづさ弓磯辺の小松たが世にか万代かねて種を蒔きけん(古今集)」
「誰が世にか種は蒔きしと人とはばいかがいはねの松は答へん(#4)」
「三月になって景色もうららかで若君生れて五十日ほど()」
「色白で可愛いくありてすくすくと育って口もおききになれる()」
「大殿もお渡りになり見舞いの言葉を宮にかけてなぐさめ()」
「母宮が尼君なれば祝いごとしてよいものか女房悩む()」
「髪の毛を御衣も板につきかねて尼にも見えず子供のごとし()」
「取り返すものにもがなや世の中をありしながらのわが身と思はん
(伊行釈所引)」
「わが余命いくらもないがこの君はこれから育ち大きくならん()」
「抱き取れば人懐っこく笑いたりつぶつぶと肥え色白なりき()」
「この君は上品であり愛嬌もあってメモとははなやかなりし()」
「思いなしかやはり彼の君似ていたり人柄よさ顔に出にけり()」
「もう長くない命とて寂しがる汝が爺に似てくれるなと()」
「柏木は気位も高くて老成もしていたはずがなぜに自滅を()」
「不憫さを思えば憎む心さえ気の毒になり泣いてしまえり()」
「女房が出て行き宮に声かけるこの子を残しなぜに出家を()」
「あづさ弓磯辺の小松たが世にか万代かねて種を蒔きけん(古今集)」
「誰が世にか種は蒔きしと人とはばいかがいはねの松は答へん(#4)」