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ゲイリー・ムーア「パリの散歩道」

2014年02月16日 | 音楽
ギター名曲シリーズ第6弾
今話題のソチオリンピック、フィギュアスケートの金メダリスト羽生結弦選手のSP楽曲「パリの散歩道」。

アーティスト:ゲイリー・ムーア(フィル・ライノット)
ギタリスト:ゲイリー・ムーア
アルバム:バック・オン・ザ・ストリーツ
発表年:1978年



ここ最近、テレビでこの曲が流れない日はない。
1978年に発表されたこの曲がにわかに注目を集め、話題の曲になり、多くのブログやサイトで取り上げられている。
スケートで使われたのは、マーキークラブでのライブヴァージョンを編集したもので、元のスタジオ版はフィル・ライノットのボーカル入りだ。
歌メロの作詞作曲はフィル・ライノットで、歌詞は一度も会うことのなかった父親への想いが綴られたものである。
その辺りは多くの人が取り上げてるので、ここでは、この曲の持つ都会的な雰囲気、フランスっぽさ、みたいな秘密についてコード進行から考察してみよう。

まずこの曲の基本となるイントロのコード進行だ。

Am  Dm7  G7  CM7  FM7  Bm7-5  E7  Am

こうして並べてみると、セブンスコードが多いことに気がつくが、ここでとくに重要なのは、M7(メジャーセブンス)だ。
メジャーセブンスは大人のコードとも言われ、都会的な雰囲気を持つ。
例えばCのメジャーセブンスの場合、通常のド・ミ・ソにプラスされるのが、ドの半音下であるシなのだ。
ルート音に対し、半音階をぶつけるというのは非常に危険な不協和音の臭いがしそうなのに、不思議と違和感なく収まる。
このメジャーセブンスを最初に効果的に使ったのは、フランスの作曲家エリック・サティだと言われるが、フランス生まれのコードだからフランスっぽいのだ。
そしてもう一つ洒落たコードが登場する。
Bm7-5(Bマイナーセブンフラットファイブ)という聞きなれないコードだ。
本来はDmでよい部分をあえて代理コードであるBm7-5を使うことにより、ボサノバにも通じるセンスを醸し出している。

これを文章で書いてもピンとこないと思うので、動画で説明しよう。

パリの散歩道、コード進行の説明


独りでしゃべるというのは、実に難しい(汗)
ギターもミスってるし(汗)

ゲイリーのギターソロについても少し書いておこう。
使われている音階は、基本的にはCメジャースケール(普通のドレミファソラシド)だ。
ただ、一箇所だけ音が外れる部分がある。
同じようなフレーズが一音づつ下降していくのだが、それが最後の部分に差し掛かったとき(バックのコードがE7のとき)、ソのシャープが使われるのだ。
全く違和感なく、すんなりと収まっているのは、コードE7の構成音にソシャープが含まれるからだ。
逆にいうと、ソだと収まらない。

一般的なハードロックギタリストだと、ここまでコードに拘ったりはしないのだが、ゲイリーはコロシアム2というジャズロックバンドにいたことがあるので、そこで学んだのだろう。
パリの散歩道は、1978年時点でのゲイリーの一つの到達点だったのかもしれない。

Gary Moore with Phil Lynott - Parisienne Walkways (live)

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