Music Mania

No Music No Life

プリーズプリーズミー

2023年03月26日 | ビートルズ
ビートルズのファーストアルバム「ブリーズブリーズミー」が発売されてちょうど60年だという。
ちなみに僕がこのアルバムを買って41年になり、おそらく「最もよく聴いたアルバム」の上位10位内に入ると思う。
そんなこともあって、今週はこのアルバムを3周聴いた。

このアルバムは先にシングルになった4曲を除き、あとの10曲はスタジオライブである。
よく言われるのは、まだまだ売れるかどうかわからない新人バンドにスタジオを長期間貸すわけにはいかないから、という理由だが、ライブの勢いをそのまま封じ込めたいから、という理由もあったらしい。
当時のビートルズがよくライブを行っていたキャバーンクラブでライブ録音する話もあったようだが、録音環境的によろしくないとの理由で却下されている。

アルバム構成は、オリジナルが8曲とカバーが6曲だ。
まず、ファーストシングル「ラブミードゥー」とB面「PSアイラブユー」、セカンドシングル「プリーズブリーズミー」とB面「アスクミーホワイ」。
この4曲は事前にレコーディングされているが、先の「ラブミードゥー」「PSアイラブユー」のドラムはリンゴではなくセッションドラマーのアンディ・ホワイトである。
この辺は少しややこしく、ちょうどドラマーがピートからリンゴに変わるドタバタの中ということもあり、ピート版、リンゴ版の「ラブミードゥー」も存在する。
セカンドシングル「プリーズブリーズミー」についても、ドラマーはアンディ説があるが、クレジットはリンゴになっている。
真相は今のところ不明。
B面「アスクミーホワイ」についても、ピート版が存在したらしいが、アルバムに収められているのはリンゴ版である。
これらのシングル曲は、いわゆるロックンロールではなく、黒人ガールズグループの影響が強い。
とくに「プリーズブリーズミー」はすでにビートルズサウンドになっていて、目論見通り大ヒットとなった。
また、第一弾シングルは両面共にポールのボーカルであるのに対し、セカンドシングルは両面ジョンのボーカルとなっていて、早くもリードシンガー2人体制であることをフューチャーしている。
その他のオリジナルだが、とくに印象深いのはアルバム1曲目の「アイソーハースタンディングゼア」だ。
こちらはアップテンポのロックンロールでありながら、当時のスタンダードな12小説ブルース進行ではなく、そして誰にも似ていないオリジナリティもある。
デビューアルバムの冒頭で、いきなりこの完成度の高さはヤバいほど衝撃的だったことだろう。
「ミズリー」「ドゥユーウォントトゥノーアシークレット」ゼアズアプレイス」は短いながらもキラリと光る曲で、キャッチーなメロディ、秀逸なコーラスワークなど聞きどころは多い。

次にカバー曲である。
アーサー・アレキサンダー1曲
シュレルズ2曲
クッキーズ1曲
レニー・ウェルチ1曲
アイズレーブラザーズ1曲
全て黒人アーティストである。
これはビートルズに限らず、当時のイギリスのロックンロールバンドに共通することで、人種の壁を超えて「良いものは良い」との判断だ。
この辺は、当時のアメリカより進んでいたと思われる。
これらの曲はビートルズのライブの定番で、演奏しなれてる曲だったと言われるが、本当なのだろうか。
デッカオーディションやスタークラブのライブ、BBCライブなどを聴くと、彼らが本当に得意としてたのは、チャックベリーやリトルリチャードなどのロックンロールナンバーのような気がするが。
おそらく、選曲はブライアン・エプスタインで、彼らのレパートリーの幅広さや、無限の可能性を匂わせる戦略のような気がする。
どれも原曲のアレンジを基本としながら、ギターバンドとしてのスタイルに変えられている。
この時点ですでに、ジョンは自分のスタイルを確立していて、とくに「アンナ」でのボーカルは貫禄さえ感じさせる出来栄えだ。
そして「ツイストアンドシャウト」で見せるロックンロールなシャウトで、幅の広さを見せている。
原曲のメロディラインをなぞりながらも、ところどころで自分の節回しが入り、完全にモノにしているのがわかる。
対してポールはまだ自分のボーカルスタイルが出来ておらず、それはジョージも同様であるものの、コーラスワークはすでに完成している。
彼らはメジャーデビューをするにあたり、とくにボーカルレッスンも受けていないと思うが、この完成度の高さはプロとしてのレベルに達しているのがわかる。

アルバム全体に共通する緊張感あふれる空気は、ライブレコーディングゆえのものだろう。
セカンドアルバム以降はスタジオで作り込まれたサウンドになり、完成度は高いものの、この空気感は損なわれてしまった。
なので、この張り詰めた空気感、田舎から出てきた4人の若者の夢と希望がいっぱい詰まった1963年2月の空気がそのまま封じ込められたサウンドこそが、このアルバムの魅力なのだ。

本当に聴かれてるアルバム

2023年03月25日 | 音楽
すごく売れた曲がすごくいい曲であるとは限らないし、ほとんど売れてなくてもすごくいい曲もある。
ただし、すごく売れた100曲とほとんど売れなかった100曲を比べたら、売れた曲の方がいい曲率は高いのは間違いない。
なので、いい音楽を探そうとするなら、売れた曲から探すのが近道だと思う。
中には、すごく売れて入るけれど、いわゆる
ジャニーズ商法とかAKB商法みたいなやり方で、あまり聴かれていない曲もたくさん存在する。
ということで、沢田太陽さんの企画、「ストリーム時代に世界で本当に聴かれているアルバム」を見ると面白い。
これは、Spotifyのストリーム回数からみると、売り上げではなく本当に聴かれているアルバムはなんなのかがわかるというもので、それをアルバム単位で集計してあるのだ。
とくに20世紀に発表された作品はもうすでに20年以上前ということで、今の若者が生まれる前の作品がほとんどになる。
それでもなお、今も聞かれ続けてるアルバムはなんなのか?

集計のやり方や、細かい考察はリンク先を読んでいただくとして、ここからは僕の感想になる。
まず、ここで選ばれたアルバムをアーティスト別に枚数を調べてみた。

ビートルズ 11枚
レッドツェッペリン 6枚
ブラックサバス 2枚
ローリングストーンズ 2枚
ピンク・フロイド 5枚
クイーン 2枚
アバ 3枚
フリートウッドマック 2枚
AC/DC 2枚
マイケルジャクソン 4枚
ダイアーストレイツ 3枚
メタリカ 5枚
ザ・スミス 3枚
ガンズ 2枚
ニルバーナ 3枚
U2 2枚
オアシス 4枚

まず、予想通りとはいえ、ビートルズ最強である。
もう別格の存在である。
ビートルズ以外だと、ツェッペリン、フロイドがやはり強い。
今もこれらのアルバムを聴いてる人がいかに多いかがわかる。
そして、60年代70年代はブリティッシュロックの時代だったことがわかる。
70年枚後半からアメリカの時代になってくる。
80年代以降はマイケル・ジャクソン、メタリカ、オアシスが強い。
ちょうどレコードからCDに変わってきたのもこの時期だ。
で、結局のところ、アルバム単位で聴かれてるのはロックが多いということだった。
ポップスはシングルは強いけど、アルバムとしてはあまり聴かれてないようだ。

これが21世紀以降になると、ポップス、ヒップホップが強くなってくる。
そして今の若者のリアル世代になってくるので、ストリーム回数も億超えが出てくる。

話を最初に戻すと、売れてる音楽ではなく、聴かれてる音楽、多くの人が聴いてる音楽は、ほとんど聴かれていない音楽より当たりは多いだろう。
これから、なにかまだ聴いたことのないいい音楽はないかな、と探す人はストリーム回数から探すというのが現代的なのだ。

梅が香に 昔の一字 あはれなり

2023年03月18日 | 日常
日本で花といえば桜のイメージがあるが、平安初頭くらいまで花といえば梅だったという。
万葉集でいえば梅が詠まれた歌は120首あるのに対し、桜は40首しかないようだ。
それがなぜ花といえば桜になったのだろう?
一説によると平安時代の初め頃、内裏に植えられた梅の木が火災で消失し、変わりに桜の木を植えたからだと言われる。
なので、それ以前は、花見も梅だったらしい。

ちなみに僕はこの歳になるまで、梅の花をそれが目的で見に行ったことがなかった。
やはり春の花といえば桜だったので、桜は毎年名所と言われるところまで足を運んでいたのだが、梅は意識したこともなかったのだ。

3月6日の月曜日、この日午前中は昨年の足の骨折の診察で病院へ行っていたのだが、天気がとてもよかったので昼からどこかへお出かけしようと調べてみたら、鈴鹿の森庭園という所の梅が見頃だということで行ってきたのだった。

平日だというのに、駐車場はけっこうたくさんクルマが止まっていて、これが土日だったらさぞ混雑したであろうことが予想される。
入場料を払い庭園の中に入ると、いきなり見事な梅の木が目の前に現れ、今まで自分の中の梅のイメージが一新された。
桜よりも濃いピンクで、青空との相性が非常にいい。
どのアングルで撮っても映える美しさで、50数年間も見逃していたことを後悔するほどだった。
庭園はよく整備され、多くの観光客でにぎわっていて、いい春日和だ。
宴会は禁止なので、純粋に花を楽しめるのも自分好みである。 

鈴鹿の森庭園を出たあとは、近くのアクアイグニスというリゾート風施設へ行った。 
ここは何度も訪れているところで、カフェやレストラン、パン屋のほか、陶芸工房や温泉施設もある。
ここのカフェは辻口博啓さんという有名なパティシエがやってる店で、当然ながら極上のスイーツが味わえる。ここも土日は人があふれるほど人気店だが、この日は平日というこでゆったり過ごすことが出来てよかった。

鈴鹿の森庭園とアクアイグニス(2023-03-06)

パラモア

2023年03月12日 | 音楽
パラモアというバンド、僕はぜんぜん知らなかったけど、ニューアルバムが初登場2位で入っていたので聴いてみた。
基本的にはロックンロールバンドだと思うけど、アレンジや歌メロに個性があり、これはなかなかいいぞ、と早速DLして聴いている。
ボーカルは女性で、線は細いものの魅力的だし、またしてもイキのいいバンドか出てきたと思ったら、それは間違いだった。
デビューは2005年というベテランで、グラミー賞をとったこともある大物バンドだった。
日本でも大人気で5回も来日ツアーをやってるという、洋楽好きなら知ってて当たり前の存在のようだ。
最近は意識して今の音楽を聴くようにしてるけど、まだまだ知らないことだらけである。

パラモアのメンバーはボーカルのヘイリー・ウィリアムスが中心のようだけど、あとはよくわからない。
いや、わかろうと思えばわかるのだが、コロコロとチェンジしてるようなので、別に覚えとく必要もないだろう。
エモ系のロックンロールだけど、ギターの音は限りなくクリアに近い。
カッティングのキレがよくファンキーで、リズムの激しさがかっこいい。

で、このバンドのライブはYouTubeでいくつも見ることが出来る。
わりとおとなしめのスタジオ作に対し、ライブはかなり熱いようだ。
とくにボーカル、ヘイリーがメチャクチャかっこいい。
デビューから18年になるので、もう若くはないはずだが、キレッキレのパフォーマンスで思い切りシャウトしている。
今はライブをスマホで撮ってくれる人がいるおかげで、手軽にライブ動画を楽しむことが出来る。
ありがたいことです。


Paramore - This is Why, C'est comme ca - Phoenix, Arizona - February 9, 2023

自分が損しても他人をガッカリさせたい人

2023年03月05日 | 日常
前回、ボブ・ディランの来日コンサートは、会場へのスマホ持ち込み禁止だと書いた。
そのニュース記事に対するコメント欄を見ると大半が肯定的な意見で、全面的に支持するとか、全てのライブでそうなって欲しいとか、そんな意見も多かった。
スマホのような個人情報の塊を他人に預けるリスク、ただでさえ混雑するライブ終了後に、他人のと間違えるかもしれないリスク、それらの管理にかかる費用が上乗せされたチケット代金{一番安い席でも2万円超え)を考えると、僕だったらそんなライブは行きたくない。
であるのに、是非そうなって欲しいと願う人間の心理について考えてみよう。

もう20年以上前だが、キング・クリムゾンのライブ記事をネットで読んだ。
それを書いたのはプロのライターではなく一般のプログレファンの方なのだが、うんざりするほど捻くれた性格の人だった。
そのライブは僕も行ったので{それも名古屋、大阪と2日連続)興味深く読んでいたのだが、本編が終わってアンコールを待ち望む状態になったときの筆者の考え方に異常性を感じた。
「みんなアンコールがあるのが当たり前だと思ってやがる。私は心底アンコールなどなかったらいいのにと思った」
たしかこんな感じだったと思う。
あまりにも捻くれていて、20年経った今も覚えてるくらい僕の心に刻まれてしまったのだ。
その人だってクリムゾンの大ファンであることは読めばよくわかる。
だから、普通に考えてアンコールでもう一曲やってくれる方が嬉しいはずだ。
なのに、アンコールを待つ他の客が世間知らずのように感じたのか、自分より下の人間だと感じたのかよくわからないけど、もう一曲聴ける喜びより、その人たちがガッカリするところを見たいという。
そういう人間がたまにいるのだ。

またこんなこともあった。
会社でのことだが、派遣で入っていた人が「ここの会社は全面禁煙にはならないのですか?」と言ってきた。
その人は喫煙者なのになぜ全面禁煙を望むのかわからなかったけど、どうやら喫煙所にいつもいるオジサンが気に入らないらしい。
全面禁煙になったらその人はきっと困るだろうと、そのためなら自分が喫煙出来なくなってもいいのだという。
もちろん僕にはそんな権限はないので聞き流すしかなかった。

このように、自分が損してもいいから、自分が不便になってもいいから、逆らえない力により気に入らない人をガッカリさせて欲しいという人間がいる。
ボブ・ディランのスマホ会場持ち込み禁止を歓迎する人というのは、ライブ会場で自分のスマホを係員に預けるという不便をしてでも、写真撮影や動画撮影する人をガッカリさせたい人なのだ。
これは僕の想像でしかないのだが、ライブでスマホ撮影禁止になっても、スマホを預ける煩わしさはあっても、撮影出来ないことそのものについては、たぶん期待するほどガッカリはしないと思う。
残念ながら。