「NAVI CARS」というクルマ雑誌を買った。
僕がこの手の本を買うのは、かなり久しぶりなのだが、このNAVI CARS、元々はNAVIという雑誌だった。
僕は1989年頃から1992年くらいまで、ほぼ毎月このNAVI誌を買っていた。
当時のNAVI誌は、他のクルマ雑誌と比べてセンスの良さが抜きんでており、知的で大人の雰囲気があった。
社会とクルマ、クルマと人、ファッション、文学・・・他のクルマ雑誌は新型車の情報が中心であるのに対し、NAVI誌はクルマの楽しみ方への提案があったと思う。
さて、およそ20年ぶりくらいにNAVI誌を買ってみようと思ったのは、特集記事が「徳大寺有恒、という生き方」だったからだ。
徳大寺有恒とは、いわゆる自動車評論家であり、「間違いだらけのクルマ選び」というベストセラー本で有名な人である。
僕はこの人の著書は、件の「間違いだらけ~」のほか5~6冊読んだが、どれも読み物としてとても面白いものだった。
代表作である「間違いだらけのクルマ選び」が最初に本屋に並んだのは1976年だった。
基本的に「まだまだ国産車はダメだ」ということが書かれてある。
そして「それに比べて、欧州車はこんなにも進んでいる」とも書かれてあった。
おそらくこの本を買ったのは、ようやくカローラやサニーを買ったお父さんや、セリカやサバンナをローンで買った若者だろう。
「おまえのクルマは、フォルクワーゲン・ゴルフと比べたらダメダメなんだよ」と書かれた本書を読んで、「何を偉そうに!勝手なことほざきやがって!」と思ったに違いない。
しかし、この本は売れた。
売れたどころか、その後40年以上にもわたって毎年新版が発売されるに至る。
僕は徳大寺さんの車種別評価というのは、それほど意味がないと思っている。
この人の真髄はそこにはない。
もっと大きな、クルマ文化そのものを語らせたら天下一品なのだ。
ファッションから歴史、自動車メーカーが生まれた背景、社会、そういった切り口からクルマを観察し、わかりやすく魅力的な文章で読ませる。
昨年亡くなったカーグラフィックの小林彰太郎氏も素敵な文章を書く人だったが、徳大寺さんはそれ以上だと思う。
今月号のNAVI、今はNAVI CARSという名前に変わったが、徳大寺有恒特集ということで、大きく紙面が割かれている。
その中でとくに印象的なのは、トヨタ・クラウンについての記事だ。
かつて、この日本を代表する高級サルーンについて、徳大寺さんは常に厳しい評価をしてきたと思う。
それは国際的に見て、ジャガーやメルセデスと並べて評価できるクルマではない、ということだ。
しかし「日本の高級車で日本の道を走るには、これ以上はないというところまで到達しているのがクラウンなのである」と評価している。
よく「徳大寺はなんでも欧州贔屓、舶来かぶれ」といわれるが、厳しい内容の「間違いだらけ~」が毎年刊行され支持される一端を見た気がしたのだった。
僕がこの手の本を買うのは、かなり久しぶりなのだが、このNAVI CARS、元々はNAVIという雑誌だった。
僕は1989年頃から1992年くらいまで、ほぼ毎月このNAVI誌を買っていた。
当時のNAVI誌は、他のクルマ雑誌と比べてセンスの良さが抜きんでており、知的で大人の雰囲気があった。
社会とクルマ、クルマと人、ファッション、文学・・・他のクルマ雑誌は新型車の情報が中心であるのに対し、NAVI誌はクルマの楽しみ方への提案があったと思う。
さて、およそ20年ぶりくらいにNAVI誌を買ってみようと思ったのは、特集記事が「徳大寺有恒、という生き方」だったからだ。
徳大寺有恒とは、いわゆる自動車評論家であり、「間違いだらけのクルマ選び」というベストセラー本で有名な人である。
僕はこの人の著書は、件の「間違いだらけ~」のほか5~6冊読んだが、どれも読み物としてとても面白いものだった。
代表作である「間違いだらけのクルマ選び」が最初に本屋に並んだのは1976年だった。
基本的に「まだまだ国産車はダメだ」ということが書かれてある。
そして「それに比べて、欧州車はこんなにも進んでいる」とも書かれてあった。
おそらくこの本を買ったのは、ようやくカローラやサニーを買ったお父さんや、セリカやサバンナをローンで買った若者だろう。
「おまえのクルマは、フォルクワーゲン・ゴルフと比べたらダメダメなんだよ」と書かれた本書を読んで、「何を偉そうに!勝手なことほざきやがって!」と思ったに違いない。
しかし、この本は売れた。
売れたどころか、その後40年以上にもわたって毎年新版が発売されるに至る。
僕は徳大寺さんの車種別評価というのは、それほど意味がないと思っている。
この人の真髄はそこにはない。
もっと大きな、クルマ文化そのものを語らせたら天下一品なのだ。
ファッションから歴史、自動車メーカーが生まれた背景、社会、そういった切り口からクルマを観察し、わかりやすく魅力的な文章で読ませる。
昨年亡くなったカーグラフィックの小林彰太郎氏も素敵な文章を書く人だったが、徳大寺さんはそれ以上だと思う。
今月号のNAVI、今はNAVI CARSという名前に変わったが、徳大寺有恒特集ということで、大きく紙面が割かれている。
その中でとくに印象的なのは、トヨタ・クラウンについての記事だ。
かつて、この日本を代表する高級サルーンについて、徳大寺さんは常に厳しい評価をしてきたと思う。
それは国際的に見て、ジャガーやメルセデスと並べて評価できるクルマではない、ということだ。
しかし「日本の高級車で日本の道を走るには、これ以上はないというところまで到達しているのがクラウンなのである」と評価している。
よく「徳大寺はなんでも欧州贔屓、舶来かぶれ」といわれるが、厳しい内容の「間違いだらけ~」が毎年刊行され支持される一端を見た気がしたのだった。