Music Mania

No Music No Life

ベルばら40年ぶりの新刊

2014年08月30日 | 読書
池田理代子の名作漫画「ベルサイユのばら」の新刊が40年ぶりに発売された。
本来全10巻で、主人公が死んで終わっているのだが、今頃になってファンの要望に応えたのだろうか?
内容は、死んだはずの主人公が生き返るとか、そういうトンデモ内容ではなく、脇役たちの思い出やエピソードになっている。

僕は男のくせにベルばらファンだ。

妻の影響である。

最初は「はぁ?ベルばら?お目々キラキラの典型的少女マンガだろwww」と、全く興味がなかった。
だいたい女子小中学生相手のマーガレットだかリボンだか知らないが、そういうマンガ、アニメなんて、大の男が見るもんじゃない。

あるとき、妻が録画してあったアニメ版ベルばらのビデオを見ていた。
同じ部屋にいる僕は、本を読んだりしていたのだが、ときどき見ていた。
物語の前半は、まるでお姫様ごっこみたいな内容で、実につまらないと思った。

しかし、後半になると、革命の匂いが濃厚になってきて骨太で硬派な雰囲気になってくる。
作画のタッチまで、前半の”一休さん”みたいな顔から、”あしたのジョー”みたいになってきた気がする。
後半の軍隊が銃を撃つところなんて、きちんと1列に並び、一斉射撃のあと、後ろの列と入れ替わっている。
こういう、主な視聴者である少女層にはとってどうでもよさそうなところまで、芸が細かい。

その後、妻がブックオフでベルばらの原作をまとめ買いしてきたので、僕も1巻から全部読んだ。
これはスゴイと思った。
僕は元々NHK大河ドラマみたいな歴史ものが好きなので、こういうのは好きなジャンルだ。
最初は違和感のあった少女漫画タッチも、慣れれば気にならなくなった。

女子小中学生でも読めるわかりやすさと、大人の読者をも引き込む深さとマニアックさが高い次元で両立している。
とくに主人公オスカルをはじめとした架空の人物と、マリー・アントワネットやフェルゼンなど実在の人物との絡みが絶妙であり、それらが一体となって史実を捻じ曲げることなく違和感なく仕上がっている。
物語の大筋が2本あり、一つは主要人物4人の恋愛ストーリー、もう一つは栄華を極めたフランス王朝の繁栄と没落だ。

恋愛のほうはいかにも女性好みの、不倫、三角関係、身分違いの恋、死に別れ、など、昼ドラや韓流ドラマも真っ青な濃さで、読者を愛の渦に巻き込む。
歴史漫画としては、作者の歴女っぷりがこれでもか、というくらい発揮されており、司馬遼太郎なみの下調べがされているのかもしれない。
ちなみに、ベルばらの続編といわれる「エロイカ」はさらに硬派な内容で、いちおうベルばらの登場人物も出てはくるものの、恋愛はほとんどなく戦争と政治の物語になっている。

もし、「たかが少女マンガじゃないか、プゲラww」みたいに思ってる人は考えを改めたほうがいいと思う。
僕のように。

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少年H

2014年08月24日 | 日常
テレビネタ。
最近はテレビを見ないことがカッコいいことらしいが、僕は毎日テレビを見ている。
このブログでも、テレビからのネタは多い。

で、8月のテレビ番組といえば、毎年戦争関連のものが多く放送される。
今年もいくつか放送されたが、視聴率はかなり悪いらしい。
こういうのは代々語り継がなければいけないと思うが、関心のない人が多いのだろう。

今月の戦争関連番組の中で、僕がとくに良かったと思ったのは、昨年劇場公開された「少年H」だ。
水谷豊と伊藤蘭という実際の夫婦が夫婦役を演じて、戦前から戦中、戦後までの「神戸に住む、洋服屋の家族」が描かれている。



外国人居留地に住む欧米人相手に、高級洋服を仕立てる少年Hの家族は、平均より上、今でいう中流の上の生活をしている。
当然、お客さんであるアメリカ人やイギリス人と仲がいい。
その影響もあってか、家族はクリスチャンだ。
やがて戦争が始まる。
アメリカ人と取引していた父は、スパイ容疑で逮捕される。
息子である少年Hは、学校でいやがらせをうける。
釈放された父は家族を守るため、自分を曲げろ、という。
生き残るためには、踏み絵を踏めという。
少年Hはそのことに理不尽を感じながらも、成長していく。

戦争を扱う映画でありながら、戦闘シーンは皆無、そして人が死ぬ場面も最小限に抑えられている。
そして、主人公家族は全員生きて終戦を迎える。
単にお涙ちょうだい映画にしていないところがミソだ。
それでも、ジワジワと忍びよる異常な政治体制、一般国民はおそらく何が起こっているのかよくわからないまま、流されていく様が上手に表現されていると思った。

映画の後半、少年Hは母の行動に異を唱える。
戦後の混乱のなか、貧しい人に米や食事をわけてあげる母に対し、「なんで他人にそんなことするんや」と激怒するのだ。
この怒りは深い。
これは大人たちに対しての少年の怒りなのだ。
戦争を起こし、罪のない人を捕らえ、街を焼け野原にし、新聞はウソばかり書く、そんな大人たちへの怒り、僕はそう感じた。

この映画には原作があり、作者は妹尾河童氏で、彼の実体験を元に書かれたといわれる。
原作も読んでみたいと思った。
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ジューダス・プリースト「贖罪の化身」

2014年08月17日 | 音楽
ジューダス・プリーストの通産17枚目にして6年ぶりとなる新作「贖罪の化身」が発売された。
デビュー前からのオリジナルメンバーであるK.K.ダウニングの脱退で、この先の活動が危ぶまれたが、新たにリッチー・フォークナーというギタリストを迎え入れて初めてのアルバムになる。



最初に聴いたときの第一印象は「ぬるい」の一言だった。
アグレッシブさが足りないように感じたのだ。
何ももっと早い曲をやれとか、ロブ・ハルフォードはもっと高い声で歌え、とか、そういうことを言ってるのではない。
たとえスローでもガツンとパンチのある曲が欲しかった。

それでも何回か聴いていると、悪くないと思えてくるから不思議だ。
ちょっとアルバム「ステンドクラス」から「復讐の叫び」あたりの作風っぽい気もする。
ただ、アルバムを通しで聴くと、全体的に同じダークなトーンに支配されており、一貫性があるといえば聞こえはいいが、悪く言えばどれも似ている。
イントロが冗長に感じる曲が多いからかもしれない。

アマゾンレビューでは非常に評価が高いので、気になる方はこちら
全曲聴くことが出来ます。

そんな時間はない、という人は僕のお勧めを3曲。

1曲目「DRAGONAUT 」



3曲目「HALLS OF VALHALLA 」



12曲目「BATTLE CRY 」




ついでに最近のライブから名曲「Breaking The Law 」
この映像を見ると、新加入のリッチー・フォークナーは、脱退した前ギタリスト、K.K.ダウニングに似ている。
ギタープレイではなく、ルックスが。
金髪であることも、フライングVを使ってるのも、K.Kのビジュアルを意識してに違いない。
しかし・・・この曲でのロブ・ハルフォードはなんと一言も歌わず、最初から最後まで全部客に歌わせている。
こんなことが許されるのはロブだけだ(笑)


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ソーシャルメディアの何が気持ち悪いのか

2014年08月16日 | 読書
香山リカ著書「ソーシャルメディアの何が気持ち悪いのか」を読んだ。



ツイッターやフェイスブック、mixi、LINEなどのSNSにまつわる問題点や違和感が、精神科医という視点からその闇について書かれている。
SNS疲れ、プチ正義感、ネトウヨ、ネット依存といった新たなる病、さらに事件へと発展していった事例なども紹介されている。
いろいろな問題提議がされていて、読んでいてけっこう面白いのだが、やや浅い印象がある。
もう少し深くつっこんで欲しかった気がする。
たとえば、自分のプライベートのことを逐一、あまりに正直に報告している人に対し「なぜSNSとなると、人はこうもあけすけになるのか。なんだかおかしいと思う。」と書かれている。
それがストレスとなり、心のエネルギーの大量消費につながっているのに、やめることが出来ない。
それに対して、著者の精神科医という立場から、もっと鋭い意見があればいいのだが、中途半端に終わっているのだ。

というわけで、感想が非常に書きにくい。
言いたいことはわかる。
僕が前から感じていたことも、具体的に書かれていて、さすがだ、と思うところも多い。
ただちょっとだけ期待外れ。

ここで一つ、4コマ漫画を紹介しよう。
題名は「インターネット」。



誰かが「1+1は3です」と間違ったことをいう。
それを見ていた人が「おっ!バカ発見!」とばかりにやってきて「2だよ」と殴る。
するとそれを見ていた人が続々と集まってきて、「2だよ」と集団叩きが始まる。
こうなると、いわゆる「祭り」状態になり、どんどん人が集まってきては「正義の鉄拳」をくらわすために行列を作りだす。
そして「炎上」状態になっていく。

実例

読売発言小町より。
「高収入の私に家事を強要する妻」

4コマ漫画でいう、最初の一コマ目にあたる内容。
(抜粋)

妻が家事を強要してきてうんざりします。下記家庭の現状です。

家族:私 妻 1歳の息子
私:30歳
年収 500万
勤務時間帯 9時30から終電、土日休

妻:34歳
年収:420万
勤務時間帯 9時から18時、土日休

子供の食事中、妻に子供の食べ散らかしが汚いので掃除しながらたべさせるようにいいました。すると
妻いわく、「全部おわってから掃除するよ」というので、私が、「いつも米粒とかがきちんと掃除できていない」と指摘。すると、「なにもしてくれないくせに文句ばかりいうな」と言われました。
確かに私は家事はすべてまかせていますが、私の方が収入が多いのだから当然かと思うのです。
他の働く母親はきちんとできていることが、なぜ妻はできないのでしょうか。
また、収入差があるので家事を妻がやるのは普通のことだと思うので、皆様の意見をいただき、掲示板を見せたいと思います。
ちなみに土日育児は妻と半分ずつしています。
(抜粋おわり)

この、ちょっと考え方に偏りのある質問トピがたてられたのが、今年の7月14日。
これに対し、暇な主婦連中による集団叩きが始まり、たった二日で576件ものレスがついている。

レス内容は基本的に同じで、どれも「あなたが間違っている」、ということを延々と数百人の人が書いているのだ。

発信源に対し、「それはあなた、ちょっと違うんじゃないですか?」と伝えるのはいい。
人にはいろいろな意見があるので、どれが正しいかはわからない。
なので、最初の10人くらいは、「それはあなたが間違ってますよ」というのはいいだろう。
もっとゆずって50人くらいは、そういってもいいかもしれない。
その50人の意見がほぼ同じなら、それ以上はもう言わなくていいんじゃないだろうか?
意見が真っ二つに分かれてる、あるいは何通りもの意見が出ているのなら、そこで議論をするのはいい。
しかし、次から次へと人がやってきて、同じ意見をぶつけていく、というのは、かなり気持ち悪い。

話を香山リカに戻そう。
彼女は精神科医として、なぜこのような心理状態になるのかを分析すべきだ。
ここを紐解けば、イジメ問題、ムラ社会、排他性、ネトウヨとヘイトスピーチ、などにもつながると思うのだが。
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ゲイリー・ムーア「ヒロシマ」

2014年08月10日 | 音楽
毎年この時期になると、終戦関連、原爆関連のニュースが増えるのが常だが、今年は集団的自衛権のこともあり、議論がいつもより白熱しているように思える。

当ブログはロックで平和を語ろう。

というわけで、今回紹介するのは、ゲイリー・ムーアの83年のメタリックなナンバー「ヒロシマ」だ。



ヒロシマ

彼らはいまだ忘れない
あのリトル・ボーイ(原爆) が産み落とされた日を
彼らはいまだ忘れない
どうして彼らの家が子どもたちの墓になったのかを
あの8月の朝、死んでいった魂の深い苦しみと悲しみを
なぜ、オレたちは耳を傾けないのか
なぜ、オレたちは警告を聞かないのか

ヒロシマ 罪のない人々が炎に焼かれた場所
ヒロシマ その記憶がオレの腹わたを煮えくり返す
ヒロシマ 世界は深く恥じるべき
ヒロシマ 死について向き合って考えて行く場所

多くの読み書きのできない子どもが生まれ
話すこともできず、耳も聞こえず、突然目も見えなくなる子もいる
心は子どものまま大きく育ち、その理由は分らないまま
空から死神が降りてきたときに
母親のお腹の中にいただけなのに

ヒロシマ 罪のない人々が炎に焼かれた場所
ヒロシマ その記憶がオレの腹わたを煮えくり返す
ヒロシマ 世界は深く恥じるべき
ヒロシマ 死について向き合って考えて行く場所

残された我々は彼らの悲しみから教訓を得るべき
そう、明日にも起こり得るすべての惨劇を止められるように

ヒロシマ 罪のない人々が炎に焼かれた場所
ヒロシマ その記憶がオレの腹わたを煮えくり返す
ヒロシマ 世界は深く恥じるべき
ヒロシマ 西側が責めを負うべき

ヒロシマ 罪のない人々が炎に焼かれた場所
ヒロシマ その記憶がオレの腹わたを煮えくり返す
ヒロシマ 人々は立っていた場所に影を焼け付け
ヒロシマ この悪魔の産物(粒子) は災いをもたらす

もう猶予はない、ないんだ、戦争反対



Gary Moore - Hiroshima (閲覧注意:えぐい写真が多いです。しかしこれが現実なのです。)


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