Music Mania

No Music No Life

乱と変

2022年12月28日 | 日常
承久3年に発生した鎌倉幕府と京の朝廷との武力衝突は、通常「承久の乱」と言われる。
この言い方について歴史は深く、十四世紀半の「保暦間記」にはすでに「承久ノ乱」と書かれていて、以降大正時代まで一般的だったと言われる。
大正9年、皇国史観により、上皇様が反乱を起こすというのはおかしいとのことから「承久の変」と呼ばれるが、戦後また「承久の乱」に戻り現在に至る。
しかし、今も頑なに「承久の変」という言い方にこだわってる人もいる。

僕の認識では、「乱」はいわゆる権力に対する武力反乱、あるいは権力の奪い合いで内乱になることで、「変」は権力を武力あるいは陰謀、暗殺などによって強引にとって変わろうとする事件のことで未遂も含む。
なので、承久の乱のような数万人規模の大規模な内戦を「変」と表記するのは明らかにおかしいと思う。
承久の変派の人が言う、上皇が反乱を起こすっておかしい、乱ではないという説について僕の考えはこうだ。
鎌倉幕府を開いた時点から、天皇というのは現在の象徴天皇みたいな状態になり、実際に政治を行っていたのは幕府だということ。
それを再び天皇が権力を取り戻そうと乱を起こしたので、乱で間違ってない。
また、この時点では鎌倉幕府の権力は全国区ではないとの意見もあると思うが、その場合は上皇側と瀑布側の権力の奪い合いによる内戦となるので、やはり乱で間違いないだろう。
乱後は、天皇が政治に口出しすることはほとんどなくなり、それは江戸時代が終わるまで続くことになる。
というより、現在まで続いていると言っても過言ではない。
ちなみに僕が言うまでもなく、歴史学者と言われる人のほとんどは「承久の乱」と書いているので、確定しているといってい。
皇国史観というのは、例えば前にも書いたけど、元寇の勝利は本当は日本軍が強かったからによる実力によるものなのに、「劣勢だった日本軍だが、神風が吹いたおかけで勝利した」というような歴史捏造を平気で行ってるので要注意である。

乱と変の違いについて、完全に間違った認識が一部でまかり通っているのが気になる。
それは、成功したクーデターが変、失敗したクーデターが乱というもので、これは間違いである。
失敗した変はいくらでもあるし、成功した乱も少ないけどある。

さらに乱と変について調べるため、日本史における全ての乱と変を解説するという4時間に及ぶ動画を見た。
あくまでも乱と変についての解説であり、ナントカの役、ナントカの戦い、ナントカ戦争などは省略している。
日本の全ての乱と変についての解説を聞いた結果、やはり僕の乱と変についての認識は間違ってなかったと確信した。

変と乱で読み解く日本史


中には、乱と呼ばれてるけど変のような内容だったり、変なのに乱みたいなのもある。
例えば平治の乱の第一戦である三条殿焼き討ちは乱というより変かもしれない。
しかしその後の六波羅合戦は完全に乱である。
これを戦国時代に例えると、本能寺の変と山崎合戦がワンセットになったようなものだろう。
また幕末の禁門の変は、事件の前から長州勢が武装決起するのを幕府側は知っており、あらかじめ防備を固めた状態で合戦となっているので、乱といってもいいくらいだ。

話を承久の乱の戻すと、天皇や上皇が内乱の主役になり、敗北して流罪などになっている事例は他にもある。
壬申の乱しかり、保元の乱しかり。
また、元弘の乱も承久の乱同様、天皇による鎌倉幕府に対する反乱で、こちらは反乱側の勝利となり鎌倉時代の終わりとなる。
かと言って再び天皇が政治権力をもつことはなく、室町幕府成立に繋がるのだった。

鎌倉殿の13人終わる

2022年12月25日 | 日常
大河ドラマ鎌倉殿の13人が終了した。
素晴らしいドラマだった。
治承寿永の乱に始まり、承久の乱で終わるまで、何度も何度も乱や変が起こり、その度に主要な人物がどんどん死んでいくという殺伐としたドラマであった。
そんななかでも三谷幸喜脚本のユーモアが光り、複雑な人間関係もわかりやすく描かれていたと思う。

物語の前半は源頼朝の挙兵と北条家の人々の動きがメインで、時には中違いをしながらも平家軍を追い詰めていく様子がドラマチックに描かれた。
平家滅亡後は、鎌倉政権内での内ゲバが続き、小栗旬演じる北条義時がどんどん冷徹になりダーク化していく。
今までの大河だと、主人公はわりと善人(に見えるような演出)になってることが多いが、今回は悪人そのものである。
まったく無実であっても、いいがかりのような文句をつけ、消していく。
こんな主人公は初めてだ。
ドラマの初めの方で、義時の兄が言う。
「源氏とか平家とかどうでもいい、坂東武者の世の中になり、その頂点に北条が立つ、それが目標だ」
義時はこの兄の願いを叶えるため、手段を選ばなかったのだ。

個人的には、鎌倉幕府創立の様子がよくわかったのが良かった。
学校で習う基本的なことは知ってるつもりだったが、ここまで血生臭い事件が頻繁に発生していたのは知らなかった。
今回のドラマでこの時代を知ることが出来たし、この時代の主要な人物を知ることが出来てよかった。
また近いうちに別の主人公でこの時代をやってほしいものだ。

最終回で主人公北条義時は妻に毒をもられ、体調を崩していく。
妻に毒を与えたのは親友の三浦義村だ。
そして、姉の北条政子からわざと薬を与えられず苦しみながら死んだ。
こんな悲しい結末を迎えた大河の主人公もまた初めてだろう。
しかし考えようによっては、これでようやく義時はラクになれたのかもしれないし、息子が立派に成長したのもみた。
これでよかったのだ。

昨年に引き続き、今回も大河ドラマ系ユーチューバーの解説動画でより深くドラマを楽しめた。
いつも見てるのはミスター武士道さんとヤギシタさんの動画で、前者は歴史オタクによる大河ドラマで学ぶ歴史解説、後者はドラマオタクによるドラマとしての解説だ。
これを毎回見ることにより、歴史ドラマの複雑な人間関係、乱や変、登場人物の詳しい経歴とその後が理解出来た。

来年は徳川家康である。
日本史史上最大級の重要人物だ。
人質時代から織田信長、豊臣秀吉の死後、関ヶ原の戦い、江戸幕府、大坂の陣まで、長くてドラマティックすぎる人生だ。 
第一回は「どうする桶狭間」という題名なので、いきなり桶狭間の戦いからスタートするようである。
来年も楽しみだ。

クリスマスソングの聴きすぎに注意

2022年12月24日 | 音楽
今朝ネットで見かけた投稿で、クリスマスソングが大好きで一年中聴いてるという人を見かけた。
クリスマスソングはいい曲が多いし独特の雰囲気があるので気持ちはわからんでもないけど、さすがに一年中も聴きたいとは思わない。
きっとその人は毎年ハッピーなクリスマスを迎えていて幸せなんだろう。
いいことではある。

その反面「クリスマスソングの聴きすぎはメンタルに悪影響」という記事もあったので読んでみた。
それは小売店などで12月に入ると好むと好まざる関係なく一日中クリスマスソングが流れる環境になり、そこで働いている人はメンタルがやられることがあるということ。
誰もがクリスマスをハッピーな日だと思ってるわけではないし、リア充に過ごさねば、という焦りだったり、元々そういうのか苦手だったり、いろいろあるんだろうけど、そういう環境にいる人は選択の余地なくクリスマスソングを延々と聞かされることになるのだ。
そのせいで心が病むことがあるという。

ところで今週の全米シングルチャートを見ると、上位にクリスマスソングがズラリと並んでいるのがわかる。
とくに1位がマライア・キャリーの「恋人たちのクリスマス」なのは驚きだ。
さらに9位にはワム!の「ラストクリスマス」まで入っている。
こういうのって、日本でいえば山下達郎がクリスマス時期になると毎年上位に入ってくるみたいなものだろう。
この手の定番曲は、これを聞かなきゃクリスマスな感じがしないような気がするからだろう。

1.All I Want For Christmas Is You/Mariah Carey
2.Rockin Around The Christmas Tree/Brenda Lee
3.Jingle Bell Rock/Bobby Helms
4.Unholy/Sam Smith & Kim Petras
5.Creepin/Metro Boomin,The Weeknd,21 Savage
6.Anti-Hero/Taylor Swift
7.A Holly Jolly Christmas/Burl Ives
8.Superhero(Heroes&Villains)/Metro Boomin,Future,Chris Brown
9.Last Christmas/Wham!
10.Rich Flex/Drake & 21 Savage

40周年

2022年12月17日 | 音楽
マイケル・ジャクソンの歴史的名盤スリラーが発売されて今年で40年だという。
40年前といえば1982年だが、僕の記憶では1983年のイメージだ。
発表されたのが82年で、大ヒットして話題になったのが83年なのだろう。
というわけで40周年記念アルバムが発表されたので早速DLした。

今更説明不要の前代未聞アルバムは、今も世界一売れたアルバムの記録を保持し、今後抜かれることはないだろう。
そして、全9曲中7曲がシングルカットされ全て全米トップテンヒットというバケモノアルバムである。
おそらく本人もここまでの大ヒットになるとは予想していなかっただろう。
今あらためてこれを聴くと、80年代というものを象徴するようなサウンドで、次作バッドほどゴージャス感がないのがいい。
適度に華やかで、適度にポップで、多くの人に受け入れられやすい親しみやすさに溢れている。
よくこのアルバムは黒人音楽からの脱却とか、RアンドBを超えたみたいにいわれるけど、僕の感覚としては白人の一般的なポップ作品よりかなりブラック要素が強いと思う。
たしかにボール・マッカートニーとの共演や、スティーブ・ルカサーやエディ・ヴァン・ヘイレンといったロック畑のギタリストを使うなど、かなり意識してるのはわかるけど、出てくるサウンドはやはりソウルフルでファンキーな色が出ている。

さて、この40周年版の目玉となるのは10曲目からの未発表曲や未発表デモで、「スリラー」の原曲である「スターライト」以外はこのアルバム用に準備されたけど収録されなかった曲である。
どの曲もクオリティは高く、なぜ収録されなかったのだろうと思うほどだが、この中の1曲でも入れ替わってたら記録的セールスに繋がっていなかったかも知れず、判断は非常に難しい。
かなり異色に感じるのはYMOのカバーである「ビハインド・ザ・マスク」で、後にアルバム「マイケル」に収められたバージョンよりYMO色が濃い。
それ以外のアルバム制作時に採用されなかった曲の特徴としては、ファンク、ソウルなど黒人要素の強い曲が多いことだ。
それだけこのアルバムは、人種の壁を越えたものにしたかったということで、見事それは成し遂げられたのだった。

もう一つ40周年アルバム。
こちらはキッスの「暗黒の神話」の40周年記念アルバムで、もちろんスーパーデラックス版はたくさんのオマケ付きなのは言うまでもない。
内容は暗黒の神話本編リマスター音源と、同時期のベスト盤である「キラーズ」の新曲4つ、未発表曲3曲、そしてそれらのデモ音源、さらに82年ツアーのライブ音源だ。
リマスターについては音質オンチの僕はよくわからないが、低音域がしっかり出ていて現代的なサウンドとなっている。
未発表曲となるのは「デッドリー・ウェポン」「フィール・ライク・ヘブン」「ベドレイト」で、とくにジーンの歌う「フィール・ライク・ヘブン」がいい。

「アライブ2」で世間の人気は頂点を迎えるものの、メンバー間の亀裂が浮き上がり、空中分解していくことになる。
AORにディスコ、ポップロック、コンセプトアルバムなど試行錯誤した結果、キッスが出した答えがこの「暗黒の神話」のハードでメタリックなサウンドだ。
今思えばこれは大正解で、70年代と比較すると人気や話題度は落ちたかもしれないが、見事に80年代を生き残ることが出来たのは、このハード路線に舵をきったおかげだと思う。

82年のライブ音源は、高音質でこの時期のライブが楽しめるのはいいのだが、なぜかヴィニーのギターがイマイチである。
後の「リック・イット・アップ」ツアーのような弾きまくりではなく、また有名なブラジル公演よりもだいぶ控えめに弾いているのがよくわかる。
腕もセンスもあるギタリストなので、もっと全面に出すべきだったと思う。
最後にツアーSEというのが入っていて、この頃のステージセットである戦車をイメージした、キャタピラ音や走行音などがいくつか入っている。
激レアではあるものの、超マニア向けなものだ。

花魁ROCKER 京都MOJO その3

2022年12月10日 | 花魁ROCKER
11月20日の京都MOJOでのライブ動画がようやく解禁になった。
この日のライブはツイキャスで配信されており、お金を払えばリアルタイムで生中継が見れたほか、配信から2週間の間はいつでも何回でもライブ動画を見ることが出来るのだ。
僕はこの配信チケットを買ってあったので、家に帰ってから見直して、自分用に動画を取り込んでYouTubeにアップするなどしてたのだが、2週間の間は有料コンテンツなので公開出来なかったのである。

自分以外の人がツイキャス配信した動画をどうやってDLするかはいろいろ方法があるのだが、僕はDropboxというアプリで取り込もうとした。
が、なぜかうまくいかなかったので他のやり方はないか調べたところ、ものすごくシンプルに出来る方法があることを知った。
これは僕が知らなかっただけで、iPhoneを使っている人なら常識なのかもしれないけど、僕はこんな便利機能があるのを今まで知らなかったのだ。

そのやり方はこうだ。
いわゆる動画キャプチャというもの。
設定からコントロールセンターへ。
コントロールセンター内にある「コントロールをカスタマイズ」を選択。
 「画面収録」の項目横の+ボタンを押し、コントロールセンター内に「画面収録ボタン」を表示させる。
画面収録ボタンを押してツイキャス動画を再生する。
それがそのまま録画してされてピクチャに保存される。
これはツイキャスに限らず、YouTubeでもなんでもスマホで見られる動画は全部OKだ。

というわけで、我々のライブ動画だ。
ライブハウス側による4カメ映像だけど、ズームアップはなし。
以前四日市ケイオスで撮ってくれた動画ほどのクオリティはないけど、まあ十分だろう。
ただこの日はカメラの機材トラブルがあり、きちんと撮れていないところも存在した。
音声はラインだけどPA出力音源ではなく、専用のステレオ音源になっている。
サウンドボード直の生々しすぎる音像ではないものの、客席側のマイクはないので臨場感に欠ける。

後から見てわかったのは、1曲目六本木心中のイントロから1回目のサビの途中くらいまで音のバランスが悪いこと。
これはサウンドチェックなしでいきなり本番に挑んだせいである。
それ以降のバランスはいい。
前回の四日市ルーツが、バックコーラス大きめだったのに対し、ここは小さめなのが特徴だ。
またベースの音がゴリゴリして存在感高めである。
この辺はライブハウスのPAさんの好みや方針によるもので、良い悪いの話ではない。
9分弱ですので、興味のある方は是非ご覧ください。


花魁ROCKER 京都MOJOダイジェスト