奥田英朗「沈黙の町で」読了。
今回のテーマは中学生のイジメ。
ネタバレにならない程度にザッと内容を書くと、ある地方都市の中学校で一人の生徒が死んだ。
どうもその生徒はイジメられてたらしい。
被害者家族と複数の加害者家族、生徒、教師、警察、検事、マスコミそれぞれの視点から真相に迫る。
それにしても奥田英朗という人、地方の普通の人を書かせたら天下一品だ。
おそらく読者の大半は中学生以上だと思うけど、それは即ち中学生経験者ということで、誰もがそのリアリティーに驚くに違いない。
とくに男子生徒の、いわゆる「男子界」の空気が見事に描かれていて、思わず自分の中学生時代を思い出してしまった。
宮部みゆきの小説に出てくる非現実的なスーパー少年ではなく、どこにでもいる普通の男子ばかりなのだ。
この小説の凄いところは、イジメられるほうも悪い、というイジメ問題最大のタブーにメスを入れてるところである。
もちろん、だからといってイジメていい、にはならないのだけど、中学生にそんな分別は困難なのだ。
それと、ここに出てくるイジメは、壮絶なものではなく、悪ふざけの延長線上にあるレベルである。
イジメられてる本人すら、イジメられてる実感がないようなもので、だからこそ非常に微妙でかえって問題を難しくしている。
物語の後半になってくると、被害少年より加害少年の方に肩を持つような展開になっていく。
そして衝撃のラスト。
良い意味で後味が悪すぎる。
奥田群像劇としては、「最悪」「邪魔」「オリンピックの身代金」と並ぶ傑作だと思う。
(おまけ)
「ナオミとカナコ」
同じく奥田英朗作品でとっくに新刊は発売されていて、文庫待ちをしてたんだけど、先にドラマ化されてしまった。
というわけで、今回珍しく民放ドラマを見ることにした。
主演は広末涼子と内田有紀。
こちらのテーマはDV夫と完全犯罪の目論見。
とりあえず先に実写版をみて、文庫化されたらまた読みたいと思う。
今回のテーマは中学生のイジメ。
ネタバレにならない程度にザッと内容を書くと、ある地方都市の中学校で一人の生徒が死んだ。
どうもその生徒はイジメられてたらしい。
被害者家族と複数の加害者家族、生徒、教師、警察、検事、マスコミそれぞれの視点から真相に迫る。
それにしても奥田英朗という人、地方の普通の人を書かせたら天下一品だ。
おそらく読者の大半は中学生以上だと思うけど、それは即ち中学生経験者ということで、誰もがそのリアリティーに驚くに違いない。
とくに男子生徒の、いわゆる「男子界」の空気が見事に描かれていて、思わず自分の中学生時代を思い出してしまった。
宮部みゆきの小説に出てくる非現実的なスーパー少年ではなく、どこにでもいる普通の男子ばかりなのだ。
この小説の凄いところは、イジメられるほうも悪い、というイジメ問題最大のタブーにメスを入れてるところである。
もちろん、だからといってイジメていい、にはならないのだけど、中学生にそんな分別は困難なのだ。
それと、ここに出てくるイジメは、壮絶なものではなく、悪ふざけの延長線上にあるレベルである。
イジメられてる本人すら、イジメられてる実感がないようなもので、だからこそ非常に微妙でかえって問題を難しくしている。
物語の後半になってくると、被害少年より加害少年の方に肩を持つような展開になっていく。
そして衝撃のラスト。
良い意味で後味が悪すぎる。
奥田群像劇としては、「最悪」「邪魔」「オリンピックの身代金」と並ぶ傑作だと思う。
(おまけ)
「ナオミとカナコ」
同じく奥田英朗作品でとっくに新刊は発売されていて、文庫待ちをしてたんだけど、先にドラマ化されてしまった。
というわけで、今回珍しく民放ドラマを見ることにした。
主演は広末涼子と内田有紀。
こちらのテーマはDV夫と完全犯罪の目論見。
とりあえず先に実写版をみて、文庫化されたらまた読みたいと思う。