「スナック」
子供の頃の話である。
近所に一軒の小さな店が出来た。
スナックというらしい。
スナックとはなんだ?スナック菓子でも食べさせてくれるのか?
ある日、母に尋ねてみた。
「あの店は、大人が夜に行く店よ」
そうか、そうだったのか。
子供に隠れて、ああいう店に行き、コソコソと「かっぱえびせん」や「サッポロポテト」を食べてるんだ。
大人ってずるいと思った。
「ステーキ」
25歳くらいの頃である。
高級な食事をしてみたい、そう思った私は、和牛の最高潮といわれる松阪牛のステーキを腹いっぱい食べてみたくなった。
フォルクスやあさくまではダメだ。
あれは庶民のステーキだ。
私が食べたいのは、もっと高級なものである。
そして前から目をつけてあった、松阪市の某高級ステーキ店へ向かった。
当時、フォルクスやあさくまのステーキだと1500円~2000円くらいだったと思う。
松阪牛ならその倍、いや3倍、あるいはそれ以上するかもしれない。
おそらく1万円くらいはするだろう。
余裕を持って2人分で3万円を用意して店へ向かった。
店の入り口のところにメニューが置いてあった。
いちおう目を通してみることにした。
目が点になった。
まともなステーキを食べようとすれば、最低でも一人前3万円はするのである。
自分の予算で食べられそうなのは、せいぜいハンバーグくらいしかないのだった。
店員が来た。
「ご予約のお客様でしょうか?」
男はあきらめが肝心、いそいそと店を出たのであった。
その後、普通の焼肉屋で、肉を食べた。
その庶民的な味わいは、敗北感と自分の小ささにうんざりした自分の身の丈にあってると思った。
「刺身」
以前会社の同僚だったY氏は、魚にうるさい。
居酒屋で刺身の盛り合わせなどを頼んでも、これは新鮮じゃないだの、色がおかしいだの、どこそこの魚はもっと旨かっただの言うのである。
父親が漁師だという彼は、子供の頃から新鮮な魚を日常的に食べているだろうから、うるさいのも頷ける。
しかし、しかしだ。
問題なのはその食べ方である。
刺身の両面に醤油をベッタリつけ、それだけではものたりないのか、箸で刺身に穴を開け、醤油を染込ませて食べるのである。
それでは醤油の味しかしないのではないだろうか?
私はY氏の薀蓄に耳を傾けはするが、当てにはしないことにしている。
子供の頃の話である。
近所に一軒の小さな店が出来た。
スナックというらしい。
スナックとはなんだ?スナック菓子でも食べさせてくれるのか?
ある日、母に尋ねてみた。
「あの店は、大人が夜に行く店よ」
そうか、そうだったのか。
子供に隠れて、ああいう店に行き、コソコソと「かっぱえびせん」や「サッポロポテト」を食べてるんだ。
大人ってずるいと思った。
「ステーキ」
25歳くらいの頃である。
高級な食事をしてみたい、そう思った私は、和牛の最高潮といわれる松阪牛のステーキを腹いっぱい食べてみたくなった。
フォルクスやあさくまではダメだ。
あれは庶民のステーキだ。
私が食べたいのは、もっと高級なものである。
そして前から目をつけてあった、松阪市の某高級ステーキ店へ向かった。
当時、フォルクスやあさくまのステーキだと1500円~2000円くらいだったと思う。
松阪牛ならその倍、いや3倍、あるいはそれ以上するかもしれない。
おそらく1万円くらいはするだろう。
余裕を持って2人分で3万円を用意して店へ向かった。
店の入り口のところにメニューが置いてあった。
いちおう目を通してみることにした。
目が点になった。
まともなステーキを食べようとすれば、最低でも一人前3万円はするのである。
自分の予算で食べられそうなのは、せいぜいハンバーグくらいしかないのだった。
店員が来た。
「ご予約のお客様でしょうか?」
男はあきらめが肝心、いそいそと店を出たのであった。
その後、普通の焼肉屋で、肉を食べた。
その庶民的な味わいは、敗北感と自分の小ささにうんざりした自分の身の丈にあってると思った。
「刺身」
以前会社の同僚だったY氏は、魚にうるさい。
居酒屋で刺身の盛り合わせなどを頼んでも、これは新鮮じゃないだの、色がおかしいだの、どこそこの魚はもっと旨かっただの言うのである。
父親が漁師だという彼は、子供の頃から新鮮な魚を日常的に食べているだろうから、うるさいのも頷ける。
しかし、しかしだ。
問題なのはその食べ方である。
刺身の両面に醤油をベッタリつけ、それだけではものたりないのか、箸で刺身に穴を開け、醤油を染込ませて食べるのである。
それでは醤油の味しかしないのではないだろうか?
私はY氏の薀蓄に耳を傾けはするが、当てにはしないことにしている。