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判決

2008-05-04 | 社会
 
 松下プラズマ偽装請負告発解雇事件の控訴審判決が4月25日大阪高裁で下された。
 内容は一審判決を覆し、訴えていた労働者の主張を全面的に認め、。
 以下、判決の主文と要旨を紹介します。全文(PDF)はこちらから       

<判決主文>

1 1審原告の控訴に基づき、原判決を次の通り変更する。

(1) 1審原告が、1審被告に対し、別紙3の内容の雇用契約上の権利を有する地位にあることを確認する。

(2) 1審被告は、1審原告に対し、平成18年3月以降、毎月25日限り、24万0733円及びこれに対する各支払い期日の翌日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。

(3) 1審原告が、1審被告に対し、リペア作業に就労する義務のないことを確認する。

(4) 1審被告は、1審原告に対し、90万円及び内45万円に対する平成17年11月23日から、内45万円に対する平成18年3月9日から、各支払い済みまで年5分の割合による金員を支払え。

(5) 1審原告のその余の請求をいずれも棄却する。

2 1審被告の控訴を棄却する。

3 訴訟費用は、1審被告の控訴状貼用印紙の費用を1審被告の負担とし、その余の費用を1、2審を通じて2分し、その1を1審被告の、その余を1審原告の各負担とする。

                 
<判決要旨>
                    (「しんぶん赤旗」08/04/26より)
▽雇用契約の権利
 原判決を変更し、原告が雇用契約上の権利を有する地位にあると確認する。被告は原告にたいし、二〇〇六年三月以降、月二十四万円余の賃金と九十万円の慰謝料などを支払え。

▽黙示の労働契約
 松下プラズマと請負・派遣業者パスコとの契約は、違法に原告を労働者として供給するもので、職安法四十四条(労働者供給事業の禁止)、労基法六条(中間搾取の排除)にてらし、民法九〇条(公序良俗に反する行為は無効)により無効。派遣法の改定で派遣が製造業に解禁された後も、無効であることには変わりない。継続した状態にある被告と原告間の関係を根拠づけえるのは、両者の使用従属関係、賃金支払関係である。両者の間には黙示の労働契約が認められる。

▽配置転換は報復
 原告は一年半にわたり、ディスプレイパネルの封着工程に従事。二カ月契約を多数回更新していた。被告は、別のリペア(修復)作業を原告一人に行わせる必要はなかった。原告の直接雇用要求や大阪労働局への申告などにたいする報復のために、リペア作業を命じたといえ、権利濫(らん)用であり無効。原告がリペア作業に就労する義務はない。

▽解雇権の濫用
 〇六年一月、雇用契約が終了するとの被告の通告は、同年二月までの契約期間中になされたもので解雇の意思表示にあたり、解雇権の濫用であり無効。かりに雇い止めの意思表示としても、契約が多数回更新され、封着工程が現在も行われており、更新拒絶の濫用として許されない。原告は、労働契約上の権利を有しており、賃金の支払いを請求できる。

▽不法行為を構成
 リペアへの配置転換、解雇または雇い止めの意思表示は、不法行為を構成し、原告の精神的苦痛にたいする慰謝料は、各四十五万円、合計九十万円相当と認められる。