安倍政権が今国会での強行しようとしている「戦争法案」については、憲法学者だけでなく、各界からも懸念や反対の声が上がっています。
そのような中で、先に発表されて真宗大谷派(東本願寺)宗務総長名で出された「宗派声明」を下に紹介します。
日本国憲法の立憲の精神を遵守する政府を願う
「正義と悪の対立を超えて」
私たちの教団は、先の大戦において国家体制に追従し、戦争に積極的に協力して、多
くの人々を死地に送り出した歴史をもっています。その過ちを深く慙愧する教団として、
このたび国会に提出された「安全保障関連法案」に対し、強く反対の意を表明いたしま
す。そして、この日本と世界の行く末を深く案じ、憂慮されている人々の共感を結集し
て、あらためて「真の平和」の実現を、日本はもとより世界の人々に呼びかけたいと思
います。
私たちは、過去の幾多の戦争で言語に絶する悲惨な体験をいたしました。それは何も
日本に限るものではなく、世界中の人々に共通する悲惨な体験であります。そして誰も
が、戦争の悲惨さと愚かさを学んでいるはずであります。けれども戦後70年間、この
世界から国々の対立や戦火は消えることはありません。
このような対立を生む根源は、すべて国家間の相互理解の欠如と、相手国への非難を
正当化して正義を立てる、人間という存在の自我の問題であります。自らを正義とし、
他を悪とする。これによって自らを苦しめ、他を苦しめ、互いに苦しめ合っているのが
人間の悲しき有様ではないでしょうか。仏の真実の智慧に照らされるとき、そこに顕(あ
き)らかにされる私ども人間の愚かな姿は、まことに慙愧に堪えないと言うほかありま
せん。
今般、このような愚かな戦争行為を再び可能とする憲法解釈や新しい立法が、「積極
的平和主義」の言辞の下に、何ら躊躇もなく進められようとしています。
そこで私は、いま、あらためて全ての方々に問いたいと思います。
「私たちはこの事態を黙視していてよいのでしょうか」、
「過去幾多の戦火で犠牲になられた幾千万の人々の深い悲しみと非戦平和の願いを
踏みにじる愚行を繰り返してもよいのでしょうか」と。
私は、仏の智慧に聞く真宗仏教者として、その人々の深い悲しみと大いなる願いの中
から生み出された日本国憲法の立憲の精神を蹂躙する行為を、絶対に認めるわけにはま
いりません。これまで平和憲法の精神を貫いてきた日本の代表者には、国、人種、民族、
文化、宗教などの差異を超えて、人と人が水平に出あい、互いに尊重しあえる「真の平
和」を、武力に頼るのではなく、積極的な対話によって実現することを世界の人々に強
く提唱されるよう、求めます。
2015年5月21日
真宗大谷派(東本願寺)宗務総長 里 雄 康 意
そのような中で、先に発表されて真宗大谷派(東本願寺)宗務総長名で出された「宗派声明」を下に紹介します。
日本国憲法の立憲の精神を遵守する政府を願う
「正義と悪の対立を超えて」
私たちの教団は、先の大戦において国家体制に追従し、戦争に積極的に協力して、多
くの人々を死地に送り出した歴史をもっています。その過ちを深く慙愧する教団として、
このたび国会に提出された「安全保障関連法案」に対し、強く反対の意を表明いたしま
す。そして、この日本と世界の行く末を深く案じ、憂慮されている人々の共感を結集し
て、あらためて「真の平和」の実現を、日本はもとより世界の人々に呼びかけたいと思
います。
私たちは、過去の幾多の戦争で言語に絶する悲惨な体験をいたしました。それは何も
日本に限るものではなく、世界中の人々に共通する悲惨な体験であります。そして誰も
が、戦争の悲惨さと愚かさを学んでいるはずであります。けれども戦後70年間、この
世界から国々の対立や戦火は消えることはありません。
このような対立を生む根源は、すべて国家間の相互理解の欠如と、相手国への非難を
正当化して正義を立てる、人間という存在の自我の問題であります。自らを正義とし、
他を悪とする。これによって自らを苦しめ、他を苦しめ、互いに苦しめ合っているのが
人間の悲しき有様ではないでしょうか。仏の真実の智慧に照らされるとき、そこに顕(あ
き)らかにされる私ども人間の愚かな姿は、まことに慙愧に堪えないと言うほかありま
せん。
今般、このような愚かな戦争行為を再び可能とする憲法解釈や新しい立法が、「積極
的平和主義」の言辞の下に、何ら躊躇もなく進められようとしています。
そこで私は、いま、あらためて全ての方々に問いたいと思います。
「私たちはこの事態を黙視していてよいのでしょうか」、
「過去幾多の戦火で犠牲になられた幾千万の人々の深い悲しみと非戦平和の願いを
踏みにじる愚行を繰り返してもよいのでしょうか」と。
私は、仏の智慧に聞く真宗仏教者として、その人々の深い悲しみと大いなる願いの中
から生み出された日本国憲法の立憲の精神を蹂躙する行為を、絶対に認めるわけにはま
いりません。これまで平和憲法の精神を貫いてきた日本の代表者には、国、人種、民族、
文化、宗教などの差異を超えて、人と人が水平に出あい、互いに尊重しあえる「真の平
和」を、武力に頼るのではなく、積極的な対話によって実現することを世界の人々に強
く提唱されるよう、求めます。
2015年5月21日
真宗大谷派(東本願寺)宗務総長 里 雄 康 意