詩と短歌集/photo poem 雪割一華(ゆきわりいちげ)

写真短歌・写真俳句・写真詩・随筆散文・陶芸の話など自由気ままに書いています。  

北の便り-枯葉の手紙

2012-02-28 | お気に入り


<北の便り-枯葉の手紙>

冬の終わりに出会った白い鳥を 
雪の化身だといまだに思っている。
なごり雪の止んだ春の日に 
無事に北の国へ着いたらしいけれど
あの鳥が風切羽で 
美しい物語を紡いでいた事を全く気付かず
見てはならない戸の隙間から
折れた羽がのぞいていて

知ったのは深い深い鳥の哀しみ

遠くで北へ帰った鳥の鳴き声を聞いた 
たった一声だったけれど
未だに羽の傷は癒えないらしく 
南へ飛べるのは雪の舞う頃か

私は鳴けないから笛を作る事にした 
たぶん忘れているだろう私の声の代わりに
目印になるように空色にして 
北斗七星を刻むことにした

「笛の色はね、あの北の湖の 
エメラルドブルーにしたんだよ
音はかすかで届かないかも知れないから
目印に北斗七星を刻んだよ
ひしゃくの柄の先端に向かって
飛べばいいから
新しい風切羽できっと飛べるから・・・」

めずらしく夜更かしをしていて
カーテンをゆらす風の気配
夕方の雨が
連れてきたのか置き忘れたのか
懐かしく白い風の気配 
線香花火の火が消えないよう 
あわてているうちに
煙のにおいだけ
のこして過ぎる夏の夜の夢
窓のカーテンを揺らした風の中に 
その鳴き声は紛れ込んでいた
本物かまぼろしかととまどううちに 
風は止みカーテンは澄ましている

ふた月もすると北の山々は雪になり 
雪に乗って鳥たちの渡りが始まる

風の去った窓ガラスに
木の葉の手紙が一枚はさんであり
「わたしはげんき ふえのおともきこえているよ」
と書かれたひらかなだけの文字の手紙
北の便りには
枯葉の切手に雪模様の消印が押されていた
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水彩-4F水路

2012-02-28 | 鉛筆は6B



<水彩-4F水路>

ホルベインのR画用紙170Kに透明水彩絵の具で彩色。水彩紙は使う前に

舌の先でチョンと触れるくせがある。これは紙の吸込み具合をみるため

で良く吸い込む紙は滲みやすく、吸い込まない紙は乾きにくい。

舌の先が吸いつくような感触があると吸込みの度合いが強い。吸込みの

弱い紙はドーサ(ニカワとミョウバンをまぜた薄い液)という弾きどめ

で加工してあり、濃さの加減で強弱が調節できる。水彩紙・和紙も同じ

処理がなされ使い分けられている。書道の青墨のにじみの効果を出す時

ドーサの弱い和紙を使用したりする。

コメント (2)
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