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バリゴヤノ頭~山上ヶ岳~行者還岳

2014-05-02 21:45:06 | 山歩き…大峰山脈
山名:バリゴヤノ頭~山上ヶ岳~行者還岳

山行目的:バリゴヤノ頭へ行ってみたい&
       久々のテント泊縦走を満喫する

山行日:2014年4月30日(水)~5月2日(金)

天気:1日晴れ稜線上はたまにガス
    2日朝のうち稜線上はガス、のち晴れ

山行者:単独です。

CT:
30日 自宅11:30=桑名東IC=天理IC=下市温泉=大川口17:30(車中泊)

1日 大川口5:52…バリゴヤノ頭10:38…稲村ヶ岳12:54…山上辻13:30…
レンゲ辻14:10…山上ヶ岳14:56…小笹宿15:36(テント泊)

2日 小笹宿5:27…大普賢岳6:45…七曜岳8:09…行者還岳9:02…
行者還避難小屋9:29~迷って30分程ロス~下降開始10:00…
大川口12:05/12:10=洞川温泉=天理IC=桑名東IC=自宅19:30



≪1日≫
大川口登山ポストから西へ進み、

右カーブを越えた辺りから取り付く。

踏み跡は割としっかりしていて目印もある。

すぐに尾根道となる、しかしかなり急登で息が上がる。

やがて尾根上に岩群が現われた。

記録を読むと直登している方もいるみたいだけど、

どの岩も左側に巻き道が付いているのでそちらを利用させてもらう。

やがて1510ピークの手前の“巻けない岩”が現われる。

目測で高さ15~20mくらいか、右は絶壁で巻けそうにない。

正面突破か、左に巻き気味にとるルートか。

正面突破は手強そうな気がしたので左へ進路をとった。

オーバーハング気味の岩の下を登り泥付きの溝を登っていく。

上の方で二股に分かれていて、

右側の岩肌には上から残置ロープが垂れている。

ロープを頼りに登って行こうとも思ったが今一ルートが掴めない、

岩肌は濡れていて滑りやすそうで岩は案外もろく

力を入れて掴むとぽろっと取れる所も多い。

なにしろこの残置ロープ信用できるのか…

怖いと思う要素が多すぎて止めました。

二股を左へ進路をとる、

途中枯れ木が引っ掛かっていて通過に難儀した。

なんとかテラスのような所に登り詰め一息入れられた。

しかしまだ先はあり、急な沢をトラバースし、

湿った急斜面を登っていかなければ

この大きな岩の上には上がれないようだ。

こちらもどうやら行き詰まり感がある。

しかしここから引き返すのも大変だ。

ビデオを巻き戻したように下っていければいいが、

エイヤッで登った箇所もあり危なそうだ。

テラスの上には太い幹の木がちょうどあり

ここにザイルをまわしてクライムダウンできそうだった。

8mm30mのダブルを持ってきているので実質下降できるのは15m程だ。

枯れ木が引っ掛かっている所は下降時にも難儀したが、

さらに下の少しだけ斜面が緩やかな所まで下降する事ができた。

ザイルを回収し、オーバーハング岩の下の泥つきを慎重に下る。

残るは正面突破のみ、

うーんと悩んで、ビビリ症が発症する前にやってみるかと進む。

泥付きの急斜面を四つん這いになって登っていく。

難しいと思っていた泥つきは滑らずに案外楽に登っていけた。

どんつきは高くそびえる岩壁、これを直登するのは不可能。

右に目をやると人丈ほどの岩の段、

ここさえ超えれば上は木の幹を頼りに登って行けそうな感じだった。

この人丈ほどの岩の段は簡単そうに見えたが

いざ取り付いてみると結構嫌らしかった。

取っ掛かりが少なく、滑りやすい、

しかもすぐ上は木の幹が邪魔して通過しづらい。

バランスを崩せば四つん這いで登って来た急斜面を

転げ落ちることとなりなんともスリリングだ。

登るか登るまいかじっとしていたが、無駄に時間が過ぎていくだけなので、

最後は腹をくくってエイヤッと岩の上に乗っかった。

乗っかったといっても立てる状態ではないので腹ばいで。

しかも背負ったザックが上の木の幹に当たって、転げ落ちそうになる。

なんとか踏みとどまりほふく前進しながら前に進む。

お陰で服が泥ベタになってしまったが、落ちてケガするよりはましだ。

なんとか立ち上がれる所へきて、

腐った木の幹を掴まないよう細心の注意を払い登っていく。

なかには、手が届かなくてスリングを使って登って行った所もあった。

大岩をなんとかやり過ごすと、1510ピークが目の前だった。

さらに一つ小ピークをやり過ごすと、

嫌らしい小ピーク…言い換えるなら課題の岩だ。

右の急斜面をトバースするルート取りと、

左を巻き気味にいくルート取りがあるらしい。

僕は後者を選んだ。

ピークの上には楽に立つ事ができたが、コルに降り立つのが問題だった。

完全に崖で、木々の間から覗いてみるがどれくらい落差があるのか解らない。

ザイルを垂らしても下まで届かなかったらクライムダウンできない。

何処か出来そうな所は無いかとピークの東側に行ってみたらルンゼがあった。

その下は泥斜面になっているが、観察してみると急な斜面ではないようで、

下り立った所からコルへも比較的安全に歩いていけそうに見えた。

支点に使えそうな木も見つかり、ザイルを垂らしてみる。

なんとか末端は下の地面に届き、下りられそうなことを確認する。

ルンゼの岩肌は滑っていて、

ポン、ポン、と足で岩肌を蹴って下りていく事が出来ず、

ほとんど宙ぶらりんで下降した。

着地した斜面はややザレていて滑りやすかったが、

コルまではなんとか安全に移動する事が出来た。

コルに立つと、先ほどいたピークとコルの間は完全に断崖絶壁で

持参したザイルでは下まで届く事はなさそうで

クライムダウンするのはかなり厳しいようだった。

次のピークは、東の斜面をトラバースしてやり過ごす。

これは結構楽に通過する事が出来た。

痩せ尾根の小ピークをもう一つやり過ごすとバリゴヤノ頭の頂に着いた。

計画より50分程の遅れ、

記録によってコースタイムはまちまちなので

参考にしたコースタイムが自分に合っていなかったようだ。

山頂はそれ程広くなく展望もさほど良くないが、

北側が少し開けており稲村ヶ岳と大日山が見えた。

ここから見る大日岳は八ヶ岳横岳の大同心のように

突き出ていてかっこよく見えた。

憧れのバリゴヤノ頭へ大川口から登ってこれたという達成感と嬉しさに浸りつつ、

まだ先があることとやや遅れ気味なことを思い出しぼちぼちと歩を進めた。

ここから稲村ヶ岳へは破線ルートとなるが、

相変わらず急なアップダウンが続き気を緩める事が出来ない。

それでも、踏み跡はしっかりしていて、目印も多く、巻くとかザイル出すとか、

そうゆう余計な事をしなくても先に進むことができるという点では、

バリエーションから破線ルートに変わったなという感じはした。

幾つか小ピークをやり過ごし稲村ヶ岳直下で登山道と合流した。

山頂展望台には一人青年がいて、僕に気付いたようで声を上げた。

稲村ヶ岳頂上展望台に上がり、これから歩いて行くであろう稜線を眺めつつ、

ヘルメット、ハーネスを外して縦走スタイルへと変身した。

稲村ヶ岳から稲村ヶ岳小屋までは結構雪渓が残っていた。

日がなかなか当らない北側の斜面だから残っているのだと思われる。

アイゼンなんて持ってきてないのでヒヤヒヤしながら横切った。
(持っていてもイチイチ通過するのに装着するのは面倒だが)

稲村ヶ岳小屋から先は雪渓のトラバース等は特になく、

トラバースだけ気を付けてスムーズに先へ進めた。

バリゴヤノ頭までの苦労とあまりの落差に笑いがこみあげてきた。

山上ヶ岳の手前にあるレンゲ辻には、

聞いてはいたが見るのは初めての女人結界門があった。

隣には女性は入山しないでほしいとの立て看板まである。

本当に入山してはならないのだろうか?入山すると罰則されるのかどうか…

その効力はいかに…(結界と名が付くし)。

信仰のある山だから仕方がないのかな…

バチカンでも観光客と教徒との線引きをする場所はあったし…難しい問題。

鉄階段と木の階段を登っていくと山上ヶ岳。

頂は低い笹の原っぱが広がっていて感じがいい。

遮るものがないので当然眺めがよく、

稲村ヶ岳から歩いてきた山々も良く見える。

頂の一番高い所に近付いて行くと左手に大きな建物をみると、

ああ、やはりここは信仰ある山なんだと感じさせてくれます。

まあ、それは伊吹山や御嶽山でも同じなんですけどね。

お坊さん!?らしき人はみえたけど、

他は誰もいない、なんだかさびしい感じの所でした。

山上ヶ岳から下っていき、小ピークを幾つか越えていくとテン場である小笹宿。

ここも信仰がらみの建物と、像が建っていた。

他に小さな無人小屋、テントが張れそうな平地が段々畑のようになっていて

小川が何本か横切っているというロケーションのいいところでした。

先客は無人小屋利用者1名のみ、テントはこの時点では僕のみ。

缶ビールを小川で冷やして、好きな所にテントを張り、

ベッドメイキングを済ませてから缶詰のおつまみをあてに一杯やりました。

この日飲んだビールは格別…そりゃあ充実感で満たされていたからね。

まったりとした時間を過ごしたらテントに戻って夕食の準備に取り掛かった。

お腹が満たされ、寝袋に足を突っ込んでくつろいでいたら辺りがなんだか賑やかになってきた。

覗いてみたら、続々と登山者が到着していて小さなテント村が出来上がりつつあった。

≪2日≫
計画より30分程早く出発、小笹宿からすぐの竜ヶ岳は縦走路から外れていたのでパス、

同じ理由でまだ先の国見岳もパスした。

小普賢岳への登りは北斜面だからか雪渓が結構残っていて、

登山道は雪の下で見えず先人の足跡を頼りに進んだ。

大普賢岳からの眺めはよかったが山並が見えたのは東側だけで、

この時西方の山はまだガスに包まれていた。

国見岳手前から七曜岳の先までは痩せ尾根つづきでクサリ、

ハシゴ等が幾つかあり通過に緊張するような所もあった。

七曜岳は痩せ尾根の頂で眺め良く、

この頃やっとガスが取れバリゴヤノ頭~稲村ヶ岳の全景を見る事が出来た。

昨日頑張って歩いてきた尾根を見た感想は…

よくあんなところ歩いてきな~と言う感じ。

また行きたいかと言われたら、もういいやと答えるかもしれない。

七曜岳を下ると険しい痩せ尾根から一変緩やかな尾根となる。

北側から見る行者還岳は険しい感じがまったくなく

緩やかな傾斜が頂まで続いていて楽に登っていける。

特になんてことのない山頂、木々の隙間から弥山が見えた。

一旦戻り分岐を得て行者還避難小屋へ、

ここから見る行者還岳はそそり立っていて北側から見た感じと全然印象が違う。

この辺りから大川口へ下りる破線ルートがあるのだが見過ごしてしまい30分程ロスしてしまう。

なんとか道を見つけ(縦走路からの分岐ではなく途中から)GPSで確認してから下っていく。

しかしこの道、かなり荒廃が進んでいた。

生きてなんとか下山出来たけど、やめときゃよかったな~と思う道でした。

荒廃がすすんでいるのはたしかに記録にありました。

ただその記録は最近の物ではなかったのですが、

その方は引き返すことなくその道を使われたのでなんとか行けるだろうと。

下って行ってまずヤバいなと思ったのがトラバース路に掛けられたスノコ状の橋。

傾いているのとか、酷いのだと完全に崩壊しているのもありました。

それでもまだ、片足1本分でも幅があればなんとか足を置けます。

もっと酷いのだと山肌が崩れて完全に道が無くなってしまっている。

沢が横切っている箇所でそういう所が見受けられました。

わずかな足がかりと、支点になりそうな岩や草木を掴みながらなんとか通過。

足元が脆く、落ち葉が堆積している所なんかは特に滑りやすくヒヤヒヤでした。

そう、まさに生きた心地がしない状況でした。

自分がもてる方法をすべて試した結果、事故を起こさず下りてこられましたが、

ただの思い違いで運が良かっただけかもしれません。

トラバース路から尾根道に変わると荒廃している所はほとんどなく、

今でも使われているような綺麗な道でした。

最後に渡る吊橋は2カ所ワイヤーが切れて危ないので通行不可

ここは素直に渡渉しました。

土手を這い上がって、登山口を見てみると、

”ここからの行者還岳登山コースは
   (橋や登山道「荒廃」)
  行者還トンネル西口からが安全”

と書かれた看板が立てられていました。

行者還岳までは楽しい登山でしたが、

最後の下りは楽しくない登山でした。

参考にした記録は2012年のもの。

帰ってきてもう一度よく調べてみたら

荒廃具合がよく分かる写真が多く載っているHPがありました。

一つの記録だけに頼らず、多くの記録を参考にし

自分が必要とする情報を見つけられれば良かったなと思います。


(車はここに停めました。)


(ここから取り付きます。赤の矢印方向へ進みますがすぐ折り返します。)


(こんな岩や)


(こーんな岩が行く手を阻みます。巻き道ありますが。)


(問題の岩、正面突破でいきました。)


(クライムダウンしたルンゼ)


(バリゴヤノ頭から見た大日山と稲村ヶ岳)


(稲村ヶ岳へも急なところはイッパイありました。)


(レンゲ辻の結界門)


(山上ヶ岳の広々とした頂)


(山上ヶ岳の建物)


(小笹宿)


(流れている小川の一つ)


(よく冷やして)


(カンパイ!)


(マンサクが満開だった)


(稜線上にある七ツ池。結構深い。)


(大川口へ降りる道にあった崩壊しかけた橋)

他にも危険な個所あったが怖くて写真撮る気にならなかった。


(眺めのいいピークから見えた弥山(奥)と鉄山(手前の尾根のピーク))


(行者還岳)


(バリゴヤノ頭から稲村ヶ岳へ至る尾根)


(登山口の吊橋に付けてあった看板)

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