先程、ヤフージャパンより配信された数多くのニュースを見ている中、
『 急増する「スマホ老眼」の恐怖・・・
15秒でできる簡単ケアとは?【眼科医が解説】 』、
と題された見出しを見たりした。
私は
眼科 かじわら アイ・ケア・クリニックの院長の梶原 一人さんが寄稿され、スマートフォンやパソコンの普及などにより、
現代人の多くが、目を酷使する生活を送っています。
目がショボショボしたり、ぼやけたりなど、見えにくさを抱えている人は少なくないでしょう。
スマホやパソコンを使いつつ、目の健康を守るには、どうすればよいのでしょうか?
自宅でできるセルフケアを紹介します。
☆ブルーライト対策は必要?
■結論:ブルーライトは気にしなくていい
スマホやゲーム機、パソコンの画面から発せられるブルーライトが、
「目に悪い」と、よくいわれます。
そのため、ブルーライトをカットするシールやメガネが数多く販売され、
私もよく患者さんから「ブルーライトを除去するというグッズは、
使ったほうがいいのでしょうか?」と尋ねられます。
結論からいうと「ブルーライトは気にしなくていい」です。
私たちが目で見ることができるのは、
400~780nm(ナノメートル)という単位の可視光線(波長の光)に限られています。
400nm以下の光(紫外線)、780nm以上の光(赤外線)は、目に見えない光「非可視光線」です。
ブルーライトは、380~500nmの波長を持ち、非可視光線の紫外線にも含まれています。
いずれにしてもブルーライトは、「最新の電子機器から発せられる特別の光」ではなく、
日常的に身の回りにあふれている光なのです。
ブルーライトと波長が近い紫外線は、
浴びると日焼けをしたり、シミやシワの原因となったりします。
紫外線のように波長が短い光は、エネルギーが強く人体に影響を及ぼします。
そのため、ブルーライトも目になんらかの悪影響があると考えられているのでしょう。
しかし、紫外線は、人類が誕生する以前から、地球に降り注いでいます。
紫外線が強力な赤道付近に住む人たちは、
みんな目の病気に悩んでいるかといえば、そんなこともありません。
私たちの目や体は、紫外線と共存し、悪影響を最小限に抑えるための仕組みを
いろいろと備えています。
ですから、紫外線より少しだけ波長が長いブルーライトは、さほど気にすることはないのです。
あたり前の話ですが、基本的にどんな光も、大量に目に入れば、
悪影響を及ぼします。
波長の短い紫外線に近いものほど、理論的にはよくないというだけです。
パソコンやスマホの画面から発せられる微弱な光は、
昼間の太陽光に比べたら、とるに足りない強さですから、過剰に反応する必要はないのです。
■とはいえ、「就寝する2時間前」までにはスマホ使用を切り上げるべき
ただ、波長が短い光には、覚醒作用があります。
そのためブルーライトを夜まで浴び続けていると、体内のリズムを乱して、睡眠に影響します。
そして、寝つきが悪い、眠りが浅いなど、睡眠の質を低下させて、疲れが回復しづらくなってしまうのです。
私たちの体は、寝ている間に細胞が修復・再生されたり、
脳が記憶や感情を整理したりして、毎日メンテナンスをしています。
ところが、ブルーライトの影響によって、睡眠不足になったりすると、
このメンテナンスが乱れて全身に悪影響を及ぼします。
目だけでなく全身の健康のためにも、できれば眠りにつく2時間前までには、
スマホを使うのを切り上げたほうがいいでしょう。
☆15分に1回程度、10秒ほど目を閉じてひと休み
何かに集中して取り組んでいると、まばたきが減ってしまいます。
通常は1分間に20~30回まばたきをしますが、
パソコンやスマホの画面などを見つめていると、
その回数は3分の1~4分の1程度にまで激減するのです。
これほど極端にまばたきの回数が減ってしまうと、
涙が蒸散することにより、涙液が不足して、ドライアイを招いてしまいます。
ドライアイになると、目がショボショボするだけでなく、
光がまぶしい、目の奥が痛い、さらには首や肩のこりや頭痛まで引き起こしてしまいます。
そうならないために、誰でもすぐにできることは、意識して目を閉じること。
何かに集中して取り組んでいるときでも、
15分に1回程度を目安に心を落ち着けて、ゆっくりと息を吐きながら、
10秒ほど目を閉じてみることをおすすめします。
ゆっくりと息を吐くことを意識すれば、
「副交感神経」が優位になって心が落ち着き、
リラックスすることによって、自律神経の乱れもリセットできます。
パソコン作業やスマホの合間に、15分に1回程度は息抜きして、
10秒ほどゆっくりと息を吐きながら、目を閉じてみましょう。
そもそも人が集中力を持続できるのは、15分程度といわれます。
ならば少なくとも、15分に1回はひと休みして目を閉じ、
いったんリセットすることで作業効率もアップするはずです。
☆「遠くを見る」はスマホ老眼の予防に効果的
15分に1回を目安にひと休みして、
ゆっくりと息を吐きながら、10秒くらい目を閉じた後、あわせてやってほしいことがあります。
それは、できるだけ遠くを眺めることです。
窓が近くにあり、屋外を眺められるのであれば、
離れたところにある緑や建物、青空や雲を眺めるといいでしょう。
また、室内やオフィスでも、一番遠くの壁などを眺めてみる。
それだけで、近くばかり見ていた目を緊張から解放させることができます。
私たちがモノを見るときは、目のレンズ(水晶体)を支える筋肉(毛様体筋:もうようたいきん)が、
緊張したり、ゆるんだりすることで、レンズの厚みを変えて、焦点を合わせています。
そもそも人間の目にとっては、はるか昔の原始時代ように、
遠くの獲物を探している状態が自然で、負担がかかりません。
しかし、スマホやパソコンなど、距離が近いモノばかりを見つめる時間が多い現代人は、
毛様体筋が緊張しっぱなし。
特に視力がいい人、遠くのものがよく見える人ほど、
目の毛様体筋には、大きな負担がかかっているので、疲れやすいです。
そこで、こわばった毛様体筋をゆるめるためにも、
15分に1回くらいは、せめて5mくらい先を眺めてほしいのです。
近年話題になっている「スマホ老眼」は、
至近距離でスマホ画面を見つめ続けることで、
「毛様体筋」がこり固まって、ピント調節がうまくできなくなる状態のことです。
一般的な老眼は、加齢による水晶体の老化によって起こりますが、
スマホ老眼の原因は、一時的な毛様体筋の緊張です。
集中してパソコン仕事をしているときでも、スマホで動画を見ているときでも、
15分おきにひと休みして、10秒目を閉じた後、10秒遠くを眺めることで、
目の筋肉を休ませ、スマホ老眼を予防することができます(図表2)。