峰野裕二郎ブログ

私の在り方を問う

since 2005

誰のための社会保険事業か

2008年03月17日 | 民生児童委員
約束していた午前9時に町内会のお1人暮らしのあるご高齢者のお宅を訪ねた。
年金の問題で社会保険事務所まで付き添ってほしいと先週末に要請を受けていた。詳しいことは書けないが、余分に支払っていた加給年金100万円を返却するよう社会保険庁から言われているというのだ。ご本人の話を聞く限り、とても納得のいくものではなかった。
配偶者を亡くし、子供もいず、近くに親戚もいない。その上、普通に歩くのが難しくなっておられる。私のようなものにでも頼らざるを得ないのだ。

佐世保市にある社会保険事務所まで車で30分、午前9時半に着いたときには狭い駐車場はすでに満車だった。
善良な庶民が懸命に納めてきた尊いお金を社会保険庁の長官から窓口の職員までがデタラメに扱ってきた。彼らにとって年金を納める者の気持ちなど知ったことではなかった。彼らは自分たちの私腹を肥やすか、給与と賞与と退職金を手にすることしか関心はなかったのだ。それが、来訪者のための駐車場の狭さによく表れている。

高齢の相談者と共に入った窓口、隣との仕切り版に張り紙があり、そこにはこう書かれてあった。
「社会保険庁は変わります」
・窓口接遇マナー3箇条
1、明るい挨拶でお迎えします。
2、お客様の気持ちに立って対応します。
3、積極的に一声かけさせていただきます。
・電話接遇マナー3箇条
1、呼び出し音が鳴ったら、すぐに電話に出ます。
(以下省略)
「変わります」とあるからには、こうでなかったということだ。
相談者は、かつてここを訪れたとき、窓口の職員の横柄【おうへい】な態度になぜか卑屈になっている自分がたまらなくいやだったと吐き捨てるように語った。
果たして社会保険庁は変わったのか。私たちに応接した40代と思える女性職員は1時間ほどの間、1度たりとも笑顔を見せることはなかった。それどころか終始無愛想だった。

結局、問題について詳しく話を聞いてみると相談者の方に落ち度があったようで納得された。

その後、遺族年金の説明があった。ところが相談者は受け取りを放棄する旨、職員に告げた。それを聞いた職員は、あっさりそうですかと言って、その書類を引っ込めようとする。
職員の様子から、それを受け取れば相談者本人の年金額が減るのだろうと思ったが、念のため、それを受け取ることで相談者にどんなメリット・デメリットがあるのか尋ねた。すると職員は「何もないですよ」とあっけらかんとしている。
相談者も先の加給年金のことがあり、遺族年金を受け取ることでかえって不利益が生じると思っていた。

受給する側にとってメリットのある話をなぜあっさり引き下げたのか尋ねると、いらないって言われたものをお勧めする必要はないと思ったと言う。この不親切さはいったいどこからくるのだろう。

苦い思いをかみしめながら表に出ると、社会保険事務所を取り囲むように駐車場が空くのを待つ車の列が長く伸びていた。
コメント
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