南へ北へ

土曜日の夜、くるみさんを寮まで送った後の車中、女房どのと明日は天使の顔を見に行こうということになった。翌日、町内会に隣接する国道沿いの花壇の手入れをすることになっていたが、副会長に電話を入れ、あとを頼んだ。

日曜日、晴天だった。
午前９時半頃、自宅を出発。途中、金立【きんりゅう】サービスエリアに立ち寄ると、なんと懇意にさせていただいているある町内会長さんご家族とばったり行き合う。まことに、世間は広いようで狭いものだ。

正午頃、研二くん・絵理子さん宅に到着する。この日、研二くんは山口県の萩でサッカーの試合があるとのことで不在、絵理子さんと天使２人が迎えてくれた。

天使に会うのは、ほぼ１ヶ月ぶりだ。前回会ったときは、まだ寝返りも打てなかったのが、この日は寝返りはもちろん、上手にお座りもできるようになっていた。
母乳のほか、離乳食もとるようになっているという。

いわゆる「人見知り」も、前回より程度が増していた。「人見知り」は、人間が育っていく上でのいくつかの通過儀礼のようなものの１つなのだから、ここは、おじいちゃん・おばあちゃんとしては我慢するほかない。
天使よ、今は、しっかりお母さんにしがみついているがいい。

午後３時頃、バイト明けで寝ていた有紀さんを迎えに行った。
有紀さんはお姉ちゃん家から駅４つほどのところに住んでいる。有紀さんが加わると、絵理子さんと有紀さんが同じ大学に通っているということ、それが教育大ということも相まって女房どのも含めて共通の話題に事欠かなくいっそうかまびすしい。

夕方６時を過ぎた頃、真っ黒に日焼けした天使のお父さんが帰ってきた。
やがて午後７時、あたりがほんのり薄暗くなってきた頃、次に会うのを楽しみに帰途についた。