財務省発表の今年度の一般会計予算の歳入を見ると税収が約40%で、約50%を公債金収入に頼っている。これを家計に例えるならば、給料が40万円なのに毎月の支払いが100万円あり、不足分を50万円借金して賄【まかな】っているということになる。
私たちの国のいわゆる「借金」は毎年増え続け、今年度末で973兆1626億円に達すると伝えられている。赤ちゃんからお年寄りまで全ての国民が1人当たりおおよそ800万円の借金を背負っている勘定になる。
昨年度まではかろうじて借金より給料の額が多かった。だが、このところの不景気で給料は下がり、それでも無駄遣いを止めるどころか見栄を張って客に椀飯振舞【おうばんぶるまい】するものだから、とうとう給料より借金の額の方が上回るという異常な事態に立ち入ってしまった。
そこで菅首相はタイミングを計って消費税率の引き上げを表明した。しかし、それは借金で賄っていたものを税金を増やして賄おうという話に他ならない。
借金し尽くしたところで今度は増税に走るとは、あまりにもお粗末かつ国民を愚弄【ぐろう】した話だ。これが明治維新にもたとえられた歴史的政権交代の成果であるとすればあまりにも寂しい。
ところで、一般会計の他に小泉元首相当時の塩川財務大臣が「母屋でお粥【かゆ】をすすっているときに、離れですき焼きを食べている」と発言して耳目【じもく】を集めるようになった特別会計の存在がある。
特別会計は、特定の財源で事業を行う場合などに一般会計とは切り離して設けられる仕組みで、今年度の歳出規模は176兆円にも上る。これは一般会計のおよそ倍の額に当たるが、資金の流れが複雑で不透明なことから剰余金や積立金が官僚や政治家の利権の温床・無駄の温床と指摘されている。
塩川さんの話は「母屋」を一般会計に、「離れ」を特別会計にたとえたものだ。
「卒業しても就職できないのではないだろうか」
「リストラで解雇の憂き目に会うかもしれない」
「将来、年金はもらえるのだろうか」
「結婚できるだろうか」
「子供を生み、育てられるだろうか」
「病気になったらどうしよう」
「介護してもらえるだろうか」
今、多くの国民は、さまざまな不安を抱きながら生きている。明日の見えない社会に生きていると言っても決して言い過ぎではないだろう。
特別会計や独立行政法人・公益法人に対する事業仕分けを徹底して行い、国民のために税金を活かして使うという当たり前のことを当たり前にやってほしいと願うのは言うまでもない。
しかし、菅首相が今最も求められているのは、将来に向けて国民が安心できる社会保障の姿を明確に示すと共に、この国の風土に根ざした私たち日本人ならではの力を活かした国の在り方・国づくりの展望を示し、その力を結集させ得るリーダーシップだと考える。
政治家と官僚が自らの在り方を正し、志を今一度胸に抱き直し、与えられた使命を肝に銘じ職務に精励するとき、初めて国民は彼らに全幅の信頼を置くだろう。その時、私たちは喜んで消費税の議論に耳を傾けよう。
私たちの国のいわゆる「借金」は毎年増え続け、今年度末で973兆1626億円に達すると伝えられている。赤ちゃんからお年寄りまで全ての国民が1人当たりおおよそ800万円の借金を背負っている勘定になる。
昨年度まではかろうじて借金より給料の額が多かった。だが、このところの不景気で給料は下がり、それでも無駄遣いを止めるどころか見栄を張って客に椀飯振舞【おうばんぶるまい】するものだから、とうとう給料より借金の額の方が上回るという異常な事態に立ち入ってしまった。
そこで菅首相はタイミングを計って消費税率の引き上げを表明した。しかし、それは借金で賄っていたものを税金を増やして賄おうという話に他ならない。
借金し尽くしたところで今度は増税に走るとは、あまりにもお粗末かつ国民を愚弄【ぐろう】した話だ。これが明治維新にもたとえられた歴史的政権交代の成果であるとすればあまりにも寂しい。
ところで、一般会計の他に小泉元首相当時の塩川財務大臣が「母屋でお粥【かゆ】をすすっているときに、離れですき焼きを食べている」と発言して耳目【じもく】を集めるようになった特別会計の存在がある。
特別会計は、特定の財源で事業を行う場合などに一般会計とは切り離して設けられる仕組みで、今年度の歳出規模は176兆円にも上る。これは一般会計のおよそ倍の額に当たるが、資金の流れが複雑で不透明なことから剰余金や積立金が官僚や政治家の利権の温床・無駄の温床と指摘されている。
塩川さんの話は「母屋」を一般会計に、「離れ」を特別会計にたとえたものだ。
「卒業しても就職できないのではないだろうか」
「リストラで解雇の憂き目に会うかもしれない」
「将来、年金はもらえるのだろうか」
「結婚できるだろうか」
「子供を生み、育てられるだろうか」
「病気になったらどうしよう」
「介護してもらえるだろうか」
今、多くの国民は、さまざまな不安を抱きながら生きている。明日の見えない社会に生きていると言っても決して言い過ぎではないだろう。
特別会計や独立行政法人・公益法人に対する事業仕分けを徹底して行い、国民のために税金を活かして使うという当たり前のことを当たり前にやってほしいと願うのは言うまでもない。
しかし、菅首相が今最も求められているのは、将来に向けて国民が安心できる社会保障の姿を明確に示すと共に、この国の風土に根ざした私たち日本人ならではの力を活かした国の在り方・国づくりの展望を示し、その力を結集させ得るリーダーシップだと考える。
政治家と官僚が自らの在り方を正し、志を今一度胸に抱き直し、与えられた使命を肝に銘じ職務に精励するとき、初めて国民は彼らに全幅の信頼を置くだろう。その時、私たちは喜んで消費税の議論に耳を傾けよう。