峰野裕二郎ブログ

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DV・児童虐待・体罰

2009年04月30日 | 学校教育
小2児童の胸元つかみ叱責 最高裁「体罰に当たらぬ」(産経新聞) - goo ニュース

兵庫県小野市で、自宅の冷蔵庫に幼児の遺体を隠していたとして、33歳と34歳の夫婦が逮捕されたと今日の新聞が伝えている。警察は、両容疑者が日常的に子供を虐待していた疑いがあるとみて死亡した経緯を調べているという。

内閣府が先ごろ発表した「男女間における暴力に関する調査」で、妻の3人に1人が夫からDV【ドメスティック・バイオレンス】の被害を受けた経験があることが明らかになった。
そのうち3分の1は身体的または精神的に傷つけられ、13%以上が「命の危険を感じたことがある」という。

また、児童虐待も深刻な状況にある。昨年度の内閣府の青少年白書によると、平成19年度の児童虐待相談件数は40,639件で、統計開始の平成2年度と比較すると約40倍も増加している。
また、警察庁によると、平成20年に児童虐待で検挙された加害者で最も多いのが実母の95人で、実父、養父・継父と続く。児童虐待の加害者で実母の数が最も多いのはDVと無関係ではないだろう。

虐待を受けた児童の後年の犯罪率が、平均よりも極めて高いことや、虐待を受けた児童がその後、家庭を設けたとき、自らの子供に対して虐待行為に及ぶ率が極めて高いということが分かっている。
つまり、暴力によって問題を解決することを学んだ者は、暴力で問題の解決を図る傾向にあるのだ。

しばしば、児童虐待の容疑者が「躾【しつけ】のために殴った」と供述していると伝えられるが、日本では近年まで肉体的苦痛を与えることが教育的手段として有効だと考えられていた。いや、現代においてもそう信じて疑わない保護者や教員は決して少なくない。
実際、先日もある塾生の父親に「殴ってでも蹴ってでもいいですから」と言われた。

さて、学校教育法は体罰を禁じているが、どのような行為が体罰にあたるかの具体的な例示はない。そこで、文科省では、とりあえず肉体的苦痛を与えるものでない限り、放課後の居残り指導や授業中の教室内での起立命令は体罰としないとしている。

報道は「小学2年生の児童の胸元を右手でつかみ、壁に押し当て大声で「もうすんなよ」としかる行為を体罰にあたらないとした28日の最高裁判決は、教員が萎縮するあまり、厳しい生徒指導をためらう教育現場の実情に配慮した判断といえる」と、相変わらずもっともらしいことを言っているが、笑止千万だ。私の知る限り、何のためらいもなく日常的に殴ったり蹴ったりしている教員は少なからずいる。

一審の判決は「個人的な腹立たしい感情をぶつけたもので、教育的指導の範囲を逸脱し、体罰に当たる」と判断。少年側が主張していた心的外傷後ストレス障害との因果関係も認めた。
二審判決も「少年が受けた恐怖は相当で、胸元をつかむ必要もなく、体罰」としていた。
それらをひっくり返した最高裁の責任は重い。

北朝鮮のミサイル問題に関し、あの中川前財務相が核武装の議論の必要性があると物騒な発言をしているが、マスメディアを始め世論の反応は何となく肯定的にうつる。
今回の最高裁の判断は、社会が暴力を容認する方向の流れに乗るものだ。いつか来た道を進みかねない時代の空気を恐れ危ぶむ。
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