安倍首相が消費増税先送りを発表したのと同じ日に公表された厚労省の3月分速報値によると、生活保護を受給する世帯の半数以上を、65歳以上の高齢者世帯が占めることが明らかとなった。
ちなみに、65歳以上の生活保護受給世帯は、前月より18,357世帯多い826,656世帯にも上っている。
厚労省の発表によると、2014年度の国民年金の月額は64,400円、厚生年金でも夫婦2人分の標準的な月額は226,925円である。同年に実施されたやはり厚労省の調査によると、高齢者世帯の生活保護受給者の年金平均受給額はわずか46,600円である。
一方、総務省が発表している2014年の家計調査では、70歳以上の2人以上世帯の平均の支出額は241,266円で、国民年金受給世帯はおろか、厚生年金受給世帯でも赤字ということになる。
高齢者世帯の生活保護受給の割合は、高齢化を上回る勢いで増えており、年金が老後の暮らしの支えになっていない実態が改めて浮き彫りとなった格好だ。
この度の消費増税延期について、日本商工会議所の三村明夫会頭は、1日「もし2年半先に上げられないようだったら、日本は恐らく財政的に破綻すると思う」と語っているが、恐ろしいほどまでの高齢者の生活保護受給世帯の増加の現状を知るにつけ、2年半先まで持つのかという心配というより恐怖心さえ湧いてくる思いだ。
これまで歴代の政権は、財政再建と、それに伴う誰もが安心して暮らすことの出来る社会保障制度の構築に真摯に取り組んで来なかった。その付けが、はっきりと庶民を苦しめる形となって表れてきている。
金融緩和とか財政出動だとか小手先の政策に頼る時代はとっくに終わっている。安倍首相には、一刻も早く財政の健全化と持続可能な社会保障制度構築に向けての取り組みを始めていただきたい。