長崎県佐々町から、ここ岡山県備前市の山手に移り住み、およそ半年が過ぎた。
大自然の懐に抱かれての暮らしは、思っていた以上に刺激的で面白くてならない。
購入した家屋は築75年程の古民家で、私たち夫婦が3代目として住まわせていただいている。
過日、地区のみなさんと飲んだ際、60歳代の方が小学生の頃、学校帰りに栗の実をもらいによく立ち寄ったと、初代ご夫婦との思い出話を聞かせてくださった。初代の奥様は県道を挟んで向かいの小学校の給食調理員をなさっておられたという。
2代目の入居者は、10年前に愛知県から私たち同様に移住して来られていた。
止むを得ない事情があり愛知に戻られたが、終の棲家とすべく7年前に全面改築をなさっておられた。
その後を私たちが受け継がせていただいた。
いわゆる立派な邸宅ではないが、2代に渡っての先人たちの慎ましやかで丁寧な暮らしぶりをうかがわせる、庭を含めての飾り気のない質素な佇まいを、私たちは、たいそう気に入っている。
したがって、そのまま十分に住み続けることが出来るのだが、私たちの代で更なるバージョンアップを図ることにした。