クラシックバレエは美しく優雅だが、踊るダンサーたちは男女とも鍛え上げた究極の細マッチョ。そのなかでもひときわ目立つウクライナ出身のセルゲイ・ポルーニンの記録映画。
19歳で英国ロイヤル・バレエ団のプリンシパルに昇りつめるが、彼はその地位を2年で捨てて退団してしまう。そんな天才の苦悩が描かれる。
名門バレエ団のなかでも彼はクスリをやったり、体のあちこちに入れ墨を入れたりする異端児。保守的なバレエ団が息苦しかったのかさっさと退団し、バレエを止めてしまうことを考える。そんな彼が引退を意識して踊る"Take me to church"にはいろいろな思いが詰まっていて感動的だ。白タイツの王子様ではなく、入れ墨も隠さず穴の開いたタイツで踊る姿はありのままの自分を観てほしいといっているかのようだ。
幼いころからその世界しか知らず、文字通り血のにじむような努力をして頂点を極めた者がある日突然その人生に疑問を感じてしまう。天才には天才の悩みがあるのだ。最近話題の将棋少年、大丈夫かな。
観終わって外へ出ると自分も背筋を伸ばして思わずクルクル回ってジャンプできるような気分になるのだった。
神戸市の新作マンホール発見