没後70年を記念して静岡で開かれている「吉田博展」を観に行った。
多色刷りの木版画作品は海外での評価も高いそうだ。故ダイアナ妃の来日時に作品をお買い上げということでも有名である。山が好きで山を描いた作品も多いということなので、今回はそれが観たかった。
穂高、剱はじめ山を描いた以外の作品も多く、精緻な木版画はその色彩が豊富で、日光の陽明門を描いたものなどは96回もの摺りが施されているとのことで驚きだ。多色摺りを活かして同じ木版で春夏秋冬、朝昼晩などで色彩を変えて摺り分けたりもしていて、いろいろな表情が楽しめ興味深かった。
版画は棟方志功のように自ら原画を描き、彫り、摺る人は少ないようだ。吉田博も一部は自分で彫ったり摺ったりもしているが多くは彫師と摺師との共同作業だったようだ。しかし彫師や摺師の名前などは特に明記されているようでもなさそうなのが不思議な気がする。それをいえば葛飾北斎などの有名な版画も同じことがいえるのだろうが。描いた人は芸術家、彫った人、摺った人は職人ということなのだろうか。
剱岳を描いた代表作
静岡まで来たのだからとついでに登呂遺跡近くの芹沢銈介美術館も観に行く。
登呂遺跡
美術館正門
商業デザインとして多くの作品で描かれた日本的な色彩が好きで何年か前にも一度来ているが、今回は常設展の他、本のデザインの特集が観られた。
それにしても空いている。私の他には一組のみ。こういう個人の作品を展示する美術館の存続はなかなか難しそうだ。愛知県でも杉本健吉美術館が近く閉鎖になると聞いたのでここも心配だ。
静岡は模型の街でもあるということで駅前にはこんなモニュメントがあった
静岡ではおでんも有名だったことを忘れていて食べそこなったのが心残りだ。