先日行った木下恵介生誕百年特別上映会を再度観にいった。今回の作品は有吉佐和子原作の同名の小説「香華」
明治の末期から昭和30年代までの母娘3代の葛藤の物語。中心人物は乙羽信子演じる郁代だが、この人物がとんでもなく奔放で身勝手。田中絹代演じる母つなのも、岡田茉莉子演じる娘朋子もその人生を翻弄される。特に娘の朋子は芸者に売り飛ばされ、好きな人と結婚もできず、最後は母親を引き取ってめんどうを見る羽目になる。それでも心底母を嫌いにはなれない。どこか憎めないその奔放さに観客の方も呆れながらも飽きることなく付き合ってしまい、3時間半の長編だが途中眠くなることもなく最後まで堪能することに。
郁代と朋子に関わる男性たちは皆どこか気弱で優しい。そんな男性軍の多くは途中で亡くなってしまい影が薄い。結局は女性のたくましさ、しぶとさに圧倒されてしまうのであった。
1964年(昭和39年)の日本の高度成長期に公開。舞台の大半は花柳界で、芸者を身請けして店まで持たせるというような話が出てくるが今でもこんなことが行われているのだろうか、今となってはひどく前近代的なことのように思える。
懐かしい俳優が大勢出ているが、田村正和がセリフが一言のちょい役で出ているが、詰襟の学生姿が初々しい。
空を見上げれば今日も入道雲。今夏はいつ見ても入道雲が出ている気がする。