姫路市立美術館で開催中の野田弘志の作品展を観に行く。以前別の展覧会で作品の一つを観てその究極のリアリズム絵画が気になっていた。
今回はそんな画家の芸大卒業後のイラストレーターとしての作品から現在のものまで、代表作を集めた展示だったので見ごたえがあった。
新聞の連載小説の挿絵として描かれたペン画の精密さ、繊細さもすごいが、大きなキャンバスに描かれた油絵の作品にはさらに驚かされる。特に裸婦を描いたもの、鳥の巣を描いたものなどに圧倒された。
それぞれの作品に作者の意図するところやら思いがあるのだろうけれど、素人はそんなことは二の次、まずは近づいて油絵の具で描かれたことを確認。その後1M、1.5Mと後ろに下がってどの距離で写真のように見えるのかを確かめ、人間の目のいいかげんさを再認識する。さらには写真に撮ったものは見抜くことができるのだろうかなどと考えると不思議な気持ちになる。
ひとくちに油絵といってもその技法は極厚のこってりしたものから、今回観た極薄の塗り方をしたものまでさまざま。描かれる対象も極端にデフォルメされたものから超リアルなものまで、まさに多様性の世界だ。
今回の作者の作品は技法を超えた究極の技術の塊のような気がするのだった。
作品を堪能した後は姫路に来たついでに、古くはあの後白河法皇もお参り、おこもりしたという書寫山圓教寺に上がってみる。
姫路の街を一望
標高300Mの山の上の境内は広く、参拝者も少ない静寂のなか、木立のなかに建ついくつもの重要文化財の建物を巡る。
苔も美しい
歩いていると汗だくになる日だったが、場所によってはひんやり冷気を感じる名刹のお堂巡りだった。
絵画鑑賞、お寺参拝、そして最後はグルメで締めくくったのだった。