のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

夜中の薔薇 / 向田邦子

2006年04月01日 23時55分37秒 | 読書歴
■内容
 気にいった手袋が見つからなくて、風邪をひくまでやせ我慢を
 通した22歳の冬以来、いまだに何かを探している(「手袋をさがす」)。
 爽やかな自己主張を貫いた半生を率直に語り、平凡な人々の
 人生を優しい眼差しで掬いあげる名エッセイの数々。
 突然の死の後も読者を魅了してやまぬ著者最後のエッセイ集。

■感想 ☆☆☆*
 向田さんの作品を数多くテレビ化し、向田さんの死後も
 私たちに彼女の世界を伝えてくださった久世さん。
 彼の死がきっかけで向田さんの随筆集を久々に手を取った。

 彼女の随筆はいつ読んでも背筋がすっきりと伸びていて
 私たちに「生活の質」を問う。
 わずか30年で世の中がここまで変わってしまったことに
 何度読んでも驚いてしまう。

 向田さんは「オーバーを作り」「夏用の着物を裁ち」
 「かつおぶしを削って」料理に活用する。
 その丁寧な生活ぶりにこちらの背筋までしゃきっと
 伸ばされる。

 しかし、彼女は清貧を極めたわけではなく、
 私たちと同じように物欲をちゃんともち、
 お酒を我慢できず、おいしいものを探し続ける。
 ピール瓶の大中小、どれを飲もうか悩み
 勝負服とヤキニクフクを着分けて悦に入る。

 男勝りなのにかわいらしい女性らしさも失わない。
 向田さんが生きていたら、、、
 そんな叶わぬことを思いながら読みふけった。

コアラ課長 /2006年日本

2006年04月01日 23時42分40秒 | 映画鑑賞
■ストーリ
 漬物会社の企画課の課長・田村は、敏腕サラリーマン。
 ただひとつ、彼がコアラであることを除けば…。
 韓国のキムチメーカーとの業務提携に取り組んでいる田村に、
 悲劇が襲った。恋人が殺害され、その上容疑者の疑いもかけられたのだ。
 実は数年前に田村の妻は謎の失踪をとげていた。しかし田村は
 妻の失踪前後の記憶がなかった。やがて田村は自分が
 「殺人コアラ」と化す悪夢をたびたび見るようになる。
 はたして事件の真相はいかに?

■感想 ☆*
 こういうB級テイストの作品にたまらなく弱いのです。
 ばかばかしさあふれる予告に惹かれて同期と鑑賞。
 見終わった後の感想。

 同期「すまんっ。今日の夕飯はおごらせてくれ。」
 のりぞう「・・・・ま。こういうこともあるよね。
      失敗は失敗と認めようね。」
 同期「とりあえず、予告編を見に来たことにしようぜ。
    今回の予告編はどれもおもしろそうやった!」

 ・・・・はい。
 ま、映画を色々見てたらこういうこともありますわね。
 いつも微妙なラインの映画に惹かれてしまうので
 外れにでくわさないほうが不思議なのです。

 それでも、この映画。評価できるところもあるはず。
 と一生懸命探してみました。

 1.ヒロインゆかりさんを演じるエリローズさんの
   美しさにはかなりうっとり。
 2.オープニング主題歌の軽快さはゴレンジャーを
   思い出しました。結構好き。
 3.途中ではさまれるミュージカルシーン。
   こんなにへたくそなミュージカルシーンなんて
   この映画以外では絶対に見れないと思う。
   貴重な体験です。
 4.どのきぐるみさんも頭の後ろのファスナーは
   まる見えです。この潔い態度はすばらしい。
 5.・・・・・。

 ・・・・・しゅーりょー。
 B級映画大好きな人やゆるーい笑いが大好きな人は
 場合によっては、楽しめるかもしれません。
 こんな映画もあるんだ、と目からウロコの体験を
 されたい方もぜひ。

 話のつじつまが合わないと苛々する人や
 微妙にふるいギャグやナンセンスコメディが
 苦手な方は近寄らないことをお勧めします。

 さ、次は何を見ようかなあ。

チルドレン / 伊坂幸太郎

2006年04月01日 23時29分12秒 | 読書歴
■ストーリ
 こういう奇跡もあるんじゃないか?
 まっとうさの「力」は、まだ有効かもしれない。
 信じること、優しいこと、怒ること。
 それが報いられた瞬間の輝き。
 ばかばかしくて恰好よい、ファニーな「五つの奇跡」の物語。

■感想 ☆☆☆☆
 伊坂さんの作品はいつも読後感が爽やか。
 「奇跡」と呼ぶにはあまりにも人為的な、でもその突拍子のなさが
 やはり「奇跡だ」と思わずにはいられない愛らしい物語。

 4人の語り手が過去と現在を行き来して
 陣内という男について、彼を巡る印象的なエピソードを語る。
 自分勝手で気まぐれで、いつも真剣に、
 そしてちゃらんぽらんに生きている陣内。
 自分の科白にも行動にも一貫性がなく、
 本能のままに生きる陣内。
 だから彼の行動にはいつも彼の本質が現れる。

 基本的には困った人物なのに魅力的で
 彼に大なり小なり影響を受ける語り手たちは、
 それを苦々しく思ったりほんの少し面白く感じたりしながら
 陣内をいとしく思い出す。

 過去と現在の話が入り混じっているが
 全てを読み終えると話はきちんとつながり
 色々なところに伏線があったことに気づかされる。

 支離滅裂、はちゃめちゃ。
 そんな言葉がよく似合う陣内だが、彼の発する言葉は
 いつも本質を突いていて心地がよい。
 とにかく爽快な作品だ。

痛みをともなう別れ

2006年04月01日 11時49分38秒 | 日常生活
春は別れの季節です。
のりぞうも本日、ようやく彼との別れを決意しました。
今年の冬は手酷く彼に裏切られ続け、
「顔も見たくない!」
と半ば八つ当たり気味に別れを決めて離れてたのに…。

数日前からの花冷えの到来であえなく寄りを戻してたのです。
だってぬくもりが恋しいんだもの!

弱い女ですわ。



と、いうわけで今年3度目の低温火傷を経験中ののりぞうです。
大好きな湯たんぽさんにまた裏切られました。

二重にくるんでたのに!
パジャマもまったくめくれてなかったのに!

いーたーいー。

その上、妹からはしみじみと
「馬鹿ねぇ」
と言われました。
少しぐらい同情してくれたっていいやん!

とりあえず、水膨れでもお風呂に入っていいのか
情報収集に励みます。
次の冬までに彼との付き合いを真剣に考えなきゃ。


砂漠 / 伊坂幸太郎

2006年04月01日 02時39分16秒 | 読書歴
■ストーリ
 麻雀、合コン、バイト・・・普通のキャンパスライフを送りながら
 「その気になれば俺たちだって、何かできるんじゃないか」と考え
 もがく5人の学生たち。社会という「砂漠」に巣立つ前の
 「オアシス」で、あっという間に過ぎゆく日々を送る若者の姿を描く。

■感想 ☆☆☆
 感想を書いたつもりですっかり忘れていました。
 思い出させてくださったせぷさん、ありがとうです。
 書くのが義務、というわけではないけれど、
 やはり読んだ記憶や読んだときの感動はどこかに残しておきたい
 そう思うのです。

 というわけで同期に借りて読了した「砂漠」。
 自らの大学生活を思い出してこそばゆい気持ちになった。
 私はちっとも「学生」らしくない日々を過ごしていたけれど
 それでも、振り返ってみるとあの頃しかできなかったような
 贅沢な時間の過ごし方を満喫していて
 今以上に青臭いことを語り合って、
 箸が転げただけでおなかが痛くなるぐらい笑っていた。

 そんな今とは異なるテンションで過ごした日々を
 頭の片隅に思い出しながら、いたたまれない気持ちになりつつ読んだ。

 いかにもいそうな学生5人組。
 「どこにでもいそう」といわれることにやりきれなさを感じ
 あえてごく普通の大学生とは違うことを主張する。
 そんなどこまでもごく普通の大学生を生き生きと描いている。

 暖かく優しく友人を好きな人を見守る南。
 美人でかっこよくて自分の判断に迷いがない東堂。
 場を冷めた目で見ていると思わせて
 誰よりも仲間をいとしく思っている北村。
 大学時代をめいっぱい楽しもうときめ、
 飄々と過ごしつつも周囲に人をひきつける鳥口。

 そして、自分勝手に自分のおもうままに
 周囲の目を気にすることなく突き進む西嶋。

 私は彼のようなタイプの人が誰よりも苦手で
 苦々しい気持ちを抱きつつ、誰よりもその生き様を
 羨ましく見つめてしまう。

 苦々しいのは、羨ましいから。
 真似したいと思っても絶対にできないから。

 彼のように周囲の目を気にせず
 自分の思うように信じるままに生きるのは
 楽そうだけれども、きつい。
 周囲の人の思いに身をゆだねて
 目立たず嫌われずに生きていったほうが
 必要以上に傷つくこともなく、楽に生きられる。

 けれども西嶋は自分が傷つくことを恐れない。
 周囲が自分のことをどう思おうと
 毅然とした態度で胸をはれる人なのだ。
 だから私は彼がねたましくて、少し疎ましく思う。

 大学四年間の春夏秋冬に起こるひとつずつの事件。
 それぞれのエピソードは独立しているけれども
 すべてはきちんとつながっていて、
 いろんなところに伏線がはられていて
 最後の最後にちょっとした感動を味わえる。

 「砂漠にだって雪を降らせることはできる」

 超能力ってあるんじゃないか。
 心ならずもそう思ってしまう作品。