のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

マリーを守りながら / ケヴィン・ヘンクス

2006年04月15日 23時54分44秒 | 読書歴
■ストーリ
 気むずかしいパパにファニーは振り回されてばかり。
 ある時パパは、ファニーがずっとほしがっていた子犬を連れて
 上機嫌で帰ってきた。けれど子犬がパパの神経にさわったとたん、
 ファニーの必死の頼みもむなしく、子犬はよそにやられてしまう。
 お互いを大切に思いながらも、うまく愛情を表現できない父と娘を
 温かく描いた作品。

■感想 ☆☆☆
 芸術家肌の少し気難しい父親と父親譲りのこだわりを持つ少女が
 ほんの少し分かり合えるようになるまでを描いた作品。
 似ているけれど似ていなくて、お互いの違いが気になって
 でもお互いがお互いを大好きで。家族って本当にこんな
 存在なんだろうなぁと読みながら思った。

 大好きだけど癇に障る。
 愛しいけれど腹立たしいときもある。
 家族だからこそ、心が乱れる。

 繊細で気難しくてわがままで父親と母親が大好きな
 主人公ファニーが魅力的でかわいらしい。
 彼女のこだわりやきむずかしさは我儘と似て非なるもの。
 「変化」に敏感な彼女が父親との関係や
 初恋の体験によって、新しい世界に足を踏み出していく姿は
 初々しく、こちらまではらはらしながら見守ることになる。

 彼女はきっとこんな調子でゆっくりと自分の歩幅で
 自分の人生を歩んでいく。大切な家族と愛しいディナーと一緒に。

 幼い頃に大切にしていた宝物を懐かしむ気持ちに襲われる作品だ。

屋根裏部屋のエンジェルさん 

2006年04月15日 23時48分49秒 | 読書歴
■ストーリ
 下宿屋をしている独身のアガサおばさんに引き取られたヘンリー。
 けちで欲張りで厳しいおばさんの家には楽しいことなどひとつも
 ない。ところが屋根裏に下宿することになったハーピー・エンジェルさんが
 「つながり道具一式」で下宿中の雰囲気を変えていく・・・。

■感想 ☆☆☆*
 のどかなエンジェルさんの笑顔がまるで目に見えるような作品。
 つながり道具一式で家族の思い出をつないでいくエンジェルさんと
 彼を手伝う主人公ヘンリー。笑顔でたちまち人をひきつけていく
 エンジェルさんとそんな彼を怪しむヘンリーの関係がかわいらしい。

 児童向けの物語で短いにも関わらずおばさんの心の傷も
 下宿人たちの悩みも描かれていて彼らの魅力がきちんと伝わってくる。

 生きている人は死んでいる人につながっている。
 死んだ人の思い出が私たちにつながっている。
 「先祖」というと大げさだけれど、私たちには両親がいて
 両親の両親がいて、そのまた両親がいて・・・
 そういった祖先の方々の愛情やしつけは、きっとほんの少しは
 私にも影響しているだろう。
 彼らの残したものが私に影響していることもあるのだろう。
 そういうふうに人のつながりに思いを馳せたくなる作品だった。

きよしこ / 重松清

2006年04月15日 23時39分14秒 | 読書歴
■ストーリ
 少年は、ひとりぼっちだった。名前はきよし。どこにでもいる少年。
 転校生。言いたいことがいつも言えずに、悔しかった。
 思ったことを何でも話せる友だちが欲しかった。
 そんな友だちは夢の中の世界にしかいないことを知っていたけど。
 ある年の聖夜に出会ったふしぎな「きよしこ」は少年に言った。
 伝わるよ、きっと―。
 大切なことを言えなかったすべての人に捧げたい珠玉の少年小説。

■感想 ☆☆☆*
 吃音に悩む少年「白石きよし」の7歳から18歳までを
 描いた連作集。
 転校ばかりの少年時代をすごした少年は各話ごとに
 住んでいる場所が異なる。彼を囲む友人も変わる。
 幼い頃の共通の思い出を持つ友人がいない。

 ただ、きよしこがいる。
 傍にいて少年を見守ってくれる架空の友人。
 きよしこは言う。
 「ひとりぼっちの人なんて世の中には誰もいない。
  だきつきたい相手や手をつなぎたい相手は
  どこかに必ずいるし、抱きしめてくれる人や
  手をつなぎ返してくれる人も、この世界のどこかに
  絶対にいるんだ。」

 きよしこの言葉を証明するように、少年は
 転校先の学校で、必ず彼を受け止めてくれる人に出逢う。
 不器用で無口な少年は、友人が多くないけれども
 それでも彼はひとりぼっちではない。
 彼は吃音について常にコンプレックスを持ち続けるけれど
 それでも彼の周囲には、彼の手をつなごうとする人が
 必ず存在する。その存在の暖かさに目頭が熱くなる。

 少年はやがてコンプレックスを抱えたまま
 夢を描き始め、「少年」ではなくなるところで
 小説は終わりを迎える。

 その間、架空の友人きよしこは、まったく出てこない。
 彼の存在は忘れたまま。少年は辛いことも悲しいことも
 寂しいこともすべてをひとりで受け止める。
 そして、最後の最後にきよしこは現れる。笑顔で。

 なんだろう。なぜ、こんなに清清しい気持ちになるのか
 重く苦しい気持ちになるのか分からない。
 読み終わったあと、言葉にはできない重く苦しい
 それでも爽快で暖かい気持ちになる作品である。

眠る盃 / 向田邦子

2006年04月15日 23時06分43秒 | 読書歴
■内容
 「荒城の月」の「巡る盃 影さして」という一節を
 「ねむる盃」と覚えてしまった少女時代の回想に、
 戦前のサラリーマン家庭の暮らしの手触りをいきいきと
 蘇らせる。知的なユーモアと鋭い感性をうちに包んだ
 暖かな人柄がしのばれるエッセイ。

■感想 ☆☆☆
 ひたすらひたすら彼女の使う言葉の美しさ
 過ごす時間の静謐さに胸打たれる。
 20年前には確かに流れていたこの時間、
 使われていたこの言葉はどこに消えてしまったのだろう。

 料理もお裁縫も編み物も好きで
 使う言葉も美しい。
 まさに今の私の憧れの存在。
 彼女の随筆を読んでいると
 私が暮らしているこの部屋の乱雑さが
 より一層情けななくなってくる。
 年を重ねれば重ねるほど魅力的になっていける人になりたい。

 彼女の随筆は、暖かくユーモアあふれる文章なのに
 読むたびに背筋が正される思いを味わうのだ。

さあ、更新開始!

2006年04月15日 22時52分19秒 | 日常生活
ようやく土曜日になりました。
昨日までは新人合宿研修。
全員の顔と名前がようやく一致して
なんとなく落ち着いてきたような・・・。

とりあえず、週末の楽しみであり
ストレス発散でもあるブログ更新開始。
読書感想だけで5冊分あります。うふ。

本が読めなくなるほど忙しい体験は
まだしたことないんです☆
本当に忙しい人に申し訳ないわぁ。