のりぞうのほほんのんびりバンザイ

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世界中が雨だったら/市川拓司

2007年06月15日 01時03分13秒 | 読書歴
■世界中が雨だったら/市川拓司
■内容
 ここにいるのはもうひとりの僕です。
 愛を見失った少年、少女。愛を手探りする大人たち。
 魂の叫びが木霊する三つの「愛」の物語。
 ・琥珀の中に
 ・世界中が雨だったら
 ・循環不安

■感想 なんとも言えません。☆付け不可能。
 久々に本を読んで落ちた。
 「哀しい」でもなく「泣ける」でもなく「落ちる」感覚。
 読み終わった後に胸に広がるのは闇。どす黒い闇。

 3つの中篇はどの作品も「死」と「愛」をテーマにしている。
 すぐ近くにある「死」とかなりいびつな「愛」。
 自分自身に対する「愛」と「憐憫」。
 おそらくこの本を読み返すことはない。
 この世界の中に私は足を踏み入れられない。

 「雨が降ったら軒下に逃げればいい。」
 「でも、世界中が雨だったら?」
 「世界の外に逃げればいいんです。」

 私は。私は世界中が雨だとしても、ずぶ濡れになったとしても
 逃げることなく、前に進める人でいたい。
 顔をそらすことなく、天を見上げる人になりたい。