のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

11月の読書

2009年12月23日 17時05分35秒 | 日常生活
読書感想文、今年も追いつきそうにありません。
11月にインフルで倒れたときに離されました。
あの頃までは順調だったんだけどなー。

104.鹿男あおによし/万城目学
■ストーリ
 「さあ、神無月だ。出番だよ、先生」
 二学期限定で奈良の女子高に赴任した「おれ」。
 ちょっぴり神経質な彼に下された、空前絶後の救国指令とは。

■感想 ☆☆☆☆
 読書好きな方々大絶賛だったこの作品。図書館派の私はすっかり
 乗り遅れていましたが、ようやく読破。おもしろい!
 よくこんな話、思いついたなー。と尊敬しながら読み終えました。
 ただ、ちょっぴり期待が高すぎた感がなきにしもあらず。
 この作品をドラマ化したフジテレビはもっともっと尊敬です。
 再放送早くしてくれないかなー。非常に見たいです。

105.冷たい校舎の時は止まる/辻村深月
■ストーリ
 ある雪の日、学校に閉じ込められた男女8人の高校生。
 どうしても開かない玄関の扉、他に誰も登校してこない時が止まった
 校舎。不可解な現象の謎を追ううちに彼らは2ヵ月前に起きた
 学園祭での自殺事件を思い出す。しかし、死んだ級友の名前だけが
 思い出せない。死んだのは一体、誰!?

■感想 ☆☆☆☆☆
 一体、何回読み返したことやら。でも、何回読み返してもやはり好き。
 推理小説で種明かしまで分かっていてもなお楽しめる小説です。
 若かりし頃の切ない気持ちや焦燥感を思い出してくれます。

106.人形の部屋/門井慶喜
■ストーリ
 ある春の日、八駒家に持ち込まれたプラスチックの箱の中身は、
 「冬の室内」といった趣の舞台装置と、その右のほうに置かれた
 椅子に行儀よく腰かけている少女の人形。子供らしい快活さを
 示すように、ひょいと天を向けた少女の左足のつま先は、粉々に
 砕けていた。破損の責任を押しつけられそうな敬典の姿を見て、
 娘のつばめは憤慨するが、敬典は不思議と落ち着いていて。
 主夫業に専念する父親とその家族を巡る日常の謎。

■感想 ☆☆☆
 大好きな「日常の謎」カテゴリの作品。丁寧な文章で落ち着いて
 読めます。さらりと楽しめます。こういう「日常の謎」に薀蓄が
 つまったものは読んでいるだけで賢くなったような気持ちが
 味わえるところが大好きです。
 でも、読み返すことはないかなー。

107.対話篇/金城一紀
■ストーリ
 「恋愛小説」「永遠の円環」「花」の3編を収録した中編集。
 親しくした人間がかならずこの世を去ってしまう数奇な運命の男が
 ただ一度経験した恋愛の顛末を描いた「恋愛小説」。
 余命いくばくもない主人公の復讐をミステリー調に描いた「永遠の円環」。
 老弁護士と青年が過去の記憶をたどりながら、ある目的のために
 旅をする「花」。

■感想 ☆☆☆☆☆☆
 「つべこべいわずに、とにかく読みなさい!読め!」とぽこりんに
 薦められた作品。油断してました。通勤時間に読む本ではありません。
 帰宅時のバスの中で泣いてしまった・・・。
 どれも死、別離といった暗くなりがちで、少しベタなテーマを扱って
 いますが、泣いてしまったのはそのテーマ故ではありません。
 悲しくて、とか、感動して、でもありません。とにかく幸せな気持ちに
 なります。幸せすぎて、切ない気持ちになり、そして涙腺を刺激され
 ます。
 特に最後の「花」。この一編だけのためにこの本を購入したい。
 そう思いました。「間違いない。この世界は素晴らしい」という
 言葉が今も胸に迫る作品。

108.GO/金城一紀
■ストーリ
「これはオヤジでもなくオフクロでもなく、僕の物語だ」。
 都内の私立高校に通う在日コリアンである主人公「僕」は、
 ダンスパーティーでコケティッシュな魅力をもつ「在日ジャパニーズ」
 の女の子に出会い、恋に落ちた。

■感想 ☆☆☆☆
 「売れた本」や「話題になった本」とめっきり縁遠いため
 こちらも今頃、ようやく・・・の感が。話題になる本は
 話題になるだけのことはあるな、と認識いたしました。
 面白い!かっこいい!「在日」や「差別」が通り一遍ではなく
 しっかりと描かれています。その視点の新しさに説得力がある気が
 しました。たしか窪塚さん主演で映画化されてたような。
 見たい。けど、なんとなく登場人物とイメージが一致しないかな。

109.向田邦子愛
■内容
 向田さんのファンの方々が作ったファンによるファンのための本。
 カテゴリ別に作品の人気投票が行われています。

■感想 ☆☆☆*
 向田さん関連の本が我が家のすぐ近くの図書館に大量に巡って
 きました。小説を読むことに疲れていたため、これからしばらくは
 向田さん三昧です。向田さんの文章を大好きだと語る方々の
 文章に「私も!私も!」と納得したり、「いや、私はこのエッセイの
 ほうが!」と反論したくなったり。楽しみました。
 久々に向田さんのエッセイも読み直したいな。

110.立命館小学校メソッド/深谷圭助
■内容
 子どもの力をあなどっていませんか?
 「勉強しなさい」と言わなくても、子どもが自ら生き生きと
 学びはじめ、小手先の知識だけに終わらない一生モノの学力を
 身につける。そのために親ができること。教育界の注目を一身に
 集める立命館小学校のメソッドには、そのヒントがたくさん
 隠れています。

■感想 ☆☆☆☆
 非常に楽しく読みました。子育てとは縁がないまま、終わりそうな
 予感大ですが、たくさんのちびっこたちに、ぜひ勉強の楽しさとか
 学んだり知ったりすることの面白さとか、そういうことを学校では
 学んでほしいなあ、と読みながら思いました。
 それにしても、学校の先生は自分の中に軸が必要で、大変な職業
 だなぁと改めて思いました。

111.清張さんと司馬さん~昭和の巨人を語る~/半藤一利
■内容
 「虫の眼」清張と「鳥の眼」司馬。
 松本清張と司馬遼太郎という戦後文学の二大巨匠は、また、昭和史
 そして激動する現代社会にも厳しい批評を提示し続けた。二大巨匠の
 活動が最も旺盛であった昭和30年代後半から40年代にかけて、
 著者は担当編集者として二人に出会い、多くのことを学んだ。
 間近に接した巨匠の等身大の実像を描く。

■感想 ☆☆☆
 もはや、私にとってはこのおふたりすら「歴史上の人物」に
 感じられるほど、偉大な作家おふたり。そのおふたりの担当を経験
 したことのある著者がおふたりの人となりを、親近感あふれる言葉で
 振り返っています。彼らの作品の裏側には膨大な量の資料の読み込みや
 旅行など、並外れた努力があったのだと今更ながらに知り、
 改めて彼らの作品を読み返したくなりました。
 特に松本さん。小倉出身の作家なのに、あまり手に取ったことが
 ないため、来年はチャレンジしてみたいと思います。

112.向田邦子の全ドラマ~謎を巡る12章~/小林竜雄
■内容
 向田邦子が残した数々の名作ドラマ。そこにはいくつか共通した
 謎が存在する。なぜ弟は兄を憎むのか。なぜ青年は「他人の家族」が
 好きなのか。ホームドラマの底に秘められた作家の真実とは何か。

■感想 ☆☆☆
 今となっては、見ることのかなわない向田作品。
 わずか20年前は、こういった骨太の作品がゴールデンの連続ドラマ
 だったんだな、とその傾向にも感慨を覚えました。
 つくづく時代は変わったんだな・・・。

113.太陽の昇る場所/辻村深月
■ストーリ
 高校卒業から10年。クラス会に集まった男女の話題は、女優に
 なったクラスメートの「キョウコ」。彼女を次のクラス会へ
 呼び出そうともくろむものの「キョウコ」と向かい合うことで
 高校時代の「幼く、罪深かった」出来事が記憶の中から蘇る。

■感想 ☆☆☆*
 大好きな辻村作品を久々に図書館で見つけ、すぐに手に取りました。
 相変わらず面白く、あっという間に読み終えました。そして、
 今回も変わらず、辻村さんにしっかりとだまされました。
 悔しい・・・。読み返すと、いたるところにちらちらとヒントが
 ヒントどころか、そのものずばりの種明かしも転がっているのに
 なんでだまされてしまったんだろう・・・。と作者のレトリックの
 うまさに舌を巻きました。
 それにしても、突如として、作風が大人テイストになっていて
 びっくり。ほろ苦いどころではないビターな作風です。
 優しすぎるぐらい「いい人」たちばかりだった今までの作品が
 まるで嘘のよう。読み終えて「スロウハイツ」を読み返したく
 なりました。私には少しビターすぎます。

114.向田邦子の恋文/向田和子
■内容
 脚本家として独立して二年。姉、向田邦子はやっと探していた
 「なにか」をつかみかけていた。惜しみなく愛情をそそぎ、
 あたたかく見守られながら過ごした日々の記録。捨てられなかった思い。
 それはいかにも姉らしい「秘め事」だった。
 急逝直後に見つかっていた向田邦子の手紙とN氏の日記、
 そして妹和子の回想で綴る姉とわたしの「最後の本」。

■感想 ☆☆☆☆*
 こちらも発売当初に話題になった作品。向田さんの美しいポートレート
 が非常に印象的な一冊。恋も仕事もすべてに全力を傾けていた向田さん
 の姿が鮮明に蘇ってくる一冊でした。そして、「生涯に一度の恋」を
 実践した向田さんの気持ちが切なくなる一冊でした。

115.2100年の人魚姫/折原みと
■ストーリ
 あたし、小泉ルウ。なんと2100年からタイムトラベルして来た
 未来少女。ある「使命」を果たすために、人気大学生モデルの
 藤谷冬也(とーや)と一緒に暮らすことになったんだけど。
 どうしよう!?あたし、とーやを殺すなんてできないよ!
 だけど彼を殺さないと、あたしの命がなくなっちゃうの。
 「恋」と「命」どっちをとる??

■感想 ☆☆☆*
 うーわー!あらすじを自分の手で打っているだけで、ちょっぴり
 こっぱずかしい気持ちになってしまいましたとも。でも、未だに
 定期的に読み返しています。読み返しちゃいます。
 だって、力技のハッピーエンドですもの。落ち込んだときに
 ぴったりなのです。今回も風邪で寝込んでいるとき、朦朧とした
 頭で読み返しました。
 ティーンズハート、流行ったなぁ・・・。

116.死神の精度/伊坂幸太郎
■ストーリ
 「俺が仕事をするといつも降るんだ」
 クールでちょっとズレてる死神が出会った6人の人生の終わりの物語。
 音楽を愛する死神の前で繰り広げられる人間模様。

■感想 ☆☆☆☆
 ちょっぴりずれていて、でもかっこいい死神に、突如再会したくなり
 久々の再読。伊坂作品は再読率が非常に高いです。定期的にまた
 会いたくなるキャラクターが非常に多いです。
 6人それぞれの人生の終わり。ラストの1編がこの作品に深みを
 与えている気がして、特に大好きです。

117.向田邦子 恋のすべて/小林竜雄
■内容
 向田邦子のドラマに溶かし込まれた、秘められた「恋」とは。
 晩年の恋に関する取材から明らかになった新事実、新証言をもとに
 向田ワールドを再構築する。

■感想 ☆☆☆
 どれだけ向田さん関連作品を集中して読んだんだ!という感じですが。
 なんとなくはまってしまいました。向田さんのドラマ作品のあらすじや
 魅力を知ることができました。「見たい」という気持ちが更に
 強くなりました。なかなか叶いそうにないし、今、彼女の作品を
 リメイクしても、きっと受け入れられないだろうな、とも思いますが
 それでも、惹き付けられる作品群。関連本を読めば読むほど、
 向田さんのことを好きになります。


11月は小説以外がかなり多めです。
「人の人生を追うことに」疲れていたようです。

あえて否定はしませんでした。

2009年12月23日 10時53分14秒 | 日常生活
福岡で通っていた教会のクリスマス会が友人宅で行われました。
クリスマス会と言っても、同じ年代が集まって
飲んで食べて語って笑って飲む、というごくフツウの飲み会です。
クリスマス会らしいこと、と言えば
プレゼント交換、そしてあやうく忘れるところでしたが、感謝のお祈り。
これぐらいです。

しかし、久しぶりの再会に
そして、久しぶりなのに、なんら変わっていない面々との
楽しい時間に思う存分笑って過ごした夜となりました。
大満足の数時間を過ごしました。
そして、楽しい時間はあっというまなのです。
小倉へ帰宅しなければならない時間はすぐに訪れます。
みんなに別れを告げ、博多駅へ急ぎます。
うん。この時刻なら余裕で電車にも間に合うわ。

と、余裕をかましつつ、母上に帰宅時刻を連絡しようとしたところで
自分の携帯がないかもしれないことに気がつきました。

!!
携帯、忘れた?!
うわ!どうする?!どうする?!

普段、めったに使わないうえに
しょっちゅうどこかしこに落としたり忘れたりしてはいますが
とは言え、やはり携帯ないまま過ごすのは非常に不便!
しかも、「明日、連絡するね。」と言ったまま
連絡を途絶えさせている友人もいるのです。

うーわー。
と、落ち込みましたが、落ち込んでいるヒマはありません。
即刻、ユーターン。
反対方向の地下鉄に乗り込みます。

反対方向の地下鉄は福岡の中心地から住宅街へ向かう電車。
季節は忘年会シーズンまっさかり、時刻は終電間際。
当然のことながら、地下鉄は大混雑です。

あまりの混雑具合に、本を取り出すこともできず
周囲を見渡していると、見たことがある顔発見。
今年の新人君です。
にやりと笑う新人君。

「のりぞうさん。どこ行ってるんですか?
 完全に家と反対方向じゃないですか。
 明日、休みですもんね。
 みんなで心配してましたけど、なかなかやりますね。」

・・・みんなで心配してくれてたんだ。
そのお気持ちはヒジョーにありがたい。
ありがたい故に、しかもシーズン的にもなんとなく誤解を解きにくい。

というわけで、にっこり笑ってやり過ごしました。
次の駅でおりていく新人君。

去っていく新人くんを見守りつつ、
誤解を解けなかった自分の小ささにちょっぴり落ち込んでいると、
突如、呼びかけられました。
振り向くと、ついこの間、会社を去ったばかりの元同僚さんです。

「うわー。やっぱり、のりぞうさんだっ!お元気ですか?!
 こんなところで会えるなんて!嬉しいです!
 ・・・あれ?自宅、小倉でしたよねー?」

と、意味ありげに微笑みかけてくる元同僚さん。

・・・やっぱりそういう反応ですか。
でも、違うんですよ!
「行く」ところじゃなくて、
忘れ物のために、姪浜へ「いったん戻る」ところなんですよー、
と、やんわりと冷静に事実を伝えるワタクシ。
なんとなく、さっき落ち込んでしまったので
今回はちゃんと事実と想像が異なることをお伝えするのです。

「姪浜で飲んでたんですか?珍しいですねぇ。
 どこのお店ですか?」

誤解が解けたのか、意味ありげな笑いではなくなった彼女。
姪浜のすぐ近くに住んでいるため、
自宅近所でも飲めるお店があるのなら・・・と
新規開拓をしたかったらしく、場所を突っ込んで聞いてきました。

あぁ。今日はお店じゃなかったんです。
珍しく、家飲みで。友人の家で飲んでたんです。

と、お伝えすると、彼女の目の輝きが復活し、
更に含み笑いまでもが追加されました。

「あ。トモダチの家?トモダチの家での家飲み?
 あぁ、あぁ。そっちのほうが楽しいですよね。色々と。」


・・・世間は、(それとも、ワタクシたちの年代が?)
忘年会シーズンではなく、クリスマスシーズンだと実感した祝日前の夜。