のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

12月の読書

2009年12月31日 23時19分19秒 | 読書歴
118.ホワイト・クロウ「インディゴの夜 シリーズ3」/加藤実秋
■ストーリ
 スタイリッシュで、個性的なホストが集うクラブ「インディゴ」は
 オープン三年目を迎え、リニューアルを決定。ツテで有名インテリア
 デザイナーに内装を依頼した。改装工事の間、店は仮店舗で営業する
 ことになる。そんなバタバタの中、ホスト達はそれぞれトラブルに
 見舞われて。
■感想 ☆☆☆*
 シリーズ三作目になり、ジョン太、アレックス、犬マンなどの
 今までは「脇役」だったホストたちにもしっかりとスポットライトが
 あたり、ますます親近感を持てるシリーズになってきました。
 連作短編集の醍醐味で、それぞれ1編ずつは、ホストたちが
 プライベートで巻き込まれた事件とそのの顛末を描き、それぞれの
 伏線が、ラストの1編で「インディゴ」リニューアルに絡む騒動として
 見事につながります。こういう「短編集だけど、全体的に見ると
 長編」というつくりは、お得な気持ちになるので大好きです。

119.大きな熊が来る前にお休み/島本理生
■ストーリ
 徹平と暮らし始めて、もうすぐ半年になる。だけど今が手放しで幸せ、
 という気分ではあまりなくて、むしろ転覆するかも知れない船に乗って
 岸から離れようとしている。そんな気持ちがまとわりついていた。
 新しい恋を始めた3人の女性を主人公に、人を好きになること、
 誰かと暮らすことの危うさと幸福感を描く。

■感想 ☆☆☆☆
 島本さんの文章が好きです。島本さんの描く「真面目なオンナノコ」
 が好きです。不器用で、他人を信じたり甘えたりすることが苦手な
 オンナノコたち。読んでいて、ちょっぴり痛々しいけれど、
 ほほえましい気持ちにもなります。でも、痛々しいほうが大きい
 かもしれない。文章がさらりとしているので、非常に読みやすいです。
 ただ、読み終わった後に、さらりと忘れてしまう危うさもあります。
 疲れたときに、つい手にとってしまうのは、このさらりとした
 読み心地故かもしれません。
 
120.向田邦子 暮らしの楽しみ
■内容
 脚本家、エッセイスト、小説家として活躍する一方、暮らしを
 愉しむのが上手だった向田邦子さん。手軽でおいしい手料理、
 食いしん坊ならではの器えらび、終の住処での暮しぶり、
 行きつけの店、旅。そのライフスタイルには「自分らしく生きる
 とはどういうことか」を知るヒントがたくさん詰まっています。

■感想 ☆☆☆☆
 テーマが好みだった場合のどんぴしゃり率がずばぬけて高い
 「とんぼブック」です。写真がたくさん、でも文章もたくさんで
 お得な気持ちになるムック本です。ただ、お値段が少々高いのです。
 ま、写真の多さやカラー写真の質感などを考えると当然というか
 むしろ、少々お得なのかも、という値段ではありますが。
 向田さんの美人振りが際立つ写真ばかり。そして、彼女の
 センスの高さに感服しっぱなしの一冊です。つくづくかっこいい。

121.ささらさや/加納朋子
■ストーリ
 事故で夫を失ったサヤは赤ん坊のユウ坊と佐佐良の街へ移住する。
 そこで次々に起こる不思議な事件。けれど、その度に亡き夫が
 他人の姿を借りて助けに来るのだ。そんなサヤに、義姉がユウ坊を
 養子にしたいと圧力をかけてくる。
 ゴーストの夫とサヤが永遠の別れを迎えるまでの愛しく切ない日々を
 描く連作ミステリ小説。

■感想 ☆☆☆☆*
 疲れているとき、優しい気持ちになりたいときにお勧めの一冊。
 文庫本の表紙イラストも優しい一冊です。
 男性にはあまりお勧めしません。でもたういていの「オンナノコ」は
 この世界、大好きだと思うのです。

122.てるてるあした/加納朋子
■ストーリ
 親の夜逃げのために高校進学を諦めた照代。そんな彼女の元に
 差出人不明のメールが届き、女の子の幽霊が現れる。
 不思議な街「佐々良」で暮らし始めた照代の日々を、
 彼女を取り巻く人々との触れ合いと季節の移り変わりを通じて
 鮮明に描いた癒しと再生の物語。

■感想 ☆☆☆☆☆
 「ささらさや」の続編。とは言うものの、「ささらさや」のヒロイン
 さやは、今回、脇役に回ります。変わって、ヒロインを務めるのは
 素直で人を疑うことを知らなかったお人よしのさやと正反対、
 ひねくれ者で、憎まれ口ばかりたたいているてるよです。
 そんな彼女が「佐々良」町の人々に見守られ、少しずつ少しずつ
 変わっていく様子に胸がぎゅっと熱くなりました。
 何度読み返しても、毎回毎回、目頭が熱くなります。
 ヒロインとしてはさやのほうが好きですが、お話としては断然、
 こちらのほうに胸を打たれます。

123.春になったら苺を摘みに/梨木香歩
■内容
 「理解はできないが、受け容れる」それがウェスト夫人の生き方
 だった。「私」が学生時代を過ごした英国の下宿には、女主人
 ウェスト夫人と、さまざまな人種や考え方の住人たちが暮らしていた。
 ウェスト夫人の強靭な博愛精神と、時代に左右されない生き方に触れて
 「私」は日常を深く生き抜くことを、さらに自分に問い続ける。

■感想 ☆☆☆☆
 梨木さんの作品が好きです。梨木さんの選ぶ言葉が好き。
 でも、それだけでなく、梨木さんの考え方、生き様、人との関わり方
 それらが好きだと気付いた一冊。彼女のシンプルな生き方、
 ぶれのないスタンスに憧れを覚えました。

124.三谷幸喜のありふれた生活
125.大河な日々-三谷幸喜のありふれた生活3-
■内容
 女優の妻、2匹の猫と愛犬とびとの生活、締め切り破りの日々、
 松たか子など仕事で出会う様々な人たち。人気脚本家の慎ましやか
 だがエキサイティングな日々を綴った朝日新聞で人気のエッセイ。

■感想 ☆☆☆☆☆
 三谷さん大好きです。三谷さんの脚本も映画も好きですが
 何より好きなのは、三谷さんの人柄がダイレクトに伝わってくる
 エッセイです。人見知りでひきこもりなのに、なぜか表に
 出ることになる、むしろ進んで表に出てしまう使命感に燃えている
 三谷さんの呟きが大好きです。
 何より、三谷さんの文章から垣間見える奥さんや家族の猫たちへの
 暖かいまなざしが大好きなのです。

126.ピーコとサワコ
■内容
 「テレビのウラ話をめぐるホンネで爆発!」
 「テレビタレントをめぐる寄らば斬るゾ」
 「ファッション・チェックをめぐる卑しさと品格」
 口から生まれた阿川佐和子さんとピーコさんが丁丁発止とわたり合う
 対談集。

■感想 ☆☆☆*
 つくづくサワコさん、大好きです。サワコさんの聞き上手な部分が
 存分に発揮されている対談集です。私もこういうふうに人の話を
 聴ける人にならねば・・・という気持ちにさせられました。
 語り口がさばさばしているので、爽快な気持ちを味わえます。

127.僕は悪党になりたい/笹生陽子
■ストーリ
 僕の名前は兎丸エイジ、17歳。父親は不在だが、奔放な母親と
 腕白な異父弟・ヒロトと3人で平凡な生活を送ってる。
 毎日炊事、洗濯、ゴミ捨てと家事全般をこなす高校生が「平凡」か
 どうかは我ながら疑問なんだけど。
 ある日、弟のヒロトが病気で倒れ、僕の「平凡」な日常が少しずつ
 崩れ始める。

■感想 ☆☆☆
 小心者で事なかれ主義のイマドキ高校生が、「日常」を打ち破り
 「非日常」へ一歩踏み出す過程が無理なく描かれていて、
 「ありそうだなぁ」と素直に思えました。
 思春期にありがちな勘違いや「失敗したくない」「うまくやりたい」
 というイマドキの若者らしい気負いに、数年前の自分を思い出して
 いたたまれない気持ちにもなりました。

128.今夜も宇宙の片隅で/笹生 陽子
■ストーリ
 「ネットにアクセスしてる時って、無限の宇宙空間にほうりだされた
 小さな星になっている気がしない?」ぼくたちはつながっている。
 ちょっぴりの勇気があれば、いつだって誰とだってつながれる。

■感想 ☆☆☆*
 爽快な青春小説。
 話の筋だけを追うと、平凡・善良な男子中学生が興味とノリでヤバい
 クスリを買おうとしたら、その売人が過去の悪い同級生で・・・と
 まったく「爽快な」青春小説にたどり着かなさそうですが。
 そして、予想通り、ストーリーは青春小説の王道からは外れたまま
 終わりを迎えるわけですが。
 それでも、読み終わった後に爽快な気持ちを味わえます。
 「ま、いっか。」「なんとかなるさ。」そんな明るい気持ちになります。
 トモダチっていいな、と心から思える小説。

129.少女七竈と七人の可愛そうな大人/桜庭一樹
■ストーリ
 わたし、川村七竈(ななかまど)十七歳はたいへん遺憾ながら、
 美しく生まれてしまった。鉄道を愛し、孤高に生きる七竈。
 淫乱な母は、すぐに新しい恋におちて旅に出る。
 親友の雪風との静かで完成された世界。
 だが可愛そうな大人たちの騒ぎがだんだんと七竈を巻き込んでいく。

■感想 ☆☆☆☆
 痛い痛い辛い、そして熱い恋愛小説でした。
 読み終えた後、この世界観に呆然としました。今も思い返すだけで
 胸が痛い。美しい言葉で紡がれた世界と、できあがった世界観に
 圧倒されます。
 何がどう変わっていたら、彼らは幸せに向かい合えたのだろう。
 考えても仕方がないやるせない疑問が、読み終わった後に
 ぐるぐると胸を渦巻いていました。

130.モダンタイムズ/伊坂幸太郎
■ストーリ
 「実家に忘れてきました。」「何を?」「勇気を。」
 渡辺拓海は、多忙を極めるシステムエンジニア。ある日、課長から
 失踪した社員にかわってプロジェクトを継続実行するよう命じられる。
 その日から彼の周りで奇妙な事件が続く。先輩社員の失踪、同僚の
 誤認逮捕、上司の自殺、不倫相手の失踪。
 それらは、パソコンである言葉を検索した者に降りかかるようなのだ。
 この謎を解くべく、渡辺と同僚、そして彼の妻や、失踪していた
 先輩社員も加わって、一大冒険活劇が繰り広げられる。

■感想 ☆☆☆☆
 誕生日プレゼントにいただいた本。ハードカバーなので休みに
 じっくりと、と手を伸ばすのをためらっていたのですが、予想通り。
 読み始めたら手放せなくなりました。
 さすがさすがの伊坂ワールドです。圧倒。先が気になって、気になって
 物語から離れられず、この本を常に持ち歩いていた一週間。
 「魔王」「ゴールデンスランバー」に続く第三弾。
 「個人情報保護法」なるものができて、情報に過敏になっている現代で、
 本当に起こるかもしれないストーリー。
 「個人では太刀打ちできそうもない」事件に巻き込まれた
 ごくごく平凡な主人公たちが、置き忘れた勇気を取り戻し、
 底力を出す様に手に汗握りながら、読みました。
 ・・・が、それだけに、結末はほんの少し拍子抜けなのです。
 そうだよね、と主人公に共感はするのです。でも、
 「小説だからこそ!もっと他の結末が・・・」とも思ってしまうのです。

131.ピンクのバレエシューズ/L・ヒル
132.バレリーナの小さな恋/L・ヒル
■ストーリ
 イレーヌは、バレリーナになることを夢見てレッスンに励む少女。
 両親が亡くなり、住みなれた街パリと別れ、いなかに住むおじさん
 一家のもとにあずけられます。それでも夢をあきらめず、
 たったひとりでレッスンを続けていた彼女は、チャンスを掴み
 憧れのパリ・オペラ座のバレエ学校に入学します。
 ライバルたちがひしめくなか、異例の早さでバレエ団の正団員と
 なったイレーヌは・・・。

■感想 ☆☆☆☆☆
 バレエものは、漫画も小説も大好きです。しかし、小説はそんなに
 多くはなく、結果として、このお話を定期的に読み返しています。
 夢に向かって頑張っているイレーヌのまっすぐな姿が爽快。
 「ハッピーまりちゃん」も読み返すかな。
 
133.さよなら妖精/米澤穂信
■ストーリ
 1991年4月。雨宿りをするひとりの少女との偶然の出会いが、
 謎に満ちた日々への扉を開けた。遠い国からはるばるおれたちの
 街にやって来た少女、マーヤ。彼女と過ごす、謎に満ちた日常。
 そして彼女が帰国した後、おれたちの最大の謎解きが始まる。

■感想 ☆☆☆☆
 「哲学的意味がありますか?」
 マーヤの異文化をありのまま、理解しようとする姿勢。そして
 学んだ異文化から自分たちの国を作り上げようとする未来を信じる瞳。
 その何もかもが眩しいからこそ、ラストがやるせない小説です。
 しとしとと振り続ける雨、雨にぬれる紫陽花。
 そのしっとりとした雰囲気が読後に静かな余韻を与えてくれます。
 読み終わった後、世界中の未来を信じたくなる、そんな物語。

134.1ポンドのかなしみ/石田衣良
■ストーリ
 数百キロ離れて暮らすカップル。久しぶりに再会したふたりは、
 お互いの存在を確かめ合うように幸せな時間を過ごす。しかし、
 その後には、胸の奥をえぐり取られるような悲しみが待っていた。
 16歳の年の差に悩む夫婦、禁断の恋に揺れる女性、自分が幸せに
 なれないウエディングプランナー。迷い、傷つきながらも恋をする
 女性たちを描いた10のショートストーリー。

■感想 ☆☆☆*
 クリスマス、石田さんを敬遠していた私に、石田ファンの友人が
 贈ってくれました。
 色とりどりのキャンディのようなキュートなお話ばかり。
 ハッピーエンドの恋愛小説が10編。読み終えて幸せな気持ちに
 なりました。短編小説特有の物足りなさとは無縁。
 
135.4TEEN/石田衣良
■ストーリ
 東京湾に浮かぶ月島。ぼくらは今日も自転車で、風よりも早く
 この街を駆け抜ける。ナオト、ダイ、ジュン、テツロー、中学2年の
 同級生4人組。それぞれ悩みはあるけれど、一緒ならどこまでも行ける。
 もしかしたら空だって飛べるかもしれない。

■感想 ☆☆☆*
 ありがちな青春モノ。それなのに、読み進めていくうちに、
 主人公4人組への親近感はどんどん大きくなります。
 弟たちを見守っているような気持ちになります。
 「読んだ後に思い返すとね、思っていた以上に、彼らのことが
  好きなんだよね。」と伝えてくれた友人の言葉に心から共感。
 男の子たちの友情って、なんだかいいな。


どうしても今年中に今年の本の感想をまとめたかったのです。
ようやく終えました。ええ、自己満足です。
今年もたくさんの本を読みました。
1年の終わり、そして1年の始まりは宮部さんと迎えています。
来年も読書生活を楽しみます。

年の瀬

2009年12月31日 11時00分57秒 | 日常生活
2009年もいよいよ終わりです。
最後の1ヶ月は飲んで食べて飲んで食べて飲んで飲んで食べて食べて
と、胃袋に大変優しくない一ヶ月でした。
ただ、胃袋には優しくなかったものの
大好きな友人との久しぶりの再会だったり
今年を忘れて、来年に向かうための会合だったり
心に元気をたくさんもらった一ヶ月でもありました。
この1ヶ月で、どれだけ毒を吐いて、どれだけ笑ったことか。

というわけで、昨日。
今年最後の目標を達成するべく、
体重計に乗ってきました。

・・・よし!
なんとか暴飲暴食を乗り越えて体重キープに成功。
体脂肪率は範囲外です。
ちょっぴりジーンズがきつくなろうが
腰の辺りがぷよぷよしていようが知ったことかー。
したがって。
お正月には、心置きなくお餅三昧の日々を過ごします。
「身になる」ことで有名なお餅が、ワタクシは大好きなのです。
お餅をついている最中から、つきたてお餅に
手を伸ばさずにはいられないほど愛してやまない食べ物なのです。
まだまだ胃腸にお休みをあげられない日々が続きそうな予感大の年末です。

そんなこんなで、2009年も終わり。
2009年は2008年に引き続き、じっと巣篭もりの一年でした。
そして、巣篭もりしていたにも関わらず
私にも、私をとりまく大好きな人々にも変化の多い一年でした。
変化が苦手な私にとって、少々いっぱいいっぱいだった2009年は
新しい出会いよりも、
今目の前にある出来事に対応するだけで精一杯の日々でした。

が。
2010年は巣篭もることなく
前へ前へ進んでいく1年にしていきたいな、と思います。
前に一歩を踏み出す1年にしようと思います。
「今日できることは今日する」。
この気持ちを大切に。
日記も1ヶ月まとめて書いている場合じゃないですよ。(サイテー)

走ることも駆け抜けることも相変わらず苦手なので
2010年もゆっくりマイペースに。
でも、得意分野の「じっと動かず」は封印して前へ前へ。
体を動かして、たくさん怒って、たくさん笑って。
たくさん泣いて、たくさん感動して。
心も体もちょっとだけエンジン始動開始。

年末に行った今年最後のライブで、
苦手だった言葉「がんばれ」がほんの少し好きになりました。
軽々しく言われる「がんばれ」は相変わらず好きではないけれど
心のこもった「がんばれ」にこもっている暖かさ、優しさを実感して
それらの存在を信じられるな、と思いました。
だからこそ。
2010年の私に向けて。

がんばれ。
がんばれ。
がんばろう。

でもって、関係各位の皆々様。
今年も一年、本当に本当にお世話になりました。
来年も引き続き、よろしくお願いいたします。
生あたたかく見守っていただけると、とっても嬉しいです。