のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

2011年5月の読書

2011年06月11日 17時18分12秒 | 読書歴
中盤、赤川さんと辻村さんで一息つきましたが、
それ以外は、普段あまり手に取らない外国作品や
新しい作家さんの作品に積極的に手を伸ばせた一ヶ月でした。
ところで来月、部会の中で「お奨めの本」を紹介するコーナーを
受け持つことになりました。
・・・老若男女問わず、一般的にみんあが楽しめる本というものを
紹介できる自信がまったくありません。
うーん。何を紹介すればいいのか、まったくわからん!

49.夏至の森/パトリシア・A・マキリップ
■ストーリ
七年ぶりに故郷に帰ったシルヴィアを待っていたのは、鬱蒼とした森に抱かれた
リン屋敷と、曾曾曾祖母の手記。森には美しくも怖ろしい女王とその眷属が棲み、
祖母が主宰する村の女たちのギルドが、屋敷を彼らから護っているのだという。
シルヴィアがあわてて都会に戻ろうとしたとき、従弟が消えて取り替えっ子が現れた。

■感想 ☆☆☆☆
おそらく翻訳の影響だと思うが、前半の日本語はかなり読みにくい。
そのため、作品世界に入っていくのに時間を要したが、中盤以降は
現代社会と重なるようにして存在している「異世界」をすぐ傍に感じながら
読み終えることができた。
現代を舞台にしているものの、前社会的な閉じた「村」の中で生きる
狭い世界で生きる女たちは、自分たちの世界を守るために、異世界を
排除し続ける。その手法が女ならではのお裁縫で、ファンタジーとか
冒険譚とは程遠い非常に地味なもの。けれど、お裁縫で異世界の出入り口を
封じ込めるという考え方になんとなく「ありえそう」だと納得できた。
異世界がごくごく身近にあることをこういった細かな設定で見せていたように思う。
中盤まではどこまでも閉塞的で窮屈な話の流れ。それがクライマックスを迎え、
どんどん壮大な話の展開になっていく。その世界の広がりに、
この世界の大きさ、深さ、多様性を改めて実感した。
社会は、地球は、多種多様の民族、生物が共存して生きていくべきところ
なのだということを改めて考えさせられたし、
そこに大きな希望を見出せる作品だった。

50.スロウハイツの神様(下)/辻村深月
■ストーリ
ある快晴の日、人気作家チヨダ・コーキの小説のせいで、人が死んだ。
猟奇的なファンによる小説を模倣した大量殺人。この事件を境に筆を折った
チヨダ・コーキだったが、ある新聞記事をきっかけに見事復活を遂げる。
闇の底にいた彼を救ったもの、それは『コーキの天使』と名付けられた
少女からの128通にも及ぶ手紙だった。事件から十年。売れっ子脚本家
赤羽環とその友人たちとの幸せな共同生活をスタートさせたコーキ。
しかしその共同生活は、思わぬ方向へゆっくりと変化し始める。

■感想 ☆☆☆☆☆
またもや辻村さんのこの作品を手に取りました。落ち込んでいるとき
元気がないときに必ず手に取りたくなる作品。人と人との関係に大きな
希望を見出せます。そして、どんなに人との関係に疲れたとしても
やっぱり私たちは人と関わって生きていかなきゃいけないし、私には
誰かの支えが必要なんだというそんな当たり前のことを素直に
思うことができるようになります。
「まあ、なんていうか。あらゆる物語のテーマは結局愛だよね。」

51.恋占い/赤川次郎
52.森がわたしを呼んでいる/赤川次郎
53.死と乙女/赤川次郎

■感想 ☆☆☆
どれも赤川さんらしい軽妙な文体で青春真っ盛りの女子高生たちが
明るくまっすぐに前を向いている作品だった。とても読みやすい。
そして、とても軽やか。
折に触れ、私が赤川作品に会いたくなるのは、このどこまでも
まっすぐな作品世界故、だろう。ひねりがない、深みがない、と
揶揄されることの多い赤川作品だけれど、悲しみや悩みを
軽い文体にあえて閉じ込めて、軽く見せているのだと思う。
いつだってスタンダードに大切なこと、当たり前のような、
けれど普段は実感したり行動し続けたりすることが難しいことを
赤川さんは気張らずに穏やかな声で「大事なんだよ。」と
言い続けてくれているのだと思う。
たとえば、今を大切に気を抜かずに生きる、とか
自分の大切な人のために行動する、とか
どんなときもルールを守って生きる、とか
悩んでいても人前では笑ってみせる、とか。
そういったことをきちんとできる素直なヒロインたちに元気をもらいました。

54.魍魎の匣/京極夏彦
■ストーリ
匣の中には綺麗な娘がぴったりと入ってゐた。箱を祀る奇妙な霊能者。
箱詰めにされた少女達の四肢。そして巨大な箱型の建物―箱を巡る虚妄が
美少女転落事件とバラバラ殺人を結ぶ。探偵の榎木津、文士の関口、
刑事の木場らいつもの面々がみな事件に関わり、京極堂の元へ集う。
果たして憑物は落とせるのか。

■感想 ☆☆☆*
ようやくようやくようやく再読し終えました。この作品をトイレで
手に取ったのが運のつきというか。トイレ時間で読み返す作品じゃ
なかったかもねー、と途中でしみじみと思いました。
けれど、何度読み消してもこの幻想的な世界観は見事。描写も詳細で
彼らの姿が、そして彼らの活躍が鮮やかに脳内で蘇りました。

55.青い城/モンゴメリ
■ストーリ
貧しい家庭でさびしい日々を送る内気な独身女、ヴァランシーに、
以前受診していた医者から手紙が届く。そこには彼女の心臓が危機的状況で
余命は1年だと書かれていた。悔いのない人生を送ろうと決意した彼女が
とったとんでもない行動とは?

■感想 ☆☆☆☆☆
もう!もう!もうもう!!
すべての夢見る乙女たちにぜひ見ていただきたい作品でした!
中盤から結末までの話の展開は容易に予測できてしまうし、
その予測どおりに話は進み、なんらどんでん返しなどない状態ですが、
それがまったく不満ではありません。むしろ嬉しくてたまらない。
かつて乙女だった人のほうが読み終えて幸せな結末に浸れるのでは
ないかと思います。

56.冷たい校舎の時は止まる/辻村深月
■ストーリ
ある雪の日、学校に閉じ込められた男女8人の高校生。どうしても開かない
玄関の扉、そして他には誰も登校してこない時が止まった校舎。
不可解な現象の謎を追ううちに彼らは2ヵ月前に起きた学園祭での自殺事件を
思い出す。しかし8人は死んだ級友の名前と顔をどうしても思い出せない。
死んだのは誰なのか。

■感想 ☆☆☆☆
古本屋で再会を果たせたため、めでたく購入。
大好きな辻村さんのデビュー作品です。
年を重ね、どんどん視線がひねたものになっている私は、
久々にこの作品を読んで、登場人物への視点が甘いな、という感想を
抱きました。甘い。けれど、その甘さが不愉快なものではなく、
できればこうありたい、と私が願ってやまない甘さで
その生真面目さと人への向き合い方に改めて心を打たれました。

57.もつれた蜘蛛の巣/モンゴメリ
■ストーリ
ダーク家とペンハロウ家に伝わる由緒ある水差し。
みんな喉から手が出るほど欲しがるこの家宝を相続するのは一体誰なのか。
老ベッキーおばがいまわの際に遺した突拍子もない遺言のせいで
一族の面々は、かつてない大騒動を繰り広げることに。一族きっての美女
ゲイの愛の行方は?長年秘密にされていたジョスリンの別居の真相は?
やがて水差しの魔力が一同をとんでもない事件へと導く。

■感想 ☆☆☆
登場人物がこれでもか、これでもか、と出てくる作品。
おそらく主要登場人物が総勢18名ほど。到底、覚えられないし、
扱いが雑な人もたくさんいる。海外モノが苦手な私には、
登場人物の名前と特徴を覚えるのが難しい手ごわい作品だった。
途中、何度か挫折しそうにもなった。けれど、それでも読み続けると
ストーリーテラーとしてのモンゴメリの底力を感じさせてくれる。
登場人物みんながそれぞれの居心地の良い結末を自力で手に入れていく
なんとも素敵な作品だった。
この作品、おそらくドラマで見たほうが分かりやすいんじゃないかな。
「大草原の小さな家」みたいな海外ドラマにしてもらえたらいいのにな。

58.骨音-池袋ウェストゲートパーク3-/石田衣良
■ストーリ
世界で一番速い音と続発するホームレス襲撃事件の関係は?
また、池袋ゲリラレイヴで大放出された最凶ドラッグ「スネークバイト」の
謎を追うマコトに新たな恋が現れて・・・。連作短編集。

■感想 ☆☆☆
表題作「骨音」は「池袋ウエストゲートパークSP」としてスペシャル
ドラマ化されていたのを今も鮮明に覚えています。面白かったな。
そして、とてもえぐかったな。原作はドラマほどのコメディテイストは
なく、より一層、えぐみを増した作品。
そのほかに地域通貨と暴力団の癒着を描いた作品やドラッグとパーティに
ついて論じている作品など。どれも私には縁遠いまるで他の国の出来事の
ような事件ばかり。けれど、どれもが紛れもなく「今の日本」の出来事で
新聞の社会面を彩る事件の数々で、日本の広さ、多様さを感じた。

59.汝の名/明野照葉
■ストーリ
若き会社社長の麻生陶子は美人でスタイルが良く、仕事もできる誰もが
憧れる存在。しかし、その美貌とは裏腹に「完璧な人生」を手に入れるためには、
恋も仕事も計算し尽くす女だ。そんな陶子には、彼女を崇拝し奴隷の如く仕える
妹の久恵がいた。しかし、ある日から、二人の関係が狂い始め、驚愕の真実が
明らかになっていく。

■感想 ☆☆
気の強い打算だらけの女性がとても好きです。確信犯的に計算できる
強い女性、けれどその強さは自分のコンプレックスから生まれたもので
本来はとても弱い女性を見かけると、どこまでも応援したくなります。
ヒロインはそんな女性。徹底的に嫌な奴なんだけど、だからこそ、
どこかで肩の力を抜いて楽になって欲しい、幸せになって欲しい、と
祈るような気持ちで読み進めました。が、最後の最後まで女同士の
嫌な確執が続く作品でした。中盤からは若干、気持ちが悪くなりました。
女性同士の確執は確かにあると思う。けれど、こういった感じの確執は
実は少ないんじゃないかな、最近の女性はむしろ堂々とさばさばと
生きていると思うんだけどな、とヒロイン2名の前近代的な確執に
違和感を抱きました。

充実の金曜日

2011年06月11日 00時28分31秒 | 日常生活
5月末からずっとずっとずーーーーーーっと苦しんでいた
プログラミングをようやく解決できました。
もうね。私には理解することがムリなんじゃないかな、と諦めかけておりました。
自分の理解力のなさと効率の悪さに絶望し、
隣で着々と理解を深めていく後輩を尊敬しながらも羨ましく思い
自分の器の小ささもかみ締めて。
越えられない小山(しかも小山・・・。)のふもとを
うろうろとしておりましたが、ようやくようやく登頂に成功。

はぁ、よかったー!!とほっと安堵しました。
最終的に悩みに悩んでいたところがケアレスミスによる
不具合だったあたり、ホント最後の最後までおのれのへたれっぷりを
見せ付けられた3週間だったなぁ、と脱力しました。

でも、とにもかくにも山場を越えて。
ほんの少しほっと安心でしました。
その「ほっ」が心の油断を招いたのか、
ひっさびさに部長から本気モードで怒られました。
・・・怖かった。

怖かったけど。
でも、怒られた内容に納得できたし、理解もでき。
なおかつ、部長が遠慮なく怒ってくださったこと。
そのことがなんとなく嬉しく、充実した気持ちを味わった金曜日となりました。
いつも「女性だから」というだけで、
ものすごーーーーーーーーーく気を使っていただいているからなー。
でもって、気を使われているなーというのが
びしばしと伝わってくるので。
ダメなところはダメとちゃんと指摘していただけて非常に嬉しかったです。

うん。
気持ちの良い金曜日でした。
でもって、明日は大好きな土曜日!