のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

百万円と苦虫女/2008年日本

2011年06月21日 14時17分41秒 | 映画鑑賞
■百万円と苦虫女/2008年日本
■監督・脚本:タナダユキ
■出演
蒼井優、森山未來、竹財輝之助、ピエール瀧、佐々木すみ江
笹野高史、キムラ緑子、堀部圭亮、矢島健一、平岩紙

■ストーリ
就職浪人中の鈴子(蒼井優)は、アルバイトをしながら実家で暮らしていた。
彼女は仲間とルームシェアを始めるが、それが思いも寄らぬ事件に発展し、
警察の世話になる。中学受験を控えた弟(齋藤隆成)にも責められ
家に居づらくなった彼女は家を出て、1か所で100万円貯まったら
次の場所に引っ越すという根無し草のような生活を始める。

■感想 ☆☆☆*
蒼井さんのためのような映画だな、と思った。
蒼井さんだからこそ、この空気が出せたんだと思う。
他の人が主役を演じていたらまったく異なった空気感になっていたんじゃ
ないかな、とおもわせられるぐらい、この映画と蒼井さんの雰囲気が
見事に合致し、ひとつの作品を作り上げていた。

そして、見終えて、とても寂しい気持ちになった。
バイト先の男性と両思いになり、ようやく「居場所」を見つけたと
感じた鈴子。けれど、少しずつ生じるすれ違いや勘違い。
そのときどきの思いをうまく相手に伝えられない鈴子は、
「人と向き合えない自分」に気付かされ、また次の場所に旅立っていく。
けれど、本当はすれ違っていたわけではなく、相手の男性も
しっかりと鈴子のことを思っていて、ただその思いを口にできなかっただけで
それなのに、なんでこんなにも人と人は分かり合えなんだろう。
思いあっていても、ほんのちょっとのズレが
決定的な別れに至ってしまうのはなんでなんだろう。
どうでもいいことは簡単に口にできるのに、
一番伝えなければいけない想いを胸に秘めてしまうのはどうしてなんだろう。
と歯がゆい気持ちになった。

でも、だからこそ、人は誰かと心を通い合わせることができたとき、
あんなにも幸せな気持ちになるのかもしれない。

とにかく蒼井さんの表情、たたずまいが素敵。映画に溶け込んでいます。
ただ、全体的に淡々としていて、「ザ・日本映画」という感じなので
好き・嫌いは分かれると思います。