□それでも、生きてゆく
□木曜夜22時フジテレビ放送
□出演
瑛太、大竹しのぶ、風間俊介、田中圭、柄本明、倉科カナ、酒井若菜、
満島ひかり、風吹ジュン、時任三郎、福田麻由子、小野武彦、佐藤江梨子
□2011年度夏クールインパクト 1位/6作品
□感想(---)
重厚で見ごたえのあるドラマでした。
幼い妹(娘)を殺された家族と、幼い少女を殺した兄(息子)を持つ家族。
一見、まったく異なるように見える痛みなのに、
どちらも同じように傷ついて、同じように過去を背負って
同じように未来へ踏み出せないでいる家族の姿がとても印象的でした。
たった一度の過ちが引き起こされるまでに、
いろんなちょっとした「悲鳴」や「サイン」があって
たった一度の過ちがその後に続く「今」をこれでもか、これでもかと傷つける。
人を殺しました。つかまりました。刑務所に入りました。罪を償いました。
で終わることではないし、殺された人、殺した人だけではなく、
1度の過ちがその周辺にいる多くの人の人生を狂わせてしまうこと、
人はどうしようもなくひとりで完結できないのだということが
苦しくなるぐらいに迫ってくるドラマでした。
最後まで、登場人物たちがどんな未来を選択するのかがまったく想像できませんでした。
彼らが辛い過去をどんなふうに乗り越えて「それでも生きていく」
という想いを抱けるようになるのか、
どうやって「明日」に一歩を踏み出せるようになるのか、
固唾を呑んで見守りました。
なんとか最後まで見守ることができたものの、
「もう無理だ」と思うこともしばしばでした。
彼らに降りかかってくる「過去」も「今」も辛すぎて見続けることができないよー、
と何度も思いました。でも、見てよかった。
彼らが何度も何度も泣きながら、のた打ち回りながら、傷つきながら
やっとの想いで掴んだ未来は、どれも心から応援できるものでした。
選ばれた未来は、どれも「これからが大変」だと思えるもので、
私たちは生きている限り「ハッピーエンド」にたどり着くことはできないんだな、
となんとも当たり前のことを今更ながらに思いました。
それにしても別格だな・・・と思ったのは大竹さん。
彼女の鬼気迫る演技、あちらとこちらの境界線上で過ごすことで、
痛みから目をそらしてきた15年の重みがその存在から伝わってきたし、
こちらに戻ってきてからこそ味わうことになった苦しみを体全体で、
鬼気迫る表情で演じられていました。
空気がひりひりするってこういことなんだ・・・。
画面のこちら側で鳥肌が立ちました。
娘を殺した少年を演じた風間さんと対峙した場面は、
本当に体当たりで、「虚構の世界」であることすら忘れさせてくれました。
またね、風間さんが・・・。本当に怖かった!!
そして、なんとも痛々しい役回りでした。
まったく共感できないし、本当に怖かったし、
最後まで自分の罪を反省も後悔もしていない姿にいらだちも覚えたけれど
でも、やっぱり「かわいそうな人」でもあったんだな、と思える役柄でした。
自分の抱えるトラウマや問題をきちんと認識していたのも
自分の中に潜む狂気を一番恐れていたのも彼だけで、
認識してはいるからこそ、そこから目をそらさなければ
生きることができなかったんだろうな、と思わせてくれる演技でした。
でも、もっとも共感したのは、彼に惹かれて、彼との未来を夢見て、
結局は彼に絶望した酒井さんの役かも。
彼に裏切られて、彼に絶望したのに彼を思わずにはいられない。
「彼を助けてあげてほしい」と言わずにはいられない彼女の存在に
すごく説得力があった気がします。中盤しか出ていないにもかかわらず、
彼女もまた「それでも生きてい」かなければいけない人なんだろうな、
と思わせてくれる存在感でした。
また、酒井さんがこういう役、とってもお似合いなんだよ!!
こういう人かも、と思わせてくれる危うさを見事にかもし出しちゃうのです。
(そういうところが好きです。)
彼がしたことは許されない。
それでも、彼を見捨てることも憎むこともできなくて苦しむ家族がいて
彼と新たに出会って、彼に惹かれる人がいる。
だから、起きてしまった事件に「解決策」とか「時効」なんてものはないし、
被害者家族にとっても加害者家族にとっても、そして加害者本人にとっても
終わりはこないんだな、と思いました。
「生きることを放棄してはいけないんだ」でもなく、
「それでも生きていかなければいけないんだ」でもなく
「それでも生きていく」という決意がタイトルになっていること。
終盤、主人公が加害者に対してこのタイトルを決意として語りかけたこと。
なんだかそれが今の私の心境とリンクしていて、とてもきついラストでした。
「それでも生きていく」というドラマのタイトルに込められた決意は
今の私には、ひりひりと痛いけれど、でも、どんな未来に遭遇しても
自分が選択した過去を後悔したり、絶望したりしても
「それでも生きていく」という選択を放棄しない人間になりたい、と思いました。
・・・と、心が元気なときは思えるんだけどな。
□木曜夜22時フジテレビ放送
□出演
瑛太、大竹しのぶ、風間俊介、田中圭、柄本明、倉科カナ、酒井若菜、
満島ひかり、風吹ジュン、時任三郎、福田麻由子、小野武彦、佐藤江梨子
□2011年度夏クールインパクト 1位/6作品
□感想(---)
重厚で見ごたえのあるドラマでした。
幼い妹(娘)を殺された家族と、幼い少女を殺した兄(息子)を持つ家族。
一見、まったく異なるように見える痛みなのに、
どちらも同じように傷ついて、同じように過去を背負って
同じように未来へ踏み出せないでいる家族の姿がとても印象的でした。
たった一度の過ちが引き起こされるまでに、
いろんなちょっとした「悲鳴」や「サイン」があって
たった一度の過ちがその後に続く「今」をこれでもか、これでもかと傷つける。
人を殺しました。つかまりました。刑務所に入りました。罪を償いました。
で終わることではないし、殺された人、殺した人だけではなく、
1度の過ちがその周辺にいる多くの人の人生を狂わせてしまうこと、
人はどうしようもなくひとりで完結できないのだということが
苦しくなるぐらいに迫ってくるドラマでした。
最後まで、登場人物たちがどんな未来を選択するのかがまったく想像できませんでした。
彼らが辛い過去をどんなふうに乗り越えて「それでも生きていく」
という想いを抱けるようになるのか、
どうやって「明日」に一歩を踏み出せるようになるのか、
固唾を呑んで見守りました。
なんとか最後まで見守ることができたものの、
「もう無理だ」と思うこともしばしばでした。
彼らに降りかかってくる「過去」も「今」も辛すぎて見続けることができないよー、
と何度も思いました。でも、見てよかった。
彼らが何度も何度も泣きながら、のた打ち回りながら、傷つきながら
やっとの想いで掴んだ未来は、どれも心から応援できるものでした。
選ばれた未来は、どれも「これからが大変」だと思えるもので、
私たちは生きている限り「ハッピーエンド」にたどり着くことはできないんだな、
となんとも当たり前のことを今更ながらに思いました。
それにしても別格だな・・・と思ったのは大竹さん。
彼女の鬼気迫る演技、あちらとこちらの境界線上で過ごすことで、
痛みから目をそらしてきた15年の重みがその存在から伝わってきたし、
こちらに戻ってきてからこそ味わうことになった苦しみを体全体で、
鬼気迫る表情で演じられていました。
空気がひりひりするってこういことなんだ・・・。
画面のこちら側で鳥肌が立ちました。
娘を殺した少年を演じた風間さんと対峙した場面は、
本当に体当たりで、「虚構の世界」であることすら忘れさせてくれました。
またね、風間さんが・・・。本当に怖かった!!
そして、なんとも痛々しい役回りでした。
まったく共感できないし、本当に怖かったし、
最後まで自分の罪を反省も後悔もしていない姿にいらだちも覚えたけれど
でも、やっぱり「かわいそうな人」でもあったんだな、と思える役柄でした。
自分の抱えるトラウマや問題をきちんと認識していたのも
自分の中に潜む狂気を一番恐れていたのも彼だけで、
認識してはいるからこそ、そこから目をそらさなければ
生きることができなかったんだろうな、と思わせてくれる演技でした。
でも、もっとも共感したのは、彼に惹かれて、彼との未来を夢見て、
結局は彼に絶望した酒井さんの役かも。
彼に裏切られて、彼に絶望したのに彼を思わずにはいられない。
「彼を助けてあげてほしい」と言わずにはいられない彼女の存在に
すごく説得力があった気がします。中盤しか出ていないにもかかわらず、
彼女もまた「それでも生きてい」かなければいけない人なんだろうな、
と思わせてくれる存在感でした。
また、酒井さんがこういう役、とってもお似合いなんだよ!!
こういう人かも、と思わせてくれる危うさを見事にかもし出しちゃうのです。
(そういうところが好きです。)
彼がしたことは許されない。
それでも、彼を見捨てることも憎むこともできなくて苦しむ家族がいて
彼と新たに出会って、彼に惹かれる人がいる。
だから、起きてしまった事件に「解決策」とか「時効」なんてものはないし、
被害者家族にとっても加害者家族にとっても、そして加害者本人にとっても
終わりはこないんだな、と思いました。
「生きることを放棄してはいけないんだ」でもなく、
「それでも生きていかなければいけないんだ」でもなく
「それでも生きていく」という決意がタイトルになっていること。
終盤、主人公が加害者に対してこのタイトルを決意として語りかけたこと。
なんだかそれが今の私の心境とリンクしていて、とてもきついラストでした。
「それでも生きていく」というドラマのタイトルに込められた決意は
今の私には、ひりひりと痛いけれど、でも、どんな未来に遭遇しても
自分が選択した過去を後悔したり、絶望したりしても
「それでも生きていく」という選択を放棄しない人間になりたい、と思いました。
・・・と、心が元気なときは思えるんだけどな。