4月の記憶が既に曖昧です。がんばれ、私の記憶力。
記録に残すことって大切だなー。私のために。
26.王国 その1/吉本ばなな
27.王国 その2/吉本ばなな
28.王国 その3/吉本ばなな
29.アナザーワールド(王国 その4)/吉本ばなな
■ストーリ
薬草茶づくりの名手であるおばあちゃんと、その孫の雫石(しずくいし)は、小さな山小屋で心穏やかに暮らしていたが、雫石が18歳になったとき、山のふもとの開発が原因で山を降りざるを得なくなる。
「最高のもの探し続けなさい。そして謙虚でいなさい。憎しみはあなたの細胞まで傷つけてしまうから。」というおばあちゃんの助言を胸に、おばあちゃんと離れた雫石は、不思議な力をもつ占い師、楓のもとでアシスタントとして働くことになる。
目に見えない「大きなもの」に包まれ、守られて生きる雫石、超能力をもつ楓、そして彼のパトロンであり、恋人でもある片岡さんと雫石の恋人の真一郎くん、雫石の住むアパートの「ものすごくいやな感じ」の隣人。雫石の人生は静かに、大きく動き出す。
■感想 ☆☆☆*
やっぱりばななさんが好きだな、と思ったシリーズ作品。四部作の中で四作目は特に好きでした。ばななさんが「作品を書くこと」に対して抱いている使命感が好きです。
とてもとてもばななさんらしいな、と思った文章。
「生きていく。つなげていく。這うように、苦しくても自分の考えと磨かれた直感となるべく健康な体をもって、それだけを頼りに。人間を愛し。人間に寄りかからず。」
愛する人との別離に苦しみ続けたヒロインに対して父親が語りかけた言葉に泣きそうになりました。そのとおりだな、と思いました。
「だれもだれかを背いたりはしないよ。誰も悪くはない。時間が流れているだけだ。そして、自然にその人の思う方向に変わっていくだけだよ。」
30.吉祥寺の朝比奈くん/中田永一
■ストーリ
恋人同士の圭太と遥が内緒で交わしていた交換日記は二人だけの秘密だったはずなのに、ノートはいろんな人のもとを巡り、いろんな人がノートに書き込んでいき、新たな物語を紡ぎ始める。(「交換日記始めました!」)高校二年のときにクラスメイトだった遠山真之介。五年後の今、不思議なことに同級生の誰も彼のことを憶えていないのだ。(「ラクガキをめぐる冒険」)ツトムと小山内さんと俺。ツトムは小山内さんが気になり、小山内さんの心の内にいるのは・・・?微妙なバランスで保ち続ける三角関係の物語。(「三角形はこわさないでおく」)私のおなかは、とてもひんぱんに鳴る。そのせいで何に対しても積極的になれなかった私の前に、春日井君があらわれる。(「うるさいおなか」)山田真野。上から読んでも下から読んでもヤマダマヤ。吉祥寺に住んでいる僕と山田さんの、永遠の愛を巡る物語。(「吉祥寺の朝日奈くん」)
■感想 ☆☆☆
某小説家が扮する覆面作家だと言われており、その「某小説家」が大好きな作家さんだったために図書館に出回るのを興味深く待っていました。けれど、そんなことをすっかり忘れてしまうぐらい、作品世界にのめりこみました。かわいい。かわいらしい。恋がしたくなる。一歩前に踏み出したくなる。そんな作品ばかりでした。
31.スロー・グッドバイ/石田衣良
■ストーリ
「涙を流さなくちゃ、始まらないことだってあるんだよ」。恋人にひどく傷つけられて泣けなくなった女の子など、さよならから始まる物語を優しく追った短編集。普通の人たちの少しだけ特別な恋を綴った10篇。
■感想 ☆☆*
友人から贈り物としていただいた文庫本を母親に「読みやすいよ」と薦めたタイミングで、久々に自分も読み返したくなりました。「さよなら」から始まる物語ばかりだけれど、どれもあたたかい気持ちになる作品ばかり。恋ってきついこと多いよね。でも楽しいこともたくさんあるよね。そんな女子会トークを繰り広げたくなりました。
石田さんという作家さんに対して、私はずっとずっと「読まず嫌い」を貫いていたので、彼に出会わせてくれた友人には心から感謝です。
32.カラーバケーション/加藤実秋
■ストーリ
風営法の改正に合わせ、営業形態を変更させたclub indigo。カジュアルカフェ風の二部を設け、若手ホストが接客を担当するようになる。他者に興味を持たないイマドキな若手ホストはトラブルを運んでくるし、渋谷警察署の豆柴は殺人事件に巻き込まれるし、開店以来一度も休んだことのない憂夜が突然休暇を取れば厄介で大きな問題が巻き起こる。愛すべきホストクラブに集う一風変わったホスト探偵団の活躍を描くシリーズ第4作。
■感想 ☆☆☆
気がつけば「クラブ インディゴ」シリーズも四作目。おなじみの面々は、すでにキャラクターが確立しているため、作品世界の中を生き生きと自由自在に動き回っています。顔なじみだからこそ、の親近感で思う存分、楽しめました。特に裏稼業の方々がたくさん出てきた第四話は「これぞインディゴの面々!」というホストくんたちの大活躍が見られて、大好きでした。
33.こころげそう~男女九人お江戸恋物語~/畠中恵
■ストーリ
江戸・橋本町の下っ引き宇多が、恋しい思いを伝えられぬまま亡くしたはずの於ふじが幽霊として戻ってきた。神田川でこときれた於ふじと千之助兄妹の死の真相を探りつつも、大人になってしまった九人の幼なじみたちは、それぞれの恋や将来への悩みを絡ませ合う。
■感想 ☆☆
九人は多すぎるんだろうなぁ、と思いました。ひとりひとりの問題を丁寧に描こうとした結果、それぞれの悩みや思い入れが均等に描かれすぎて、私自身は九人のどの子にも肩入れ出来ませんでした。本来、私は誰かひとりに肩入れして、喜んだり落ち込んだりしながら本を読み進めるというのに。それぞれが自分の思いを持て余していて、恋に振り回されていて。「恋するってやっぱり大変だな・・・」という気持ちになりました。
34.偉大なるしゅららぼん/万城目学
■ストーリ
琵琶湖畔の街・石走に住み続ける日出家と棗家には、代々受け継がれてきた力があった。高校に入学した日出涼介、日出淡十郎、棗広海が偶然同じクラスになった時、力で力を洗う戦いの幕が上がる。
■感想 ☆☆☆*
何をどうやったら、こんな話をおもいつくんだろう、と心底不思議になり、作家っていうのは努力でなれるものじゃないんだな、才能なんだな、とひたすらに感嘆しながら読み終えました。すごいです。とにかくすごいの一言に尽きます。こんなにも奇想天外な話をよく思いついたな、という「すごい」と、この奇想天外なお話をよくここまで収束できたもんだな、という「すごい」。ため息交じりで本を置きました。面白かったー!
35.愛妻記/新藤兼人
■内容
妻の肝臓がんの手術が終り、余命1年余と告げられたとき、夫は妻主演の映画を撮ろうと決意した。人は老いをいかに生きるべきか。火花を散らすふたりの老仕事師夫妻の凄絶な愛と慈しみを哀惜をこめて描く。妻乙羽信子、1994年12月22日逝去。享年70。この作品は妻の一周忌にささげられている。
■感想 ☆☆☆*
感情を極力抑え、冷静に客観的に綴られた文章。その文章の合間合間から新藤監督の乙羽さんへの愛情がにじみ出ている。実に日本人らしい、奥ゆかしい愛情表現に包まれた作品で、「夫婦」を繋ぐ「愛」というものについて考えさせられた。また、新藤監督の映画に対する情熱もひしひしと伝わってくる作品。日本映画がとても元気だった時代を経て、日本映画の斜陽時代も日本映画を見捨てず、映画の可能性を追求した「仕事人」の姿に、その筋の通った生き方に、私も背筋を正された。
36.人生で大切なことはすべて映画で学んだ/童門冬二
■内容
表の顔は、歴史を鋭い視点で切り取り、現代人に有効な知恵として提供する作家・童門冬二。裏の顔は、コレなしでは生きていけないというほどの落語ファンにして映画ファン。そんな彼が歴史に残る名作から最近の佳作まで自分が人生の折々で影響を受けてきた映画について振り返る。
■感想 ☆☆
映画の感想も難しいものだと思いました。作品に対する思い入れは伝わってくるけれど、いかんせん、見たことのない作品も多く。そういった作品については、あらすじなどの作品情報も入れてもらわないと、まったく何の情報もないままでは、なかなか「好きだ」という思いに共感できないんだな、ということに気付きました。
記録に残すことって大切だなー。私のために。
26.王国 その1/吉本ばなな
27.王国 その2/吉本ばなな
28.王国 その3/吉本ばなな
29.アナザーワールド(王国 その4)/吉本ばなな
■ストーリ
薬草茶づくりの名手であるおばあちゃんと、その孫の雫石(しずくいし)は、小さな山小屋で心穏やかに暮らしていたが、雫石が18歳になったとき、山のふもとの開発が原因で山を降りざるを得なくなる。
「最高のもの探し続けなさい。そして謙虚でいなさい。憎しみはあなたの細胞まで傷つけてしまうから。」というおばあちゃんの助言を胸に、おばあちゃんと離れた雫石は、不思議な力をもつ占い師、楓のもとでアシスタントとして働くことになる。
目に見えない「大きなもの」に包まれ、守られて生きる雫石、超能力をもつ楓、そして彼のパトロンであり、恋人でもある片岡さんと雫石の恋人の真一郎くん、雫石の住むアパートの「ものすごくいやな感じ」の隣人。雫石の人生は静かに、大きく動き出す。
■感想 ☆☆☆*
やっぱりばななさんが好きだな、と思ったシリーズ作品。四部作の中で四作目は特に好きでした。ばななさんが「作品を書くこと」に対して抱いている使命感が好きです。
とてもとてもばななさんらしいな、と思った文章。
「生きていく。つなげていく。這うように、苦しくても自分の考えと磨かれた直感となるべく健康な体をもって、それだけを頼りに。人間を愛し。人間に寄りかからず。」
愛する人との別離に苦しみ続けたヒロインに対して父親が語りかけた言葉に泣きそうになりました。そのとおりだな、と思いました。
「だれもだれかを背いたりはしないよ。誰も悪くはない。時間が流れているだけだ。そして、自然にその人の思う方向に変わっていくだけだよ。」
30.吉祥寺の朝比奈くん/中田永一
■ストーリ
恋人同士の圭太と遥が内緒で交わしていた交換日記は二人だけの秘密だったはずなのに、ノートはいろんな人のもとを巡り、いろんな人がノートに書き込んでいき、新たな物語を紡ぎ始める。(「交換日記始めました!」)高校二年のときにクラスメイトだった遠山真之介。五年後の今、不思議なことに同級生の誰も彼のことを憶えていないのだ。(「ラクガキをめぐる冒険」)ツトムと小山内さんと俺。ツトムは小山内さんが気になり、小山内さんの心の内にいるのは・・・?微妙なバランスで保ち続ける三角関係の物語。(「三角形はこわさないでおく」)私のおなかは、とてもひんぱんに鳴る。そのせいで何に対しても積極的になれなかった私の前に、春日井君があらわれる。(「うるさいおなか」)山田真野。上から読んでも下から読んでもヤマダマヤ。吉祥寺に住んでいる僕と山田さんの、永遠の愛を巡る物語。(「吉祥寺の朝日奈くん」)
■感想 ☆☆☆
某小説家が扮する覆面作家だと言われており、その「某小説家」が大好きな作家さんだったために図書館に出回るのを興味深く待っていました。けれど、そんなことをすっかり忘れてしまうぐらい、作品世界にのめりこみました。かわいい。かわいらしい。恋がしたくなる。一歩前に踏み出したくなる。そんな作品ばかりでした。
31.スロー・グッドバイ/石田衣良
■ストーリ
「涙を流さなくちゃ、始まらないことだってあるんだよ」。恋人にひどく傷つけられて泣けなくなった女の子など、さよならから始まる物語を優しく追った短編集。普通の人たちの少しだけ特別な恋を綴った10篇。
■感想 ☆☆*
友人から贈り物としていただいた文庫本を母親に「読みやすいよ」と薦めたタイミングで、久々に自分も読み返したくなりました。「さよなら」から始まる物語ばかりだけれど、どれもあたたかい気持ちになる作品ばかり。恋ってきついこと多いよね。でも楽しいこともたくさんあるよね。そんな女子会トークを繰り広げたくなりました。
石田さんという作家さんに対して、私はずっとずっと「読まず嫌い」を貫いていたので、彼に出会わせてくれた友人には心から感謝です。
32.カラーバケーション/加藤実秋
■ストーリ
風営法の改正に合わせ、営業形態を変更させたclub indigo。カジュアルカフェ風の二部を設け、若手ホストが接客を担当するようになる。他者に興味を持たないイマドキな若手ホストはトラブルを運んでくるし、渋谷警察署の豆柴は殺人事件に巻き込まれるし、開店以来一度も休んだことのない憂夜が突然休暇を取れば厄介で大きな問題が巻き起こる。愛すべきホストクラブに集う一風変わったホスト探偵団の活躍を描くシリーズ第4作。
■感想 ☆☆☆
気がつけば「クラブ インディゴ」シリーズも四作目。おなじみの面々は、すでにキャラクターが確立しているため、作品世界の中を生き生きと自由自在に動き回っています。顔なじみだからこそ、の親近感で思う存分、楽しめました。特に裏稼業の方々がたくさん出てきた第四話は「これぞインディゴの面々!」というホストくんたちの大活躍が見られて、大好きでした。
33.こころげそう~男女九人お江戸恋物語~/畠中恵
■ストーリ
江戸・橋本町の下っ引き宇多が、恋しい思いを伝えられぬまま亡くしたはずの於ふじが幽霊として戻ってきた。神田川でこときれた於ふじと千之助兄妹の死の真相を探りつつも、大人になってしまった九人の幼なじみたちは、それぞれの恋や将来への悩みを絡ませ合う。
■感想 ☆☆
九人は多すぎるんだろうなぁ、と思いました。ひとりひとりの問題を丁寧に描こうとした結果、それぞれの悩みや思い入れが均等に描かれすぎて、私自身は九人のどの子にも肩入れ出来ませんでした。本来、私は誰かひとりに肩入れして、喜んだり落ち込んだりしながら本を読み進めるというのに。それぞれが自分の思いを持て余していて、恋に振り回されていて。「恋するってやっぱり大変だな・・・」という気持ちになりました。
34.偉大なるしゅららぼん/万城目学
■ストーリ
琵琶湖畔の街・石走に住み続ける日出家と棗家には、代々受け継がれてきた力があった。高校に入学した日出涼介、日出淡十郎、棗広海が偶然同じクラスになった時、力で力を洗う戦いの幕が上がる。
■感想 ☆☆☆*
何をどうやったら、こんな話をおもいつくんだろう、と心底不思議になり、作家っていうのは努力でなれるものじゃないんだな、才能なんだな、とひたすらに感嘆しながら読み終えました。すごいです。とにかくすごいの一言に尽きます。こんなにも奇想天外な話をよく思いついたな、という「すごい」と、この奇想天外なお話をよくここまで収束できたもんだな、という「すごい」。ため息交じりで本を置きました。面白かったー!
35.愛妻記/新藤兼人
■内容
妻の肝臓がんの手術が終り、余命1年余と告げられたとき、夫は妻主演の映画を撮ろうと決意した。人は老いをいかに生きるべきか。火花を散らすふたりの老仕事師夫妻の凄絶な愛と慈しみを哀惜をこめて描く。妻乙羽信子、1994年12月22日逝去。享年70。この作品は妻の一周忌にささげられている。
■感想 ☆☆☆*
感情を極力抑え、冷静に客観的に綴られた文章。その文章の合間合間から新藤監督の乙羽さんへの愛情がにじみ出ている。実に日本人らしい、奥ゆかしい愛情表現に包まれた作品で、「夫婦」を繋ぐ「愛」というものについて考えさせられた。また、新藤監督の映画に対する情熱もひしひしと伝わってくる作品。日本映画がとても元気だった時代を経て、日本映画の斜陽時代も日本映画を見捨てず、映画の可能性を追求した「仕事人」の姿に、その筋の通った生き方に、私も背筋を正された。
36.人生で大切なことはすべて映画で学んだ/童門冬二
■内容
表の顔は、歴史を鋭い視点で切り取り、現代人に有効な知恵として提供する作家・童門冬二。裏の顔は、コレなしでは生きていけないというほどの落語ファンにして映画ファン。そんな彼が歴史に残る名作から最近の佳作まで自分が人生の折々で影響を受けてきた映画について振り返る。
■感想 ☆☆
映画の感想も難しいものだと思いました。作品に対する思い入れは伝わってくるけれど、いかんせん、見たことのない作品も多く。そういった作品については、あらすじなどの作品情報も入れてもらわないと、まったく何の情報もないままでは、なかなか「好きだ」という思いに共感できないんだな、ということに気付きました。