のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

鍵のかかった部屋

2012年07月08日 23時13分03秒 | テレビ鑑賞
□鍵のかかった部屋
□月曜夜21時フジテレビ放送
□出演
 大野智、戸田恵梨香、佐藤浩市
□お気に入り度 2012年度夏クール2位/7作品
□ストーリ
警備会社「東京総合セキュリティ」の研究員、榎本とフリードマン・芹沢総合法律事務所の新人弁護士、青砥純子、そして彼女の上司で企業法務専門の弁護士、芹沢 豪が密室殺人事件に関わり、(時に巻き込まれ)、3人で協力して密室の謎を解き明かし、事件を解決する姿を描く。
□感想
大野さん出演ドラマの中で最も好きな作品となりました。元来、大野さんの声や演技が大好きですが、連続ドラマ初主演作品の「魔王」はストーリ展開が辛すぎて、まったく見返せず。(ヒロインを演じた小林涼子ちゃんも大好きだったんだけどな。最近、お見かけできていないな。)「うたのおにいさん」はストーリ展開もキャラクターも大好きで楽しく見ていたけれど、なにせ事務所に怒られまくっていた釣り熱狂中時代でビジュアルが今ひとつ・・・。「怪物君」は、当初ドラマ化の話を聞いたときに「なんで!?なんで実写化しちゃうかなぁ!なんでそんなギャンブルに手を出すかなぁ。」と企画した人に八つ当たりするぐらい拒否反応を示していましたが、できあがった怪物君は思いの外、かわいくて、その上、演じている人たちがみんなとても楽しそうで、あのドラマの世界観が大好きでした。ただ、なんというか「かっこいい!!」とときめくドラマではなかったな、と。そんなこんなで大野さん出演ドラマで役者さんもお話も全部ひっくるめて大好き!という作品には出会えていなかったのです。今までの大野さんの出演ドラマの中でもっとも好きだったのは人気作家とコラボした「世にも奇妙な物語」の中の一編でした。年相応の会社員役の大野さんは、スーツ姿がなんともかっこよかったのです。万城目学さんの脚本も、万城目さんらしく、短編ながら伏線がしっかりと回収されていて、とても面白かったっけ。

というわけで、今回のドラマも年相応の会社員役の大野さんにおおいに期待していて、そして期待通りに大好きな作品となりました。大野さんの声と滑舌のよさ、そして所作の美しさがふんだんに活かされた素敵な役どころでした。普段の大野さんの滑舌の悪さ(というよりは気合の入っていないひらがなボイス)や猫背っぷりが嘘みたい。何より膨大なセリフ量!第1話を見終えた時点で「大野さんがバラエティ番組1年分ぐらいしゃべってるよー!」と大いに興奮しました。(ま、バラエティ番組出演時にほとんどしゃべらないから、というのもありますが。)あれだけのセリフをよく覚えたなー、と感嘆。早口なのに聞き取りやすいセリフはリーガル・ハイに出演していた堺さん同様、私のときめきポイントでした。
また毎回の衣装がとてつもなくかわいらしくて。カッターシャツにネクタイ、そしてVネックセーター、もしくはカーデガンって!私の大好きなアイテムが盛り沢山で、そりゃかっこいいよねぇ。かわいいよねぇ。と毎回毎回の衣装チェックも楽しい3か月間でした。普段の大野さんの衣服に対するこだわりのなさも大好きですが、だからこそ、こういった「きちんとしたカッコの大野さん」も珍しくて(新鮮で)楽しかったなー。

ドラマ自体も、「きらきらひかる」を思い出すテンポの良さで、主要登場人物3名の会話劇を楽しみました。シチュエーションコメディめいたつくりで、基本的に同じセット(榎本さんの仕事場)で繰り広げられる息の合った会話が聴いていて気持ちよかったな。
第一話で登場したときは、確かに有能な弁護士さんだったはずの芹沢さんがいつの間にか青砥さんもびっくりの天然さんになっていて、「金になる企業法務専門しか引き受けない!」と豪語していたのもどこへやら、「えのもっちゃん」との密室破りを楽しみにしている姿がとてもかわいらしかった!50過ぎた渋い俳優さんに『かわいい』はどうかと思いますが、それでも芹沢さんは『かわいい』人でした。「えのもっちゃん」好き好き具合とか。えのもっちゃんに自分の意見を認められた時の喜び具合とか。えのもっちゃんと青砥さんに仲間はずれされた時のしゅんとした姿とか。ええい!かわいらし過ぎるわ!
特に刑事さんに対して妙な対抗意識を持っていて、榎本さんを取り合っているところとか大好きでした。

戸田さん演じる青砥さんも嫌味ない天然ぶりで。不器用だったり空気がよめない部分を持っていたりするのに、いつのまにか場の空気を支配しているところとか、悪気なく無邪気に芹沢さんをあごで使っちゃっているところとか大好きでした。いつもはきつい役どころの多い戸田さんがこういう「天然さん」を演じていたのは新鮮で面白かったな。普段はスタイルのいい戸田さんが野暮ったいラインのグレースーツで通しているところも、いかにも「青砥さん」でこだわっていたなぁ、と思うのです。

一話完結のドラマの中、見せ場を主役である大野さんにすべて渡してしまのではなく、3人でチームとして機能するところが大好きでした。もっとも、それも「密室にしか興味がない榎本さん」ならでは、の役割分担で、無邪気に事件を拾ってくる(事件に首を突っ込んでしまう)青砥さんと密室に興味があって、事件解明(ではなく、密室やぶり)に注力する榎本さん、そして、密室やぶりだけで満足した榎本さんにとって代わって事件の収束を図り、おいしいところを持っていく芹沢さん、というふうに、それぞれのキャラクターと話の展開がうまく噛み合っていたなぁ、と思うのです。

余韻を持たせない場面転換がラストにも効いていて、なんともいえないかっこいい終わり方でした。続編も作れそうな終わり方ではあるけれど、このまま終わったほうがかっこいいんじゃないのかな、と思うのです。もっとも、続編があるというならば、それはそれで大歓迎です。できれば続編では、榎本さんのダークなところとか、もっとプライベートな部分にも踏み込んでいただければな、と思います。