のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

【ドラマ】なるようになるさ

2013年09月26日 23時07分40秒 | テレビ鑑賞
■なるようになるさ
■2013年度夏クールドラマ
■TBS金曜22時
■脚本:橋田 壽賀子
■出演
 浅野温子、舘ひろし、志田未来、紺野まひる、安田章大、泉ピン子

■感想 ☆☆
よく「キムタクは何を演じてもキムタク」とか「田村正和はいつでも田村正和」などというふうに表現をされる役者さんがいるけれど、脚本家さんにもかなり特徴はあると思うのです。私が「これ、好きなドラマだわー!」と興奮すると、たいてい同じ脚本家さんです。脚本大事!(私にとって。)
というわけで、このドラマは「スガコはいつだってスガコだよね!!」という感想に尽きるドラマでした。よくも悪くもスガコテイストたっぷり。役者さんの顔ぶれがどんなに変わってもスガコはスガコなのです。あ。スガコ(のふと気が付くと癖になる世界観)大好きです。念のため。思わず橋田壽賀子大先生を愛称で呼んでしまうぐらい親しみを感じてます。なにせ、私が小さい頃には既に第一線で活躍されていたのです。あの特徴あるせりふ回しがあってこそのスガコ。(もはやスガコと言いたいだけのような気がしてきました。)

そもそも浅野温子嬢もキムタクさんや田村さん側の役者さんで、非常に特徴的な演技をする方だと思うのです。その浅野さんがスガコワールドとマッチして生き生きと自由に動いている姿が非常に印象的でした。スガコワールドの個性の強さもすごいし、そのスガコワールドで「浅野さん」を失わずにあの長台詞をよどみなく滑舌よく明るく演じる浅野さんもすごい。
浅野さんは、子供たちがみんな独立した途端、子供たちにすがることなく自分の好きなことを楽しみ始める溌剌としたところが素敵なヒロインでした。今までのスガコドラマにはいないタイプの女性。・・だと思って見ていましたが、血縁に頼らず自分の足で立つ彼女を見て、やはり彼女もスガコワールドの女性だわ、と思いなおしました。
血縁を信じていないわけではないけれど、血縁があるからこそ家族というのは厄介だと知っていて、だからこそ、あえて息子たちに頼らない、息子たちを突き放す強いお母さんでした。家族って、「家族だから」という理由でつい甘えてしまうし、遠慮なく言い過ぎてもしまう。つい気遣いを怠った状態で、関わりすぎてしまうのが家族の厄介なところなんだろうなぁ、と思うのです。だからこそ息子たちとの距離感を意識してコントロールしている。でも、息子たちが甘えてきたら、無下にはせず、結局、手を差し出してあげる。そんな「日本のお母さん」でした。常に今の自分を肯定して楽しんでいる。なおかつ、今の自分の環境や幸せが周囲の人の協力あってこそだと深く理解している。そして、きちんと感謝を言葉で示す。そんなすごくすごく素敵なヒロインでした。
だからこそ!だからこそ、息子たちの不甲斐なさが目立って目立って。息子たちが出てくるたびにはらわた煮えくり返る思いで睨み付ける羽目に。こんなにも明るくて精神的にも自立している素敵なお母さんが育てた息子たちが三人共に自分勝手で、なおかつ「自分の家族最優先」の精神で親を蔑ろにする子ばかりってどういうことだ!とドラマのことながら憤慨し続けました。
でも、よくよく考えると、今の世の中、子供は結婚すると同居することなく、別の家庭を築く人が大多数を占めるわけで、子供が巣立つということは、自分の親兄弟より大切な場所ができるということなのかもしれない、巣立った息子たちが自分の家庭を最優先にするのは致し方ないことなのかもしれない、とも思いました。思おうとしました、が。
巣立ったにも関わらず、親のやることにいちいち文句だけ言いにやって来て、文句を言ったらバタバタと帰っていく3人の息子たちは最後までひっじょーーーーーーーーーに憎たらしかったです。家族ゆえの遠慮のなさって怖い、と思いました。「母さんたちのことを思って言ってるんだ」という気遣いの押し付けほど嫌なものってないな、とも思いました。そして、それが「3人の娘たち」ではなく「3人の息子たち」っていうのがなんとも「現代」だなぁ、と思いました。

というわけで、母親役の浅野さんに必要以上に肩入れをしながら鑑賞していたため、奥さんに対してもダンディな姿勢を崩さない舘さんには随分と救われました。そういえば舘さんはスガコドラマであっても、「舘さん」でした。ダンディが崩れることはありませんでした。さすが舘さん。スーツ姿の舘さんがお店に帰ってきて、腕まくりしながら晩酌する姿はかっこよかったなぁ。奥さんに理解があって、優しくて、料理もできて、どうやら会社でも重役で部下にも慕われていて、と完璧すぎて、普通の人が演じたらうさんくさくなること間違いなしなのに、それを舘さんが演じるとうさんくさくなくなるという不思議。舘さんだもの、で納得できちゃう不思議。
ただ、浅野さんと対照的に居候、兼店員のワケアリ3人衆に対して穏やかに暖かく、でも「見守る」の範囲を超えて少々「お節介」の領域に迫る勢いで関わる姿がひねくれ者の私にとっては、非常に鬱陶しいわぁ・・・と思わされるダンディ舘さんではありました。「他人は他人、自分は自分」という自分の冷たい人間性を毎回突きつけられました。私があのワケアリ3人衆だったら、絶対にダンディ舘さんの過干渉を鬱陶しく思ったり、「上から目線だわー」とうんざりしたりしていたと思います。もっとも一緒に見ていた母上は私の「ダンディ舘さんって、アドバイスが上から目線じゃない?」という疑問をまったく相手にせず、「本当にあんたってひねとうよね。」とため息つかれたため、この感想は完全に私のヒネクレモノフィルターがかかっているためだとは思われます。

でも好きなドラマでした。母上となんやかんやいろいろ感想を言いながら楽しむ、というドラマの古き良き楽しみ方をまっとうしました。
ただ!最終回の終わり方がえらいどたばただったのは私の気のせいじゃないと思うのです。なんなの?!この雑な終わり方!とびっくりするぐらいワケアリ3人衆の問題がバタバタバタと解決していきました。それも何か劇的な出来事があって解決した、とかではなく、本当に「最終回を迎えるために解決してみました。」といわんばかりの解決っぷり。びっくりした!
イラストレーターとしての仕事が軌道に乗り始めた安田君を両親が認めて「帰ってこい」と懇願するのは百歩譲ってわかる。(でも、イラストレーターという職業があんなにとんとん拍子で軌道に乗るわけない!とは思う。いきなりお菓子メーカーの広告がとれて、なおかつ、それが気に入られてアニメーション作らないか?という誘いが来るってどゆこと?更にそのイラストを気に入ってもう一社オファーが来るってどゆことだ!世間の荒波をなめんな!と思いました。ぐうたら生きているこの私が。)

旦那さんからDV受けていた紺野さんが仕事が決まって反省してきた旦那さんの元に戻るのもわか・・・る。ことにできる。仕事が決まったからもう大丈夫。やり直せる。息子も父親になついているし。という心境になるのは、なんとなく分かる気がしないでもない。私はダメと思ったら絶対にダメなのでわからない気持ちのほうが大きいですが。でも、そう思ってしまう優しい女性も世の中にはいることもあるってことは分かる。(でも、ダンディ舘さんからの「君にも悪いところがあったんじゃないか?仕事を失った旦那さんをそんなふうに冷たい怖い表情で呆れたように見てたんじゃないか?だから旦那さんもやりきれなかったんじゃないか?」というアドバイスは全っっ然っ!!ワカラナイ!!なんだ?!それ?!と心底思いました。今、思い返しても腹が立つっ!!)

でも、志田未来ちゃんをネグレクトしていたお母さんが突然、「悪かったわ、許して。」と改心してきたのはまったくわからん。何きっかけで「悪かったわ。許して。」となったのかこれっぽっちも分かりませんよー。あなた、未来ちゃんが家に帰った時、シンデレラのようにこき使ってたじゃないですかー。「今まで私が甘やかしてたから、あなたがつけあがったのよね。これからは全部、あなたに働いてもらう。」って宣言してたじゃないですかー。そこから何が起こっての心境の激変?とびっくりしました。本当に「最終回だから」という回答しか思いつかんかったですよ。

というわけで、はてなマークが頭の中にばらまかれた最終回でした。なんで?なんで?と驚いているうちに最終回が終わってしまいました。で、しばらく「なんで?」と考えて考えて、「あぁ。スガコだから。」という回答に至りました。真剣に考察した結果の結論です。だって、スガコさんは今まで「1クールで話をまとめる必要がなかった人」なのです。しかも、1回の放送枠が半年だった人なのです。そりゃ、10回や11回で話が終わるわけないよねぇ、きっとこれからじっくり「解決にいたるまで」を書くつもりだったんだよねぇ・・・としみじみ(勝手に。)納得しました。すっきり納得できました。